アストラゼネカのタグリッソ、早期EGFR変異陽性肺がんの術後補助療法として適応拡大

早期肺がんの術後補助療法で適応を取得した唯一のEGFR阻害剤

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下「アストラゼネカ」)は、タグリッソ®(一般名:オシメルチニブ、以下、タグリッソ)について、2022年8月24日付で、「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」の適応症として新たに厚生労働省より承認を取得いたしましたのでお知らせいたします。

肺がんは罹患率が高く、死亡率の高いがん種です。日本において、2021年の肺がんの予測罹患数は約127,400人、予測死亡数は約74,900人となっています1。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、肺がんの80~85%はNSCLCに分類されます2。また、日本を含むアジアにおいては、NSCLCの約30~40%がEGFR遺伝子変異陽性と診断されており、欧米と比較してその割合が高いことが知られています3。NSCLC患者さん全体の最大30%が、根治が期待される切除可能な早期NSCLCと診断されますが、依然として再発することが課題であり、これまでに、IB期と診断された患者さんの半数近く、およびIIIA期と診断された患者さんの4分の3以上が、5年以内に再発を経験していると報告されています5-7。

厚生労働省による今回の承認は、タグリッソの病理病期II期およびIIIA期のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者さんの術後補助療法における無病生存期間(Disease Free Survival : DFS)を主要評価項目とした第Ⅲ相ADAURA試験のデータに基づいています。

国立がん研究センター東病院の呼吸器外科長でADAURA試験の主任研究者である坪井正博医師は次のように述べています。「EGFR遺伝子変異の有病率が特に日本で高いことを考えると、2016年に日本で承認されて以降、タグリッソは肺がん治療において重要な役割を果たしてきました。今回のADAURAの承認により、EGFR遺伝子変異を有する早期NSCLC患者さんに対して、分子標的治療薬が初めて術後補助療法として使用できるようになります」。

アストラゼネカの執行役員 研究開発本部長の大津智子は次のように述べています。「早期ステージでの腫瘍切除術により、がんが治癒する可能性は高まりますが、化学療法による術後補助療法を受けても、依然として再発や死亡に至る方もいらっしゃることが課題です。今回のタグリッソの適応拡大が、この課題を解決する一助となり、日本のEGFR遺伝子変異を有するNSCLC患者さんの予後改善に大きく貢献するであろうことを大変うれしく思います」。

製品詳細

タグリッソは早期肺がんの治療薬として、日本に加えて米国欧州中国を含む85カ国以上で承認されており、世界各地で薬事承認審査が現在進行中です。

以上

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肺がんについて
肺がんは、男女共にがんによる死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めています8。日本では、2021年に約127,400人が肺がんと診断され、肺がんによる予測死亡数は約74,900人にのぼりました1。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大きく分けられ、肺がん患者さんの80~85%がNSCLCと診断されます9,10。NSCLCの患者さんの大多数は進行がんで診断され、切除可能と診断されるのは全体の約25~30%です5,6。

さらに、切除可能ながん(IB~IIIA期)患者さんでは、手術(腫瘍の完全切除)および術後補助療法としての化学療法を受けても、その多くは再発します7。早期肺がんは、体系的な検診が行われていない場合、偶発的に撮像された画像で発見され、診断されることがほとんどです11,12

アジアでは30~40%、欧米ではおよそ10~15%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しています13-15。これらの患者さんは、がん細胞の増殖を促す細胞シグナル伝達経路を阻害するEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)治療への感受性が高くなります16

ADAURA試験について
ADAURA試験は、腫瘍の完全切除術後(補助化学療法実施の有無は医師と患者さんの判断)のEGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者さん(IB~IIIA期)682例を対象に、タグリッソの術後補助療法に対する有効性、安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第Ⅲ相試験です。患者さんはプラセボあるいはタグリッソ80mg錠1日1回経口投与にて3年間または再発するまで治療を受けました。

なお、本試験は米国、欧州、南米、アジア、中東の20カ国以上、200を超える施設で実施されました。主要評価項目は病理病期II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSであり、重要な副次評価項目は病理病期IB期、II期およびIIIA期の患者さんにおけるDFSです。

データ解析は当初2022年に予定されていましたが、タグリッソが顕著な有効性を示したとして、独立データモニタリング委員会からの勧告に従って早期(2020年)に試験結果が報告されました。2022年にはDFSの最終的な解析がなされました。なお、本試験では全生存期間の評価を引き続き行います。

タグリッソについて
タグリッソ(一般名:オシメルチニブ)は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、中枢神経系転移に対するものを含め、NSCLCにおける臨床活性が実証されています。タグリッソ(40mg錠および80mg錠の1日1回経口投与)は、これまでに全世界で様々な適応にわたり600,000人以上の肺がん患者さんの治療に用いられています。当社は引き続き、様々な病期の、EGFR遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さんの治療薬として、タグリッソを研究していきます。

第Ⅲ相試験としてタグリッソは、切除可能な患者さんを対象とした術前補助療法の試験(NeoADAURA試験)、切除可能なIA2~IA3期の患者さんを対象とした術後補助療法の試験(ADUARA2試験)、ステージIII期の切除不能な局所進行の患者さんを対象とした試験(LAURA試験)および進行/再発の患者さんを対象とした化学療法との併用療法の試験(FLAURA2試験)でも検討が進んでいます。その他の現在進行中の試験として当社は、タグリッソとMet受容体チロシンキナーゼの強力かつ高選択性経口阻害剤であるサボリチニブとの併用療法を評価する第Ⅱ相SAVANNAH試験、第Ⅱ相ORCHARD試験、および第Ⅲ相SAFFRON試験を通じて、腫瘍の耐性メカニズムを解き明かそうとしています。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。

当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ®(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ®(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているsavolitinibなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。

アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。

※トレメリムマブおよびsavolitinibは本邦未承認です。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.JapanとインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカもフォローしてご覧ください。

References
1. 公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’22」
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2022.pdf.
2. American Cancer Society. What is Lung Cancer? Available at:
https://www.cancer.org/cancer/lung-cancer/about/what-is.html. Accessed July 2022.
3. Sekine I, et al. A Japanese lung cancer registry study on demographics and treatment modalities in medically treated patients. Cancer Sci. 2020;111(5):1685-1691.
4. Zhang, Y.L., et al. The prevalence of EGFR mutation in patients with non-small cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis. Oncotarget. 2016; 7(48): 78985–78993.
5. Le Chevalier T. Adjuvant Chemotherapy for Resectable Non-Small-Cell Lung Cancer: Where is it Going? Ann Oncol. 2010;21:196-8.
6. Cagle P, et al. Lung Cancer Biomarkers: Present Status and Future Developments. Archives Pathology Lab Med. 2013;137:1191-1198.
7. Pignon et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol 2008;26:3552-3559.
8. World Health Organisation. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at
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9. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at
https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed May 2021.
10. Cheema PK, et al. Perspectives on treatment advances for stage III locally advanced unresectable non-small-cell lung cancer. Curr Oncol. 2019;26(1):37-42.
11. Sethi S, et al. Incidental Nodule Management – Should There Be a Formal Process? Journal of Thorac Onc. 2016:8;S494-S497.
12. LUNGevity Foundation. Screening and Early Detection. Available at
https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/screening-early-detection. Accessed August 2022.
13. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in 12. Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
14. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
15. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
16. Cross DA, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014;4(9):1046-1061.

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