アストラゼネカのリムパーザ、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者さんに対する術後薬物療法として、EUで承認取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年8月4日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

EUにおいてBRCA遺伝子変異陽性の早期乳がんに対する治療薬として初めての承認取得

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、リムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)が、術前または術後のいずれかに化学療法を受けた生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の高リスク早期乳がん成人患者さんの術後薬物療法として、単剤療法および内分泌療法との併用療法で、欧州連合(EU)で承認されたと発表しました。

欧州委員会による今回の承認は、2021年6月にThe New England Journal of Medicine誌に発表された第Ⅲ相OlympiA試験の結果に基づいており、この適応におけるリムパーザに対して行われた、欧州医薬品庁のCHMP(欧州医薬品評価委員会)によるEUでの承認勧告に従うものです1。本試験において、リムパーザは、プラセボと比較して浸潤性疾患のない生存期間(iDFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示しました。具体的には、浸潤性乳がんの再発、二次がん、または死亡リスクを42%低下させました(ハザード比[HR]0.58;99.5%信頼区間[CI]0.41-0.82; p値<0.0001)。

また、副次評価項目においては、プラセボと比較して全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示し、死亡リスクを32%低下させました(ハザード比[HR]0.68; 98.5% 信頼区間[CI] 0.47-0.97; p値=0.009)。本試験におけるリムパーザの安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験のプロファイルと一貫していました。

乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、2020年に診断された患者さんは推定230万人です2。全乳がん患者さんの約90%が早期乳がんと診断され、欧州では、最大10%の患者さんにBRCA遺伝子変異が認められます3-5

OlympiA試験運営委員会の委員長であり、Oncology at The Institute of Cancer Research, London and Kings College Londonの教授であるAndrew Tutt氏は次のように述べています。「今回の承認は、欧州の遺伝性乳がんの患者さんにとって、治療の新時代の幕開けと言えます。生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異を有する患者さんを含む高リスク早期乳がん患者さんの再発率は依然として非常に高く、4人に1人以上の割合で術後および全身治療後にがんが再発する可能性があります。リムパーザは、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異を有する高リスク早期乳がん患者さんの浸潤性疾患のない生存期間および全生存期間の延長を示した初めてのPARP阻害薬であり、新たな標準治療になると期待しています」。

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者Dave Fredricksonは次のように述べています。「今回の承認により、リムパーザは欧州で生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性を有するHER2陰性の早期乳がん患者さんに処方できる唯一のPARP阻害薬となります。これからは、早期段階でリムパーザのベネフィットを発揮できれば、命にかかわる再発リスクを減少させることができます」。

MSD研究開発本部のグローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーであるEliav Barr氏は次のように述べています。「本日の承認により、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異を有するHER2陰性の早期乳がん患者さんに、新たな、非常に必要とされている治療選択肢を提供できることになります。術後薬物療法としてリムパーザを用いることにより、がん再発や死亡リスクの有意な減少が示されたことから、診断後できるだけ早く生殖細胞系列のBRCA遺伝子検査を実施することが大変重要です」。

2022年3月、リムパーザは生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者さんに対する治療薬として、米国で承認されました。また、第Ⅲ相OlympiAD試験の結果に基づき、化学療法歴のある生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がん患者さんに対する治療薬として、米国、EU、日本およびその他数多くの国々で承認されています。さらに、EUにおいては、局所進行乳がんも適応に含まれます。

BRCA遺伝子変異陽性乳がんにおける術後薬物療法に対するリムパーザの適応は、本邦では未承認です。

以上

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財務上の考慮事項
リムパーザのEUでの承認を受けて、アストラゼネカはMSDからマイルストーンの支払いとして7,500万ドルを受領し、2022年第3四半期に共同収益として計上します。

早期乳がんについて
早期乳がんは、局所リンパ節転移の有無にかかわらず乳房に限局し、遠隔転移性疾患がない疾患として定義されます6,7。EUでは、全がんの約29%を乳がんが占め、女性の7人に1人が生涯に乳がんを発症します。2020年には、新たに乳がんと診断された患者数が35万人にのぼり、9万人以上が死亡したと推定されています8。早期乳がん治療は進歩しているものの、高リスクの臨床的および/または病理学的特徴のある患者さんの最大30%が、数年以内に再発します5。また、BRCA遺伝子変異のある乳がん患者さんは、変異のない患者さんと比較して、通常よりも若年で乳がんと診断される可能性が高くなっています9

乳がんは生物学的に最も多様な腫瘍タイプの1つであり、その発症と進行の背景には、様々な因子が存在します10。乳がんの発症におけるバイオマーカーの発見は、この疾患の科学的な理解に大きな影響を及ぼしています11

OlympiA試験について
OlympiA試験は、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんで、根治的な局所治療および術前または術後補助化学療法を完了した患者さんを対象に、術後薬物療法として投与したときのリムパーザの有効性および安全性をプラセボと比較検討する、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同第Ⅲ相試験です12

本試験の主要評価項目はiDFSであり、無作為化から最初の局所領域再発、遠隔再発、新規がん発現、または死因を問わない死亡までの期間と定義しています1

第Ⅲ相OlympiA試験は、Breast International Group(BIG)がFrontier Science & Technology Research Foundation(FSTRF)、NRG Oncology、アメリカ国立がん研究所、アストラゼネカおよびMSDと提携し、主導しています。また、本試験は、米国においてはNRG Oncologyまた米国以外ではアストラゼネカ社から資金提供を受けています。

BRCA遺伝子変異について
BRCA1およびBRCA2(乳がん感受性遺伝子1/2)は、損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成する遺伝子であり、細胞の安定性維持に重要な役割を果たします10

これら遺伝子のいずれかに変異があるとBRCAタンパクが生成されない、または正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があり、その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子異常を起こす可能性が高くなります。BRCA遺伝子変異陽性のがんは、リムパーザを含むPARP阻害剤への感受性が高くなります13-16

リムパーザについて
リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異など、あるいは他の薬剤(新規ホルモン製剤(NHA)など)により誘発される相同組換え修復(HRR)の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。

リムパーザによるPARP阻害は、DNA一本鎖切断に結合するPARPと結合し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。

リムパーザは現在、DDR経路に欠陥や依存性があるPARP依存性の腫瘍タイプの治療薬として、多くの国で承認されており、白金製剤感受性再発卵巣がんの維持療法を含め、gBRCAmおよび相同組換え欠損(HRD)を有する進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として、単独療法およびベバシズマブとの併用療法がそれぞれ用いられています。さらに、gBRCAmかつHER2陰性転移性乳がん(EUおよび日本では局所進行乳がんを含む)、gBRCAmかつHER2陰性高リスク早期乳がん(EUおよび米国)、gBRCAm転移性膵がん、およびHRR関連遺伝子変異陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(EUおよび日本ではBRCAmのみ)に対しても承認されています。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、がん細胞のDDRを標的治療とした薬剤であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。
なお、本リリースに記載の効能又は効果(適応症)については本邦で承認されている記載と異なる場合があります。本邦における承認状況については、最新の電子化された添付文書をご確認ください。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害薬であるリムパーザおよび、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬であるKoselugo(セルメチニブ)について、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。

両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおける乳がん領域について
アストラゼネカは、乳がんの生物学的な理解が深まってきていることから、より効果的な治療を患者さんに提供するべく、乳がんの分類や治療に対する現在の臨床的パラダイムへの挑戦、再定義を始めており、乳がんによる死亡をなくすことを目標に掲げています。

アストラゼネカは、生物学的に多様な乳がんの腫瘍環境に対応するべく、異なる作用機序の承認済みおよび開発中の有望な化合物からなる包括的なポートフォリオを有しています。
アストラゼネカは、フェソロデックス(フルベストラント)およびゾラデックス(ゴセレリン)、ならびに次世代の経口選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(SERD)および新薬候補のcamizestrantによって、HR陽性乳がんの転帰を継続的に変革することを目指しています。

PARP阻害薬であるリムパーザは、BRCA遺伝子変異を有する早期または転移性乳がん患者さんに対する標的治療薬です。アストラゼネカとMSDは、BRCA遺伝子変異を有する乳がんの患者さんにおけるリムパーザの研究を継続しています。

悪性度の高い乳がんであるトリプルネガティブ乳がん患者さんに必要な治療選択肢を提供するために、アストラゼネカは免疫療法のイミフィンジ(デュルバルマブ[遺伝子組換え])と、リムパーザおよびエンハーツを含む他のがん治療薬との併用試験を行い、化学療法との併用でAKTキナーゼ阻害薬であるcapivasertibの可能性を評価しています。また、第一三共と共同でTROP2指向性ADCであるdatopotamab deruxtecanの可能性を探索しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Tutt ANJ, et al. Adjuvant Olaparib for Patients with BRCA1- or BRCA2-Mutated Breast Cancer. N Engl J Med. 2021;384:2394-2405.
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