| 本資料はアストラゼネカ英国本社が2022年6月8日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。 |
~ The Lancet Respiratory Medicineで発表された結果は
軽症から中等症のCOVID-19の外来患者の治療に対するEvusheldの有用性を支持~
外来患者の治療を目的とした第Ⅲ相TACKLE試験の詳細な結果から、アストラゼネカのEvusheld(チキサゲビマブとシルガビマブの併用療法、開発コード:AZD7442)が、COVID-19の重症化または原因を問わない全死亡リスクを、プラセボと比較して臨床的および統計学的に有意に低下させることが示され、疾患経過の早期でのEvusheldによる治療が転帰の向上につながることが示されました1。
このデータはThe Lancet Respiratory Medicineで発表されました。
TACKLE試験は、症状発現から7日以内の軽症から中等症の症候性COVID-19の外来成人患者を対象として実施されました。本試験では、被験者の90%が併存疾患または年齢のために、COVID-19の重症化リスクが高い集団でした1。
英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの集中治療医学の教授でTACKLE試験の統括治験医師であるHugh Montgomery教授は次のように述べています。「ワクチンの成功にもかかわらず、高齢者や併存疾患を有する患者さん、免疫不全の患者さんなど、多くの人々が依然として重症COVID-19からの転帰が不良となるリスクにさらされています。特に新たな変異株が次々と出現する中で、重症化を抑制し、医療体制への負担を軽減するには、さらなる選択肢が必要です。TACKLE試験の結果は、Evusheldの単回筋肉内投与がこのような人々のCOVID-19重症化を防ぐこと、また早期治療がさらに良い結果をもたらすことを示しています」。
アストラゼネカのバイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalosは次のように述べています。「The Lancet Respiratory Medicineで発表されたこれらの結果は、COVID-19に対する追加の防御を最も必要とする患者さんに対してEvusheldを使用することの根拠をさらに補強するものです。我々はTACKLE試験データについて規制当局と協議しており、あらゆる面でCOVID-19との闘いが支援できるよう、治療と発症抑制(予防)の適応での申請を進めていきます」。
TACKLE試験では、症状発現から7日以内の軽症から中等症のCOVID-19の外来患者において、Evusheld 600mgの単回筋肉内(IM)投与により、本試験の主要評価項目である29日目までのCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)の相対リスクがプラセボと比較して50%有意に低減しました(95%信頼区間[CI]15, 71; p=0.010)。
事前に規定された症状発現から3日以内にEvusheldによる治療を受けた被験者の分析では、プラセボと比較してCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)のリスクが88%低減(95% CI 9, 98)しました。症状発現から5日以内にEvusheldの投与を受けた被験者では、重症化または全死亡(原因を問わない)のリスクが67%低減(95% CI 31, 84)しました1。
また、Evusheldによって副次評価項目である呼吸不全のリスクが72%低減(95% CI 0.3, 92; 名目上のp=0.036)しました。人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)などの措置を必要とした被験者は、Evusheld群では3例(0.7%)であったのに対し、プラセボ群では11例(3%)でした1。
本試験におけるEvusheldの忍容性は、概ね良好でした。有害事象の発現率はプラセボ群とEvusheld群でそれぞれ36%と29%でした。最も多くみられた有害事象はCOVID-19肺炎で、プラセボ群で49例(11%)、Evusheld群で26例(6%)認められました。重篤な有害事象は、プラセボ群で12%、Evusheld群で7%認められました1。COVID-19が原因とされる死亡は、プラセボ群で6例、Evusheld群で3例でした1。
※Evusheld(AZD7442)は、本邦未承認です。
以上
*****
TACKLE試験について
TACKLE試験は、軽症から中等症のCOVID-19の外来患者を治療対象としたEvusheld 600mgの単回筋肉内投与の安全性と有効性をプラセボとの比較により評価する第Ⅲ相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験です。本試験は、米国、中南米、欧州、および日本の95施設で実施されました。903例の被験者が1:1の割合でEvusheld群(452例)とプラセボ(生理食塩水)群(451例)に無作為に割り付けられ、筋肉内注射により2回に分けて連続して投与されました。
被験者は、18歳以上の成人で、症状発現から7日以内の軽症から中等症のCOVID-19の外来患者でした。被験者は、投与前3日以内に採取された気道由来の検体(例えば、口腔咽頭、鼻咽頭の標本、あるいは鼻腔スワブまたは唾液)を用いた分子学的検査(抗原または核酸)により判定され、記録から検査でSARS-CoV-2感染症であることが確認されました。被験者は、スクリーニング時点でCOVID-19に対するワクチン接種を受けていませんでした。
主要有効性評価項目は、投与後29日目までのCOVID-19の重症化または全死亡(原因を問わない)の複合評価項目でした。被験者は15カ月間継続的に追跡されます。
被験者の約13%は65歳以上でした。また、被験者の90%はベースラインの時点で、COVID-19の重症化リスク因子である、がん、糖尿病、肥満、慢性肺疾患、喘息、循環器疾患、あるいは免疫抑制疾患を含む併存疾患や他の特徴を有していました。約62%が白人、4%が黒人・アフリカ系アメリカ人、6%がアジア人、24%がアメリカ先住民またはアラスカ先住民でした。被験者の約52%はスペイン系・ラテン系アメリカ人でした。
アストラゼネカは以前、軽症から中等症の症候性COVID-19患者を対象とした第Ⅲ相TACKLE試験における良好な概略結果を公開しています。
Evusheldについて
Evusheld(開発コード:AZD7442)は、SARS-CoV-2に感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体であるチキサゲビマブ(AZD8895)とシルガビマブ(AZD1061)の併用療法です。米ヴァンダービルト大学メディカルセンターにより発見され、2020年6月にアストラゼネカにライセンス供与されたこの2つのヒトモノクローナル抗体は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の異なる部位に結合します2。また、この2つの抗体はアストラゼネカによって半減期を延長し、Fc受容体および補体C1qとの結合が減弱するように改変が加えられています3。半減期の延長により、本剤の作用持続時間は通常の抗体に比べ3倍以上延長されました4-6。第Ⅲ相PROVENT試験のデータは、少なくとも6カ月間効果が持続することを示しています7。Fc受容体との結合減弱は、ウイルス特異的抗体が、ウイルスの感染や疾患の重症化を予防するのではなく、むしろ促進してしまう現象である抗体依存性感染増強のリスクを最小限に抑えることを目的としています8。
複数の独立したin vitroおよびin vivo(動物モデル)試験により、SARS-CoV-2オミクロン変異株およびこれまでに検出されたすべての懸念される変異株に対するEvusheldの効果を裏付けるデータが蓄積されつつあります9-13。特に、ワシントン大学医学部のデータでは、Evusheldが、現在世界的に主流となっている感染力の高いBA.2変異株に対しても中和活性を保持していることが示されています9,14。この研究では、Evusheldがオミクロン変異株BA.1、BA.1.1、BA.2のウイルス量を減少させ、肺の炎症を抑制することも示されました(in vivo試験)9。オックスフォード大学の新たな非臨床試験では、Evusheldがオミクロン変異株BA.4およびBA.5に対しても中和活性を保持することが示されました13。
Evusheldは、COVID-19の曝露前予防を適応として、欧州連合(European Union:EU)における販売許可を取得し、英国医薬品・医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency:MHRA)より条件付き販売承認を取得しました。米国ではCOVID-19の曝露前予防を適応として緊急使用許可を取得しています。また、現在、世界のその他の国でも使用許可を取得し、供給が行われており、世界では予防と治療の両面での承認申請が進められています。
Evusheldは、米国政府の資金提供を受けて開発中です。この資金には、保健福祉省、事前準備・対応担当次官補局、国防総省と連携する生物医学先端研究開発局、契約番号W911QY-21-9-0001の契約による化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局が拠出するフェデラルファンド(連邦政府の補助金)が含まれています。
ヴァンダービルト大学とのライセンス契約に基づき、アストラゼネカは将来の純売上高の1桁台のパーセンテージのロイヤリティを支払います。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Montgomery H et al. Efficacy and Safety of Intramuscular Administration of AZD7442 (Tixagevimab/Cilgavimab) for Early Outpatient Treatment of COVID-19: The TACKLE Phase 3 Randomised Controlled Trial. Lancet Respir Med. Published online 2022.
2. Dong J et al. Genetic and Structural Basis for SARS-CoV-2 Variant Neutralization by a Two-Antibody Cocktail. Nat Microbiol. 2021;6(10):1233-1244. doi:10.1038/s41564-021-00972-2
3. Loo YM et al. AZD7442 Demonstrates Prophylactic and Therapeutic Efficacy in Non-Human Primates and Extended Half-Life in Humans. Sci Transl Med. 2022;14(635):eabl8124
4. Robbie GJ et al. A Novel Investigational Fc-Modified Humanized Monoclonal Antibody, Motavizumab-YTE, Has an Extended Half-Life in Healthy Adults. Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 2013;57(12):6147. doi:10.1128/AAC.01285-13
5. Griffin MP et al. Safety, Tolerability, and Pharmacokinetics of MEDI8897, the Respiratory Syncytial Virus Prefusion F-Targeting Monoclonal Antibody with an Extended Half-Life, in Healthy Adults. Antimicrob Agents Chemother. 2017;61(3)
6. Domachowske JB et al. Safety, Tolerability and Pharmacokinetics of MEDI8897, an Extended Half-Life Single-Dose Respiratory Syncytial Virus Prefusion F-Targeting Monoclonal Antibody Administered as a Single Dose to Healthy Preterm Infants. Pediatr Infect Dis J. 2018;37(9):886-892
7. Levin MJ et al. Intramuscular AZD7442 (Tixagevimab–Cilgavimab) for Prevention of Covid-19. New England Journal of Medicine. Published online April 20, 2022. doi:10.1056/NEJMoa2116620
8. van Erp EA et al. Fc-Mediated Antibody Effector Functions During Respiratory Syncytial Virus Infection and Disease. Front Immunol. 2019;10(MAR)
9. Case JB et al. Resilience of S309 and AZD7442 Monoclonal Antibody Treatments against Infection by SARS-CoV-2 Omicron Lineage Strains. bioRxiv. Published online March 18, 2022:2022.03.17.484787. doi:10.1101/2022.03.17.484787
10. VanBlargan LA et al. An Infectious SARS-CoV-2 B.1.1.529 Omicron Virus Escapes Neutralization by Therapeutic Monoclonal Antibodies. Nature Medicine 2022. Published online January 19, 2022:1-6. doi:10.1038/s41591-021-01678-y
11. Dejnirattisai W et al. SARS-CoV-2 Omicron-B.1.1.529 Leads to Widespread Escape from Neutralizing Antibody Responses. Cell. 2022;185(3):467-484.e15
12. US Food and Drug Administration FACT SHEET FOR HEALTHCARE PROVIDERS: EMERGENCY USE AUTHORIZATION FOR EVUSHELDTM (Tixagevimab Co-Packaged with Cilgavimab). Available at: https://www.fda.gov/media/154701/download [Last accessed: May 2022]
13. Tuekprakhon A et al. Further Antibody Escape by Omicron BA.4 and BA.5 from Vaccine and BA.1 Serum. bioRxiv. Published online May 21, 2022. doi:https://doi.org/10.1101/2022.05.21.492554
14. World Health Organization. Weekly Epidemiological Update on COVID-19 - 25 May 2022. Available at: https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---25-may-2022 [Last accessed: May 2022]