オックスフォード大学とワシントン大学の研究において、長時間作用型抗体併用療法Evusheld(開発コード:AZD7442)は、オミクロン株に対する中和活性を保持

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年12月23日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

これらの研究でオミクロン株および既知のすべての懸念される変異株に対する活性を示した
米国で認可された2つの抗体療法のうちのひとつ

米国においてCOVID-19の曝露前予防を適応として認可された唯一の抗体医薬

英国のオックスフォード大学ユニバーシティカレッジおよび米国セントルイスのワシントン大学医学部の双方の実物の“生”ウイルスを用いた新たな中和データより、COVID-19の予防としてのアストラゼネカの長時間作用型抗体の併用療法であるEvusheld(チキサゲビマブとシルガビマブの同梱製剤、開発コード:AZD7442)は、SARS-CoV-2の変異株であるオミクロン株(B.1.1.529)に対し中和活性を保持することが示されました。

その結果はプレプリントサーバーであるbioRxivにオンラインで投稿されました。
参照先URL:https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.12.03.471045v2
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2021.12.15.472828v1

抗体の中和能力の評価基準であるEvusheldの50%阻害濃度(IC50)は、オックスフォード大学とワシントン大学の研究において、それぞれ273 ng/ml と147 ng/mlでした1,2。これらの数値は、以前にCOVID-19に感染し自然に回復した人に見られる中和抗体力価3の範囲内でした。

当データは、抗体中和試験の「ゴールドスタンダード」 と考えられるCOVID-19のオミクロン株に感染した個人から分離した実物の生ウイルスを用いた臨床研究により得られたものです4Evusheldはオミクロン株および既知のすべての懸念される変異株に対する中和活性を示した1,2、米国において使用が認可されている2つの抗体療法のうちのひとつです。

これらの結果は2021年12月16日に発表された米国食品医薬品局(FDA)の独立した研究者らのシュードウイルスの中和データと一貫しており、Evusheldがこれまでに検討された全てのSARS-CoV-2の懸念される変異株に対する活性を保持したことを示す一連の非臨床エビデンスを補強するものです5

アストラゼネカのバイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのMene Pangalosは次のように述べています。「第三者による3つの研究からの一貫したデータにより、2つの強力な抗体の併用療法であるEvusheldが、引き続き患者さんにベネフィットを提供できるレベルのオミクロン株に対する中和活性を保持することが確信されました。EvusheldはCOVID-19の曝露前予防を適応として米国で認可された唯一の抗体療法です。我々はEvusheldがワクチン接種に対し免疫が十分に反応せずCOVID-19の発症リスクが高い免疫不全の患者さんなどの感染リスクの高い集団を保護する一助となることを大変喜ばしく思っています」。

Evusheldは、ウイルスに対する異なる補完的な活性を有する2つの強力な抗体を組み合わせることで、新たなSARS-CoV-2変異株の出現による潜在的な抵抗を回避するよう設計されました。

オミクロン株は、Evusheldの臨床試験実施中には広まっていませんでした。当社はこれらのデータから得られた結果の理解をより深めるため、臨床において更なるデータを継続的に収集しています。両研究のデータは査読済みの医学雑誌に投稿される予定です。

Evusheldは、2021年12月、病状あるいは免疫抑制剤の使用により中等度から重度の免疫不全があり、COVID-19ワクチンに対して十分な免疫応答が得られない可能性がある方、あるいはCOVID-19ワクチンの接種が推奨されない方に対する曝露前予防を適応として米国で緊急使用許可を取得しました。

世界人口の約2%にあたる人々はCOVID-19ワクチンに対して十分に反応しないリスクの高い集団であると考えられています6,7。最近の新たなエビデンスは、感染リスクの高い集団をCOVID-19の感染から保護することが、変異株出現の重要な要因であるウイルスの進化を阻止できる可能性を示しています8

※ Evusheld(AZD7442)は本邦未承認です。

以上

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Evusheldについて
Evusheld(開発コード:AZD7442)は、SARS-CoV-2に感染し回復した患者により提供されたB細胞に由来する2種類の長時間作用型抗体であるチキサゲビマブ(AZD8895)とシルガビマブ(AZD1061)の併用療法です。米ヴァンダービルト大学メディカルセンターにより発見され、2020年6月にアストラゼネカにライセンス供与されました。この2つのヒトモノクローナル抗体は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質の固有の部位9に結合します。アストラゼネカは、この2つの抗体とFc受容体および補体C1qとの結合を減弱させることで、半減期を延長しました。この半減期の延長により、本剤の作用持続時間が通常の抗体に比べ3倍以上に延長し、1回の投与後最大12カ月間COVID-19の発症を予防することが可能となりました10-12。 第III相PROVENT試験のデータは少なくとも6カ月間予防が持続することを示し、第I相試験のデータは少なくとも9カ月間高い中和抗体力価が持続することを示しました13。Fc受容体との結合減弱は、ウイルス特異的抗体が、ウイルスの感染や疾患の重症化を予防するのではなく、むしろ促進してしまう現象である抗体依存性感染増強のリスクを最小限に抑えることを目的としています14。Evusheldはチキサゲビマブ150mgとシルガビマブ150mg を2回にわけ連続して筋肉注射で投与します。

2021年12月、米国食品医薬品局はEvusheld(チキサゲビマブとシルガビマブの同梱製剤)に対し、曝露前予防を適応として緊急使用許可を付与しました。同剤は、ウイルスへの曝露前にCOVID-19の症状の発症を予防する米国で認可された唯一の抗体療法です。また、Evusheldは米国以外の数カ国でCOVID-19の発症予防を適応とする緊急使用が許可されています。

2021年8月、アストラゼネカはEvusheldがPROVENT試験において症候性COVID-19の発症リスクの統計的に有意な低減を示したことを発表しました。2021年11月8日に発表した6カ月時点での解析における有効性は、プラセボと比較して83%でした。2021年10月、アストラゼネカはEvusheldの第III相TACKLE試験の良好な結果概要を発表しました。また、Evusheldは、米国国立衛生研究所のACTIV-3試験および新たなコラボレーター入院患者治療試験の一環として、COVID-19入院患者の治療薬候補としても検討されています。

Evusheldは、米国政府の資金提供を受けて開発中です。この資金には、保健社会福祉省、事前準備・対応担当次官補局、国防総省と連携する米国生物医学先端研究開発局、契約番号W911QY-21-9-001の契約による化学・生物・放射性物質・核防衛統合計画事務局が拠出するフェデラルファンド(連邦政府の補助金)が含まれています。

ヴァンダービルト大学とのライセンス契約に基づき、アストラゼネカは将来の純売上高の1桁台のパーセンテージのロイヤリティを支払います。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、オンコロジー、希少疾患および循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマにおいて、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはastrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。

References
1. Dejnirattisai W, et al. Omicron-B.1.1.529 leads to widespread escape from neutralizing antibody responses. bioRxiv. 2021; doi: 10.1101/2021.12.03.471045.
2. VanBlargan LA, et al. An infectious SARS-CoV-2 B.1.1.529 Omicron virus escapes neutralization by several therapeutic monoclonal antibodies. bioRxiv. 2021; doi: 10.1101/2021.12.15.472828.
3. Neerukonda SN et al. Establishment of a well-characterized SARS-CoV-2 lentiviral pseudovirus neutralization assay using 293T cells with stable expression of ACE2 and TMPRSS2. PLoS ONE. 2021.16(3): e0248348.  Available at: https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0248348 [Last accessed: December 2021].
4. Shi AC, et al. SARS-CoV-2 serology testing: Progress and challenges. J Immunol Methods. 2021 Jul; 494: 113060. Available at: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8071778/  [Last accessed: December 2021]
5. ACTIV. National Center for Advancing Translational Sciences Open Data Portal. SARS-CoV-2 Variants & Therapeutics, All Variants Reported in vitro Therapeutic Activity. Available at: https://opendata.ncats.nih.gov/variant/activity. [Last accessed: December 2021].
6. Oliver, S MD. Data and clinical considerations for additional doses in immunocompromised people. ACIP Meeting July 22, 2021. Available at: https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/downloads/slides-2021-07/07-COVID-Oliver-508.pdf. [Last accessed: December 2021].
7. AstraZeneca data on file.
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9. Dong J, et al. Genetic and structural basis for recognition of SARS-CoV-2 spike protein by a two-antibody cocktail. bioRxiv. 2021; doi: 10.1101/2021.01.27.428529.
10. Robbie GJ, et al. A novel investigational Fc-modified humanized monoclonal antibody, motavizumab-YTE, has an extended half-life in healthy adults. Antimicrob Agents Chemother. 2013; 57 (12): 6147-53.
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13. AstraZeneca news release. New analyses of two AZD7442 COVID-19 trials in high-risk populations confirm robust efficacy and long-term prevention.  Available at: https://www.astrazeneca.com/media-centre/press-releases/2021/new-analyses-of-two-azd7442-covid-19-phase-iii-trials-in-high-risk-populations-confirm-robust-efficacy-and-long-term-prevention.html. [Last accessed: December 2021].
14. van Erp EA, et al. Fc-mediated antibody effector functions during respiratory syncytial virus infection and disease. Front Immunol. 2019; 10: 548.

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