アストラゼネカのカルケンス、第Ⅲ相ASCEND試験の3年間追跡データにおいて、標準治療併用療法との比較で、病勢進行または死亡のリスクを71%低減

本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年12月12日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

今年のASHで発表されたカルケンスとイブルチニブの直接比較試験となる
ELEVATE-RR試験における有害事象の発現に関するデータ

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO:パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相ASCEND試験における3年間の良好な追跡データを2021年12月12日に、第63回米国血液学会(ASH)年次総会で発表しました。本試験は欧米において成人で最も発症頻度の高いタイプの白血病である慢性リンパ性白血病(CLL)で、再発または難治性の成人患者さんを対象とした試験であり、3年間の追跡データにおいても、カルケンス®(一般名:アカラブルチニブ、以下、カルケンス)は、欧米において、リツキシマブとイデラリシブ(IdR)またはベンダムスチン(BR)のいずれかの併用療法と比較して、統計的に有意な無増悪生存期間(PFS)に対するベネフィットを維持しました1,2

ASHで発表されたこれらのデータから、カルケンスは3年間の追跡データにおいて、IdR/BRに対して、治験責任医師による評価に基づく病勢進行または死亡のリスクを71%低減させることが示されました(ハザード比[HR]0.29、95%信頼区間[CI]0.21-0.41、p<0.0001)。各レジメンとカルケンスを比較した探索的解析でも、同様の臨床的ベネフィットが認められました。カルケンスの安全性および忍容性は、これまでの所見と一致しており、新たな安全性に関するシグナルは確認されませんでした1

第Ⅲ相ELEVATE-RR試験から得られた安全性の追加解析の結果もASHで発表され、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるカルケンスとイブルチニブによる治療に関連する有害事象(AE)がさらに詳しく示され、全グレードの有害事象の発現は、イブルチニブ投与群で37%高値でした3

ELEVATE-RR試験の重要な副次的評価項目である、あらゆるグレードの心房細動/心房粗動について、発症までの期間の中央値はカルケンス投与群が28.8カ月であったのに対し、イブルチニブ投与群は16.0カ月でした。

さらに、第Ⅲ相ELEVATE-RR試験では、年齢、前治療ライン、心合併症の既往歴のない患者さんのいずれのサブグループにおいても、カルケンス投与群で全グレードの心房細動/心房粗動の発現率が低値でした3

Peter MacCallum Centre およびRoyal Melbourne Hospital の医師であり、ELEVATE-RR試験の治験責任医師であるJohn F. Seymour博士は次のように述べています。「再発または難治性の慢性リンパ性白血病患者さんは、高齢で重い併存疾患を抱えている場合が多いため、疾患管理を上手に行うための選択肢が限られています。心臓の有害事象のリスクは、重大な病的状態を引き起こす場合があり、また患者さんの治療中止にもつながるため、特にブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬による治療が行われる際には重要な考慮事項です。ELEVATE-RR試験のデータから、カルケンスは心血管毒性の軽減が期待できる、忍容性の高い選択肢の一つであるという説得力のあるエビデンスが得られました。この薬剤を処方することで、有害事象のために治療を中止する患者さんが減ることが期待され、治療判断が複雑な状況においても疾患の管理を継続でき、臨床医にさらなる安心感を与えることになると期待しています」。

カルケンス添付文書(重大な副作用)
11.1.4不整脈
心房細動(1.8%)、心房粗動(頻度不明)等の重篤な不整脈があらわれることがある。[8.4、9.1.1参照]

アストラゼネカの血液領域R&DのシニアバイスプレジデントであるAnas Younesは次のように述べています。「今回得られた新しい長期データは、現在の標準治療と比較して、カルケンスが成人で最も発症頻度の高いタイプの白血病に対する好ましい治療法であり、忍容性も良好であることを示しています。カルケンスの従来とは異なる服用方法を必要とする患者さんに新しい錠剤処方をもたらしたことに加えて、ASCEND試験とELEVATE-RR試験のデータ全体が、この薬がCLL患者さんにお届けできる薬剤であることを裏付けています」。

ASCEND試験:再発または難治性CLLを対象としたカルケンスの3年間追跡データ(抄録#393)
ASCEND試験は、再発または難治性CLLを対象に、カルケンス(100mgを1日2回、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで投与)の有効性および安全性を、治験責任医師の選択によるIdRまたはBRと比較評価した無作為化多施設非盲検国際共同第Ⅲ相試験です1,5。ASCEND試験は、単剤療法のBTK阻害薬を、標準治療の化学免疫療法またはイデラリシブとリツキシマブの併用療法と直接比較した初めての無作為化試験です。

 



有害事象により治療中止に至ったのは、カルケンス投与群で21%、IdR投与群で65%、BR投与群で17%でした。臨床的に注目すべき事象はカルケンス投与群と比較群において、心房細動/心房粗動(全グレード、それぞれ6%と3%)、高血圧(全グレード、それぞれ7%と4%)、大出血(全グレード、両群それぞれ3%)、感染症(グレード3以上、それぞれ25%と27%)、非黒色腫皮膚癌を除く二次原発悪性腫瘍(全グレード、それぞれ7%と3%)でした。重篤な有害事象(グレード不問)は、カルケンス群38%、IdR群63%、BR群26%でした1

ELEVATE-RR試験:再発または難治性のCLLを対象としたカルケンスとイブルチニブの安全性に関する追加解析(抄録#3721)第Ⅲ相ELEVATE-RR試験の結果は、2021年6月7日に米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で初めて発表され、2021年7月26日に Journal of Clinical Oncology に掲載されました。

また、追加の安全性データが、BTK阻害薬に関連する有害事象の特徴を明らかにするために使用されました。具体的には、有害事象の負荷を測定するために頻度、持続期間および薬物曝露の測定値(対発現率のみ)を用いました。治療曝露期間の中央値は、カルケンス投与群で38.3カ月、イブルチニブ投与群で35.5カ月でした。

高血圧については、いずれのグレードでもカルケンス群、イブルチニブ群でそれぞれ、発症までの期間の中央値8.1カ月対7カ月、累積発症率は6カ月(5%対12%)、12カ月(6%対16%)、18カ月(8%対20%)および24カ月(8%対23%)でした。また、年齢、前治療ライン、および前歴のない患者さんのいずれのサブグループでも、カルケンス投与群が低値でした3

臨床的に注目すべき心血管系有害事象のうち、あらゆるグレードの心房細動/心房粗動、高血圧および出血の発現率は、イブルチニブ投与群が統計的に高値であり、曝露量調整後の発現率(それぞれ2.0倍、2.8倍、1.6倍)および曝露量調整後のイベント発現時間は2.8倍、3.7倍、1.8倍でした3

以上

*****

慢性リンパ性白血病(CLL)について
CLLは成人白血病において欧米では最も患者数が多く、2017年には世界で新たに114,000例が診断されており、治療の発展による生存期間の延長に伴い患者数は増加するとみられています2,6-8

CLLでは、骨髄中の造血幹細胞が過剰に異常なリンパ球となり、これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いことが知られています。異常細胞数が増えるに従い、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため、貧血、感染および出血を引き起こす可能性があります6。BTKを介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLの基本的な増殖経路の一つです。

ASCEND試験について
ASCEND試験(ACE-CL-309)は、再発または難治性CLL患者さんを対象に、カルケンスの有効性を検討した無作為化多施設非盲検国際共同第Ⅲ相試験です5,9

本試験では、310例の患者さんを2群に無作為割付け(1:1)しました。1群目の患者さんには、カルケンス単剤療法(病勢進行または許容できない毒性が現れるまで100mgを1日2回投与)を行いました。2群目の患者さんには、治験担当医師の選択により、CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブとPI3K阻害薬であるイデラリシブとの併用療法、またはリツキシマブと化学療法であるベンダムスチンとの併用療法のいずれかを行いました9

中間解析結果時の主要評価項目は独立判定委員会(IRC)の評価によるPFS、副次評価項目は治験担当医師の評価によるPFS、IRCおよび治験担当医師の評価による全奏効率および奏効期間、全生存期間、患者さんが報告したアウトカム、ならびに次治療までの期間でした。

ASCEND試験は、再発または難治性CLL患者さんを対象に、BTK阻害剤について、単剤療法とこれらの併用療法を直接比較した初の第Ⅲ相無作為化試験です5,9

ELEVATE-RR試験について
ELEVATE-RR(ACE-CL-006)試験は、少なくとも一度の治療歴を有する再発または難治性のCLL患者さんで、以下の予後因子(17p欠失または11q欠失、あるいはその両方の欠失が認められる場合)を伴うCLL患者さんを対象に、カルケンスとイブルチニブを比較する無作為化多施設共同非盲検第Ⅲ相非劣性試験です10,11

本試験では、533例の患者さんを1対1の比率で2群に無作為割付けしました。1群目の患者さんには、病勢進行または許容できない毒性が発現するまでカルケンス(100mg)を1日2回経口投与しました。これに対して2群目の患者さんには、病勢進行または許容できない毒性が発現するまでイブルチニブ(420mg)を1日1回経口投与しました11

本試験の主要評価項目は、IRCの評価に基づくPFS(250件の増悪または死亡発現後の解析で、HRの95%信頼区間の上限が非劣性マージン1.429未満の場合非劣性と判定)でした。副次評価項目には、心房細動の発現率、試験治療下で発現したグレード3以上の感染症の発現率、リヒター形質転換(CLLが悪性度の高いリンパ腫に変化する病態12)の発現率および全生存期間を含めました11

心房細動は心拍が不規則な状態であり、脳卒中、心不全およびその他の心臓関連合併症のリスクを高める可能性があります4

ELEVATE-RRは、再発または難治性CLLを対象に、単剤療法としての2種類のBTK阻害薬を直接比較した初の第Ⅲ相無作為化試験です。

カルケンスについて
カルケンス(アカラブルチニブ)は、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。カルケンスはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します13,14。B細胞内においてBTKシグナル伝達は、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています13

カルケンスは米国でCLLおよびSLLの治療薬として、EUをはじめとする複数の国々でCLLの治療薬として、日本では「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」の治療薬として承認されています。また、日本ではCLLの一次治療薬として第Ⅰ相試験も実施しています。

米国をはじめ複数の国々では、カルケンスは、少なくとも一度の治療歴を有するマントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者さんの治療薬としても承認されています。米国でのMCLに対する適応は、全奏効率に基づいた迅速承認を受けました。本適応症に対する継続的な承認は、検証的試験による臨床的ベネフィットの検証および説明が条件となる可能性があります。現時点では、カルケンスは欧州および日本ではMCLの治療薬として承認されていません。

広範な臨床開発プログラムの一環として、現在、アストラゼネカとAcerta Pharmaでは、カルケンスについて、20を超える臨床試験を実施しています。カルケンスは、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性マクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫、およびその他の血液悪性腫瘍を含む複数のB細胞性の血液がんの治療薬として評価中です。

アストラゼネカにおける血液領域について
アストラゼネカは、血液領域における治療を再定義するため、サイエンスの限界に挑戦しています。血液腫瘍への深い理解と固形がんにおける強みを活かし、6つの科学的基盤で疾患の根本的な原因を標的として新しい治療法の開発を推進しています。

アンメットメディカルニーズの高い血液腫瘍への取り組みにより、患者さんや介護者の方々に有意義な影響を与える革新的な医薬品と医療サービスへのアプローチを提供し、血液腫瘍の治療経験を変革することを目指しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
https://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Jurczak W, Pluta A, Wach M, et al. Three-Year Follow-Up of the ASCEND Trial: Acalabrutinib vs Rituximab Plus Idelalisib or Bendamustine in Relapsed/Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia. Oral presentation at: American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition; December 11-14, 2021; virtual. Abs: 393.
2. American Cancer Society. What is Chronic Lymphocytic Leukemia. Available online. Accessed December 2021.
3. Seymour JF, Byrd J, Hillmen P, et al. Characterization of Bruton Tyrosine Kinase Inhibitor (BTKi)-Related Adverse Events in a Head-to-Head Trial of Acalabrutinib Versus Ibrutinib in Previously Treated Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL). Poster presentation at: American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition; December 11-14, 2021; virtual. Abs: 3721.
4. Mayo Clinic. Patient Care & Health Information, Diseases & Conditions - Atrial Fibrillation. Available online. Accessed December 2021.
5. ClinicalTrials.gov. A Study of Acalabrutinib vs Investigator's Choice of Idelalisib Plus Rituximab or Bendamustine Plus Rituximab in R/R CLL. NCT identifier: NCT02970318. Available online. Accessed December 2021.
6. National Cancer Institute. Chronic Lymphocytic Leukemia Treatment (PDQ®)–Patient Version. Available online. Accessed December 2021.
7. Global Burden of Disease Cancer Collaboration. Global, Regional, and National Cancer Incidence, Mortality, Years of Life Lost, Years Lived With Disability, and Disability-Adjusted Life-Years for 29 Cancer Groups, 1990 to 2017. JAMA Oncol. 2019;5(12):1749-1768.
8. Jain N, Chen Q, Ayer T, et al. Prevalence and Economic Burden of Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL) in the Era of Oral Targeted Therapies. Blood. 2015;126:871.
9. Ghia P, Pluta A, Wach M, et al. ASCEND: Phase III, Randomized Trial of Acalabrutinib Versus Idelalisib Plus Rituximab or Bendamustine Plus Rituximab in Relapsed or Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia [published online ahead of print, 2020 May 27]. J Clin Oncol. 2020;38(25):2849-2861.
10. ClinicalTrials.gov. Study of Acalabrutinib (ACP-196) Versus Ibrutinib in Previously Treated Subjects With High Risk CLL. NCT identifier: NCT02477696. Available online. Accessed December 2021.
11. Byrd JC, et al. Acalabrutinib Versus Ibrutinib in Previously Treated Chronic Lymphocytic Leukemia: Results of the First Randomized Phase III Trial. J Clin Oncol. 2021;39(31):3441-3452.
12. Leukaemia Foundation. Richter’s Syndrome. Available online. Accessed December 2021.
13. CALQUENCE (acalabrutinib) [U.S. prescribing information]. Wilmington, DE; AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2019.
14. Wu J, Zhang M, Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).

tags

  • オンコロジー