アストラゼネカのイミフィンジとトレメリムマブの併用療法、第Ⅲ相HIMALAYA試験において切除不能な肝がん患者さんの一次治療として全生存期間を有意に延長

ソラフェニブとの比較において、イミフィンジの4週間おき投与と
トレメリムマブのプライミング単回投与の併用療法が
主要評価項目である全生存期間の延長を達成

イミフィンジ単剤療法はソラフェニブと比較して、
副次評価項目である全生存期間の非劣性を達成

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第Ⅲ相HIMALAYA試験の良好な結果から、切除不能な肝細胞がん(HCC)患者さんのうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法が適さない患者さんの一次治療として、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])に免疫反応を誘導(プライミング)する高用量のトレメリムマブ単回投与を追加した併用療法が、ソラフェニブと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したことを発表しました。抗CTLA-4抗体であるトレメリムマブおよびイミフィンジのこの新規の用量および投与スケジュールは、STRIDEレジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)と呼ばれます。この併用療法は良好な安全性プロファイルを示しており、イミフィンジにトレメリムマブを追加しても重度の肝毒性の発現が増加することはありませんでした。

イミフィンジ単剤療法は、OSにおいてソラフェニブに対する非劣性を示し、数値上は良好な傾向にありました。さらにソラフェニブと比較して忍容性プロファイルの改善が認められました。

肝がんのもっとも一般的な腫瘍型はHCCです。肝がんは、がんによる死因の第3位であり、毎年約90万人が肝がんと診断されており、世界で6番目に多く診断されているがんです1,2。進行性肝がんの5年生存率はわずか7%です3

Memorial Sloan Kettering Cancer Centerの指導医で、第Ⅲ相HIMALAYA試験の治験責任医師である Ghassan Abou-Alfa医師は次のように述べています。「HIMALAYA試験は、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジに、新たに抗CTLA-4抗体をプライミングとして単回追加投与する初めての第Ⅲ相試験です。これにより、肝がんに対する患者さん自身の免疫系の機能を高め、副作用を最小限にとどめながら生存期間の最大化が期待できます。これは肝がんの患者さんにとって非常に素晴らしいニュースです」。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraithは次のように述べています。「いくつかの臨床試験において、CTLA-4の阻害によって生存曲線のテールで特にベネフィットが大きくなることが示されています。今回の臨床試験は、治療選択肢が限られており、長期生存の結果が不良の切除不能な肝がん患者さんの一次治療として、2つの免疫療法の組合わせレジメンが全生存期間を延長した初めての試験となります」。

第Ⅲ相HIMALAYA試験のデータは、今後の医学学会で発表予定です。

イミフィンジおよびトレメリムマブは、2020年、HCCの治療薬として、米国で希少疾病用医薬品の指定を受けました。また、トレメリムマブは、2020年、HCCの治療薬としてEUでも希少疾病用医薬品の指定を受けました。

以上

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肝がんについて
HCCは全原発性肝がんの75%を占めます1 。すべてのHCC患者さんの80~90%は、主にB型またはC型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる肝硬変を併発しています4。慢性肝疾患は、関連する炎症が時間の経過とともに免疫抑制をもたらし、HCCを発症する可能性があります4,5

肝がんの免疫環境は特異であるため、HCCの治療においては免疫系の力を利用する医薬品の研究が必要です6。加えて、HCCは、治療選択肢が限られているため、患者さんにとって重大なアンメットニーズが存在する分野です6。さらに、患者さんの半数以上は、病期が進行して症状が現れてから初めてHCCと診断されます6

HIMALAYA試験について
HIMALAYA試験は、切除不能な進行HCC患者さんのうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法(肝臓とその周辺組織の局所療法)が適さない患者さん合計1,324例を対象とした、第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験です。本試験では、イミフィンジ単剤療法およびイミフィンジ1,500 mgに加えてプライミング量としてトレメリムマブ300 mgを初回単回追加投与し、その後4週間ごとにイミフィンジを投与するSTRIDEレジメンと、マルチキナーゼ阻害薬である標準治療薬のソラフェニブを比較しました。

この試験は、米国、カナダ、欧州、南米、アジアなど16カ国190施設で実施されています。主要評価項目はソラフェニブと比較したSTRIDEレジメンの全生存期間であり、主要な副次評価項目はソラフェニブと比較したイミフィンジの全生存期間、STRIDEレジメンおよびイミフィンジ単剤療法の客観的奏効率および無増悪生存期間(PFS)でした。

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者を対象として、切除不能な局所進行(ステージIII)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として承認された免疫療法です。

また、イミフィンジは、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本、中国およびその他の世界中の多くの国々で承認されています。

イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCに対する承認に加え、第Ⅲ相CASPIAN試験に基づき進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本およびその他の多くの国々で承認されています。また、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても複数の国々で承認されています。2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。

ステージIV(転移性)のNSCLCの一次治療では、第Ⅲ相POSEIDON試験の良好な結果より、イミフィンジと化学療法に加えてトレメリムマブ75 mgの短期間の投与が、化学療法と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるOSおよびPFSの延長が示されました。

広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、肝細胞がん、胆道がん(肝がんの一種)、食道がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。

トレメリムマブについて
トレメリムマブ(遺伝子組換え)は開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強します。トレメリムマブ(遺伝子組換え)はイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムにおいて開発中です。

消化器がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、様々な腫瘍型や病期にわたる複数の医薬品において、消化器がんの治療薬の広範な開発プログラムを展開しています。2020年、約510万人が新規に消化器がんと診断され、約360万人が死亡しました7

このプログラムにおいて、当社は胃がん、肝がん、胆道がん、食道がん、膵がんおよび結腸直腸がんの転帰の改善に全力で取り組んでいます。

イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])は、現在、トレメリムマブなどとの併用療法で、早期から後期がんまでを対象とした広範な開発プログラムにおいて、肝細胞がん(HCC)、胆道がん(BTC)、食道がんおよび胃がんの治療薬として評価が行われています。

また、当社は、HER2に対する抗体薬物複合体であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)の、もっとも一般的な消化器がんである結腸直腸がんと胃がんの2つのがん種の治療薬としての可能性を理解することを目指しています2。エンハーツは、アストラゼネカが第一三共と共同で開発と商業化を行っています。

リムパーザ(一般名:オラパリブ)はファーストインクラスのPARP阻害剤であり、膵がんや結腸直腸がんなど、様々な消化器がんの治療薬として、広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを実施しています。リムパーザは、MSD(米国およびカナダではMerck & Co., Inc.)と共同で開発と商業化を行っています。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については
http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. ASCO. Liver Cancer: View All Pages. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/liver-cancer/view-all. Accessed October 2021.
2. WHO. Liver Cancer Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/11-Liver-fact-sheet.pdf. Accessed October 2021.
3. Sayiner M, et al. Disease Burden of Hepatocellular Carcinoma: A Global Perspective. Digestive Diseases and Sciences. 2019; 64: 910-917.​
4. Tarao K, et al. Real impact of liver cirrhosis on the development of hepatocellular carcinoma in various liver diseases—meta‐analytic assessment. Cancer Med. 2019; 8(3): 1054-1065.
5. Yu LX, et al. Role of nonresolving inflammation in hepatocellular carcinoma development and progression. Precision Oncology. 2018: 2(8).
6. Colagrande S, et al. Challenges of advanced hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol. 2016; 22(34): 7645-7659.
7. WHO. World Cancer Fact Sheet. Available at: https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf. Accessed October 2021.

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