アストラゼネカ、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤「カルケンス(アカラブルチニブ)」の販売を開始

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、「アストラゼネカ」)は本日、「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能又は効果とした、「カルケンス®カプセル100mg」(一般名:アカラブルチニブ、以下、「カルケンス」)の販売を開始したことをお知らせいたします。カルケンスは、経口投与可能な次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。

【アストラゼネカ 執行役員 オンコロジー事業本部 事業本部長のコメント】
カルケンスの販売にあたり、アストラゼネカ 執行役員 オンコロジー事業本部 事業本部長の森田慎一郎は次のように述べています。「慢性リンパ性白血病は長期の治療を必要とする高齢の患者さんが多く、持続的な効果と安全性の認められた治療法についてのアンメットニーズが存在します。こうした患者さんに、新たな治療選択肢となるカルケンスを提供できることを心から嬉しく思います。臨床データを基に本剤の有効性・安全性情報を医療現場にしっかりと提供し、今後もがん患者さんの治療に貢献してまいります」。

【カルケンスについて】
カルケンスは、2021年1月22日に「再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を効能又は効果として製造販売承認された、次世代の選択的BTK阻害剤です。
カルケンスはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します1,2。B細胞内においてBTKシグナル伝達は、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています1。カルケンスは、これまでのBTK阻害剤と作用機序はほぼ同様ですが、BTKに対する選択性が高いことが特徴です。

カルケンスは2019年11月に米国で慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫の治療薬として承認を取得し、EUをはじめとする50か国以上の国々でCLLの治療薬として承認されています。加えて、2017年10月に米国にて、その後複数の国々で、少なくとも1回の前治療歴のあるマントル細胞リンパ腫の成人患者さんの治療薬として承認されています。

【カルケンスの有効性と安全性】
本邦におけるカルケンスの製造販売承認は、国内第Ⅰ相試験および国際共同第Ⅲ相試験(ASCEND試験)の中間解析の良好な結果に基づいています。ASCEND試験の中間解析では、カルケンス単剤療法群は、リツキシマブと治験担当医師の選択によるidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群(IR群/BR群)と比較して、無増悪生存期間(PFS)において統計的に有意で臨床的に意義のある改善が示されました。カルケンスは、病勢進行または死亡のリスクを69%減少させました(ハザード比:0.31、95%信頼区間:0.20-0.49、p <0.0001)。なお、これらの中間解析の結果はJournal of Clinical Oncology(2020年1月)に掲載され、最終解析は第63回アメリカ血液学会(2020年12月)で発表されています3

有害事象は、カルケンス群では安全性評価対象例144/154例(93.5%)、Idelalisib+リツキシマブ併用療法群(IR群)で117/118例(99.2%)、ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法群(BR群)で28/35例(80.0%)に認められました。グレード3以上の有害事象を発現した患者さんはカルケンス群で76/154例(49.4%)に対し、IR群で106/118例(89.8%)、BR群で17/35例(48.6%)でした4,5(承認時)。

※詳細は最新の添付文書をご覧ください。

以上

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慢性リンパ性白血病(CLL)について
CLLは成人白血病において欧米では最も患者数が多く、2016年には世界で新たに105,000例が診断されており、治療の発展による生存期間の伸長に伴い患者数は増加するとみられています6-9。CLLでは、骨髄中の造血幹細胞が過剰に異常なリンパ球となり、これらの異常細胞は、感染症に対する防御力が低いことが知られています。異常細胞数が増えるに従い、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため、貧血、感染および出血を引き起こす可能性があります10。BTKを介するB細胞受容体のシグナル伝達は、CLLの基本的な増殖経路の一つです。

慢性リンパ性白血病(CLL)は欧米では最も患者数が多い白血病となりますが、日本および東アジアでは稀な疾患と見なされており、白血病と診断された患者さんの1~2%を占める程度です10-12

ASCEND試験について
ASCEND試験(ACE-CL-309)は、再発または難治性CLL患者さんを対象に、カルケンスの有効性を検討した無作為化多施設非盲検国際共同第Ⅲ相試験です。本試験では、310例の患者さんを2群に無作為割付け(1:1)しました。1群目の患者さんには、カルケンス単剤療法(病勢進行または許容できない毒性が現れるまで100mgを1日2回投与)を行いました。2群目の患者さんには、治験担当医師の選択により、CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブとPI3K阻害薬であるidelalisibとの併用療法、またはリツキシマブと化学療法であるベンダムスチンとの併用療法のいずれかを行いました3

主要評価項目は独立判定委員会(IRC)の評価によるPFS、副次評価項目は治験担当医師の評価によるPFS、IRCおよび治験担当医師の評価による全奏効率および奏効期間、ならびに全生存期間、患者さんが報告したアウトカム、および次治療までの期間でした3。ASCEND試験は、再発または難治性CLL患者さんを対象に、BTK阻害剤について、単剤療法とこれらの併用療法を直接比較した初の第Ⅲ相無作為化試験です。

アストラゼネカにおける血液腫瘍領域について
がん領域における強みを活かし、アストラゼネカは血液腫瘍を4つの重点がん疾患領域のひとつとして確立しました。当社の血液腫瘍フランチャイズは米国FDAにより承認された2つの治療薬と血液腫瘍治療薬候補の広範なポートフォリオのための強固なグローバル開発プログラムを有しています。Acerta Pharmaはアストラゼネカの血液腫瘍領域における中核的研究開発拠点としての役割を果たしています。アストラゼネカはアンメットニーズに応えるために治療薬の創薬および開発を進展させるため、志を同じくするサイエンス志向の企業と提携しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に7つの新薬の販売を開始し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液腫瘍に焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体、エピジェネティクスおよび細胞療法の6つの科学的基盤を強化し、個別化併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においても、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、および呼吸器・免疫を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。

References
1. Calquence® (acalabrutinib) [prescribing information]. Wilmington, DE; AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2019.
2. Wu J, Zhang M & Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).
3. Ghia P, et al. ASCEND: Phase III, Randomized Trial of Acalabrutinib Versus Idelalisib Plus Rituximab or Bendamustine Plus Rituximab in Relapsed or Refractory Chronic Lymphocytic Leukemia [published online ahead of print, 2020 May 27]. J Clin Oncol. 2020; JCO1903355. doi:10.1200/JCO.19.03355.
4. 社内資料:アカラブルチニブの海外第III相試験(ACE-CL-309[ASCEND])(2021年1月22日承認、CTD2.7.6.2.12)
5. Ghia P, et al.: J Clin Oncol.2020;38(25):2849-2861
6. American Cancer Society. What is Chronic Lymphocytic Leukemia? Available at
https://www.cancer.org/cancer/chronic-lymphocytic-leukemia/about/what-is-cll.html. Accessed August 2020.
7. National Cancer Institute. Chronic Lymphocytic Leukemia Treatment (PDQ®)–Patient Version. Available at https://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/cll-treatment-pdq. Accessed August 2020.
8. Global Burden of Disease Cancer Collaboration. Global, Regional, and National Cancer Incidence, Mortality, Years of Life Lost, Years Lived With Disability, and Disability-Adjusted Life-Years for 29 Cancer Groups, 1990 to 2016. JAMA Oncol. 2018;4(11):1553-1568.
9. Jain N, et al. Prevalence and Economic Burden of Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL) in the Era of Oral Targeted Therapies. Blood. 2015;126:871.
10. National Cancer Institute. Chronic Lymphocytic Leukemia Treatment (PDQ®)–Patient Version. Available at: https://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/cll-treatment-pdq. Accessed April 2021.
11. Mahlich J, Okamoto S, Tsubota A. Cost of Illness of Japanese Patients with Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL), and Budget Impact of the Market Introduction of Ibrutinib. Pharmacoecon Open. 2017;1(3):195-202. doi:10.1007/s41669-017-0024-5.
12. National Cancer Institute Cancer Information Service. Chronic Lymphocytic Leukemia/Small Lymphocytic Lymphoma. Available at: https://ganjoho.jp/public/cancer/CLL/index.html Accessed November 2020.

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