アストラゼネカのイミフィンジ、進展型小細胞肺がんの治療薬として米国で承認取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年3月30日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

イミフィンジは、エトポシドとカルボプラチンまたはシスプラチンとの併用療法で
有意な全生存期間の延長を示した唯一のPD-1/PD-L1免疫治療薬

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、3月30日、アストラゼネカのイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])が、進展型小細胞肺がんの成人患者さんに対する一次治療として標準治療である化学療法(エトポシドとカルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、米国において承認されたことを発表しました。

今回の米国食品医薬品局による承認は、第Ⅲ相CASPIAN試験の良好な結果に基づくものであり、本試験において、イミフィンジと標準治療である化学療法との併用療法は、化学療法単独群と比較して統計学的に有意で臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示しました。

小細胞肺がんは悪性度が高く増殖の速いがんであり、化学療法で奏効が認められたとしても一般的に再発し、急速に進行します1,2

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者であるDave Fredricksonは次のように述べています。「米国におけるイミフィンジの今回の承認により、新たな治療選択肢を緊急に必要としている進展型小細胞肺がん患者さんへ新薬を提供することができます。イミフィンジは、化学療法との併用療法で、有意なOS延長と奏効率改善の両方を示す唯一の免疫治療薬であり、今回の承認はこの重篤な疾患の治療において大きな一歩であると考えています」。

第Ⅲ相CASPIAN試験の治験責任医師である、UCLAメディカルセンター(カリフォルニア州サンタモニカ)の血液学および腫瘍学准教授の医学博士・Jonathan Goldman氏は次のように述べています。「進展型小細胞肺がんの患者さんの予後は未だ不良であり、治療アウトカムを改善する新薬を見つけることは非常に難しい課題でした。CASPIAN試験の良好な結果により、臨床医はイミフィンジとエトポシドおよびカルボプラチンまたはシスプラチンのいずれかとの併用療法を選択することが可能となるため、効果的で忍容性の確認された、患者さんにとって重要となる新たな一次治療選択肢となります」。

第Ⅲ相CASPIAN試験では2つの主要評価項目を設定し、イミフィンジと化学療法の併用療法群と化学療法群を比較しました。その結果、イミフィンジと化学療法の併用療法群では、死亡リスクが27%低下し(ハザード比0.73に相当 ; 95%CI 0.59-0.91; p=0.0047)、OS中央値は化学療法群の10.3ヵ月に対して13.0ヵ月でした。加えて、イミフィンジと化学療法の併用療法群において、より高い客観的奏効率が得られたことも示されました(化学療法群の58%に対して68%)。なお、イミフィンジと化学療法の併用療法における安全性および忍容性は、これらの薬剤における既知の安全性プロファイルと一致していました。CASPIAN試験で示されたイミフィンジと化学療法の併用療法のデータはThe Lancet3に掲載されています。

また、イミフィンジと化学療法との併用療法にトレメリムマブを追加したもう一つの投与群の解析も完了しており、こちらについては主要評価項目が達成されませんでした。詳細なデータは、今後の学会で発表される予定です。

CASPIAN試験では、標準治療である化学療法との併用療法群では固定用量のイミフィンジ(1500mg)を3週間ごとに4サイクル患者さんに投与し、その後病勢進行するまで4週間ごとに投与しました。広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、第Ⅲ相ADRIATIC試験において、同時化学放射線療法を受けた限局型小細胞肺がん患者さんに対する治療薬としても検討されており、その解析データは2021年に得られる予定です。

イミフィンジは、2020年2月にシンガポールにおいて進展型小細胞肺がん患者さんの治療薬として世界で最初の承認を第Ⅲ相CASPIAN試験の結果に基づいて取得しています。現在、イミフィンジと標準治療である化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法は、同試験の結果に基づいて、進展型小細胞肺がんの一次治療薬としてヨーロッパおよび日本で承認審査中です。

※進展型小細胞肺がんに対するイミフィンジの適応は本邦では現時点で未承認です。

以上

*****

小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています4 。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、約15%がSCLCに分類されます5 。SCLC患者さんの約3分の2は、がんが肺の大部分または体の他の部位に広範囲に拡がっている進展型と診断されます6 。SCLCの5年生存率はわずか6%であり、予後は特に不良です6

CASPIAN試験について
CASPIAN試験は、進展型小細胞肺がん患者さん805名が参加し、その一次治療を対象とした、無作為化非盲検国際多施設共同第Ⅲ相試験です。本試験では、イミフィンジと化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)との併用療法、またはイミフィンジと化学療法に免疫チェックポイント阻害剤であるトレメリムマブを追加した併用療法と、化学療法を比較しました。イミフィンジを投与している2つの群においては、化学療法を最長4サイクル実施しました。化学療法群においては最長6サイクルの化学療法および予防的頭蓋内照射の実施が認められていました。本試験は、米国、欧州、南米、アジア、中東の23カ国200以上の施設で実施され、イミフィンジを投与しているどちらの群においてもOSを主要評価項目としました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、国際共同第Ⅲ相臨床試験(PACIFIC試験)に基づき、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国をはじめ、多くの国々で承認されています。また、進展型小細胞肺がんの一次治療として、標準治療である化学療法との併用療法が米国およびシンガポールで承認されました。さらに、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む複数の国で承認されています。

イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がんおよびその他の固形腫瘍患者さんの治療薬として、単剤療法、および抗CTLA4モノクローナル抗体で新薬候補のトレメリムマブとの併用療法においても検討されています。

トレメリムマブについて
トレメリムマブは開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こします。トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムが進行中です。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。欧米では10-15%、アジアでは30-40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しており、既承認薬イレッサ®(ゲフィチニブ)およびタグリッソ®(オシメルチニブ)の提供や、現在進行中の第Ⅲ相試験であるADAURA、LAURA、FLAURA2によって得られる新たなエビデンスを通じて、遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています7-9。 当社はまた、タグリッソとc-Met受容体チロシンキナーゼの選択的阻害薬であるサヴォリチニブ、および他の新薬候補との併用療法を評価する、現在進行中の第Ⅱ相SAVANNAHおよびORCHARD試験を通じて、耐性の腫瘍メカニズムを解き明かそうとしています。また、抗HER2抗体薬物複合体であるエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)については、転移性非扁平上皮がんのHER2過剰発現またはHER2変異を有するNSCLCに対して開発が進められ、他の抗がん剤との併用療法を評価する臨床試験も行われています。

また、当社の広範ながん免疫治療の後期開発プログラムは、すべての肺がん患者さんのおよそ75%にあたる既知の遺伝子変異を持たない患者さんを対象にしています10。免疫療法ポートフォリオには、PD-L1抗体であるイミフィンジ単剤療法、およびトレメリムマブおよび/または化学療法との併用療法が含まれ、病勢進行が認められた患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(POSEIDONおよびPEARL)、治癒の可能性がある初期段階の患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(AEGEAN、術後補助療法のBR.31、PACIFIC-2、PACIFIC-4、PACIFIC-5、およびADRIATIC)が現在進行中です。さらに、イミフィンジは、まだ開発パイプラインの初期段階にある新薬候補との併用療法を評価する第Ⅱ相併用投与試験(NeoCOAST、COASTおよびHUDSON)においても検討されています。

アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫系を刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、IOに基づく治療は大多数の患者さんの人生に変革をもたらすがん治療となる可能性を提供するものと信じています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法に対しては、様々ながん腫、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においても、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。

References
1. National Cancer Institute. NCI Dictionary - Small Cell Lung Cancer. Available at https://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-terms/def/small-cell-lung-cancer. Accessed March 2020.
2. Kalemkerian GP, et al. Treatment Options for Relapsed Small-Cell Lung Cancer: What Progress Have We Made? Journal of Oncology Practice, volume 14, issue no. 6 (June 1, 2018) 369-370.
3. Paz-Ares, L. et al. Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial. The Lancet, 2019;394(10212):1929-1939.
4. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf. Accessed March 2020.
5. LUNGevity Foundation. Types of Lung Cancer. Available at https://lungevity.org/for-patients-caregivers/lung-cancer-101/types-of-lung-cancer. Accessed March 2020.
6. Cancer.Net. Lung Cancer – Small Cell. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/33776/view-all. Accessed March 2020.
7. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
8. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
9. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: A Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
10. Pakkala, S, et al. Personalized Therapy for Lung Cancer: Striking a Moving Target. JCI Insight. 2018;3(15):e120858.

tags

  • オンコロジー