アストラゼネカのイミフィンジとトレメリムマブ、米国で肝がんに対する希少疾病用医薬品指定を取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年1月20日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、1月20日、イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)および新薬候補である抗CTLA4抗体のトレメリムマブが、最も一般的なタイプの肝がんである肝細胞がん(HCC)の治療薬として、米国で希少疾病用医薬品指定(ODD)を取得しましたのでお知らせいたします。

ODDは、米国食品医薬品局(FDA)によって米国における対象患者数が20万人未満の希少な疾病または障害の治療、診断もしくは予防を目的とする開発中の医薬品に対して付与されます。

肝がんは世界で3番目に多いがん死因であり、切除不能または進行がん患者さんの5年生存率はわずか13%です1-3

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「肝がん患者さんの多くは症状が進行してから診断され治療を受けるため、効果的で忍容性のある新しい治療法が早急に必要です。私たちは、肝がん患者さんに新たな治療選択肢を提供したいと強く願っており、現在進行中で今年後半に出る予定の第Ⅲ相HIMALAYA試験の結果に期待しています」。

第Ⅲ相HIMALAYA試験では、全身療法による前治療歴がなく、局所療法の適応とならない切除不能な進行HCC患者さんを対象に、イミフィンジ単剤療法とイミフィンジとトレメリムマブの併用療法を評価しています。HIMALAYA試験は、進行HCC患者さんの一次治療として、二重免疫チェックポイント遮断療法を検証する最初の試験です。

現在、イミフィンジは、HCCに対する単独療法またはトレメリムマブとの併用療法としてどの国においても承認されていません。

以上

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肝細胞がん(HCC)について
肝がんはがん死因の第3位であり、世界で6番目に多く診断されているがんです1。そして、HCCは全原発性肝がんの約80%を占めます4。2018年には世界中で約70万人がHCCと診断され、昨年米国では推定42,000人がHCCと診断されました1,2。HCC患者さんの80~90%は、主にB型またはC型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる慢性肝疾患を併発しています5,6。慢性肝疾患は、関連する炎症が時間の経過とともに免疫抑制をもたらし、HCCを発症する可能性があります7,8。また、肝がんの免疫環境は独特なため、HCCの治療に向けて免疫系の力を利用する医薬品の研究が必要です9。加えて、HCCは、治療選択肢が限られているため10、患者さんにとって重大なアンメットニーズが存在する分野です。さらに、患者さんの半数以上は、病期が進行して症状が現れてから初めてHCCと診断されます11,12

HIMALAYA試験について
HIMALAYA試験は、切除不能な進行HCC患者さんのうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法に適格でない患者さんを対象とした、イミフィンジ単独療法、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法と、マルチキナーゼ阻害薬である標準治療薬ソラフェニブを比較する、ランダム化非盲検多施設共同国際第Ⅲ相試験です。この試験は、米国、カナダ、ヨーロッパ、南米、アジアなど16カ国189施設で実施されています。主要評価項目は全生存期間であり、主要な副次評価項目は客観的奏効率および無増悪生存期間です。

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後の切除不能なステージⅢ非小細胞肺がん(NSCLC)の根治目的の治療薬として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国を含む54カ国で承認されています。また、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む11か国で承認されています。
さらに、イミフィンジと化学療法の併用療法は、治療歴のない進展型小細胞肺がん(SCLC)患者さんの治療薬として、FDAの優先審査が行われています。処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA:Prescription Drug User Fee Act)に基づくFDAの審査終了目標(PDUFA date)は、2020年の第1四半期です。
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がんおよびその他の固形腫瘍患者さんの治療薬として、単剤療法、および新薬候補である抗CTLA4モノクローナル抗体かつ新薬候補のトレメリムマブとの併用療法においても検討されています。

※本邦において、イミフィンジの適応は「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」です。

トレメリムマブについて
トレメリムマブは開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強して、がん細胞死を引き起こします。トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムが進行中です。

がん免疫療法(IO)に対するアストラゼネカの取組み
IOはヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療薬により支えられています。当社は、IOに基づく治療は大多数の患者さんの人生に変革をもたらすがん治療となる可能性を提供するものと信じています。
当社は、患者さんにとって最善となる治療の方向性を見極める決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを使用し、複数のがん種、病期、および治療ラインにおけるイミフィンジ単独療法およびトレメリムマブとの併用療法における包括的な臨床プログラムを追求しています。さらに、当社のIOポートフォリオを、放射線療法や化学療法、当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの低分子標的薬と併用することにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保持しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてOncology治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社における血液がん領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。
アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. World Health Organization. IARC Globocan 2018 World Fact Sheet. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/900-world-fact-sheets.pdf. Accessed January 2020.
2. National Cancer Institute. Cancer Stat Facts: Liver and Intrahepatic Bile Duct Cancer. Available at: https://seer.cancer.gov/statfacts/html/livibd.html Accessed January 2020.
3. Vogel A, et al. Hepatocellular carcinoma: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology 29 (Supplement 4): iv238–iv255, 2018. doi:10.1093/annonc/mdy308.
4. ASCO Cancer.net. ASCO Answers Liver Cancer. Available at https://www.cancer.net/sites/cancer.net/files/asco_answers_liver.pdf. Accessed January 2020.
5. Dos Santos P, et al. Incidence of hepatocellular carcinoma in patients with chronic liver disease due to hepatitis B or C and coinfected with the human immunodeficiency virus: a retrospective cohort study. World J Gastroenterol. 2018 February 7; 24(5): 613-622. DOI: 10.3748/wjg.v24.i5.613.
6. Hiotis SP, et al. Hepatitis B vs. hepatitis C infection on viral hepatitis-associated hepatocellular carcinoma. BMC Gastroenterol 12, 64 (2012) doi:10.1186/1471-230X-12-64
7. Del Campo JA., et al. Role of inflammatory response in liver diseases: Therapeutic strategies. World journal of hepatology. 2018; 10(1), 1–7. doi:10.4254/wjh.v10.i1.1
8. Makarova-Rusher OV, et al. The yin and yang of evasion and immune activation in HCC. J Hepatol. 2015; 62 (6): 1420-1429.
9. Han Y, et al. Human CD141CTLA-41Regulatory Dendritic Cells Suppress T-Cell Response by Cytotoxic T-LymphocyteAntigen-4-Dependent IL-10 and Indoleamine-2,3-Dioxygenase Production in Hepatocellular Carcinoma. Hepatology. 2014 Feb; 59 (2): 567-79.
10. Bupathi M, et al. Hepatocellular carcinoma: Where there is unmet need. Molecular oncology. 2015;9(8):1501–1509. doi:10.1016/j.molonc.2015.06.005.
11. Colagrande S, et al. Challenges of advanced hepatocellular carcinoma. World J Gastroenterol. 2016;22(34):7645–7659 doi:10.3748/wjg.v22.i34.7645.
12. NORD. Hepatocellular Carcinoma (HCC). Available at: https://rarediseases.org/physician-guide/hepatocellular-carcinoma-hcc/ Accessed January 2020.