アストラゼネカのイミフィンジおよびイミフィンジとトレメリムマブが、化学療法との併用療法においてステージⅣの非小細胞肺がん一次治療を対象とした第Ⅲ相POSEIDON試験において病勢進行を遅延

本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年10月28日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

POSEIDON試験には非扁平上皮がんおよび扁平上皮がん患者さんが参加し
標準治療である化学療法の選択肢は多岐にわたる

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、10月28日に、第Ⅲ相POSEIDON試験において良好な結果が得られたことを発表しました。本試験は治療歴のないステージⅣの(転移性)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを対象としており、イミフィンジおよび抗CTLA-4抗体のトレメリムマブ(遺伝子組換え)(以下、「トレメリムマブ」)と化学療法との併用療法において、無増悪期間(PFS)の延長が示されました。

本試験では、イミフィンジと標準治療である化学療法との併用療法と、化学療法の単独療法を比較しました。標準治療である化学療法の選択肢は多く、5種類のプラチナ製剤ベースの化学療法から選択できました。イミフィンジを投与した患者さんでは、PFSの最終解析において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が示され、主要評価項目を達成しました。さらに、重要な副次評価項目である、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法と化学療法の単独療法との比較においてPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が示されました。イミフィンジの安全性および忍容性は、これまでに行われた試験の安全性プロファイルと同様であり、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法もイミフィンジと化学療法の併用療法と概ね同様の安全性を示し、治療中止の増加はみられませんでした。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「今回のPOSEIDON試験は、ステージⅣのNSCLC患者さんに対するイミフィンジの有効性を証明する良好な結果となりました。本試験では、扁平上皮がんの患者さんを多く含み、化学療法レジメンの選択肢が多岐にわたる試験集団において臨床上のベネフィットが認められました。また、安全性プロファイルを考慮すると、イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを上乗せすることは、治療が困難な患者さんに対する治療法として新たな可能性を示していると言えます」。

今後、POSEIDON試験は、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)の評価を2020年に実施する予定です。アストラゼネカでは、今後の学会で本試験の結果を発表し、規制当局と情報共有する予定です。

イミフィンジは、ステージⅣのNSCLCでの単独療法を評価する第Ⅲ相PEARL試験をはじめ、肺がんにおける包括的ながん免疫療法の一環として、より早期のNSCLCに対する治療薬としても開発中です。
また、イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、切除不能なステージⅢNSCLCに対する根治的化学放射線療法後の維持治療として、米国、日本、EU諸国を含む53か国で承認されています。

なお、ステージⅣのNSCLCに対するイミフィンジ、トレメリムマブの化学療法との併用療法は未承認です。

以上

*****

POSEIDON試験について
POSEIDON試験は、ステージⅣの(転移性)NSCLC患者さんの一次治療として、イミフィンジとプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはイミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法と化学療法の単独療法を比較する、無作為化、非盲検、多施設共同国際第Ⅲ相試験です。また、本試験には、全てのPD-L1発現レベルの非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの患者さんが組み入れられていました。なお、EGFR遺伝子変異陽性、ALK遺伝子変異陽性の患者さんは試験対象外でした。試験治療群の患者さんには、化学療法とイミフィンジ1500mgまたはイミフィンジ1500mgに加えてトレメリムマブ75mgを固定用量で3週間ごとに4サイクル投与後、4週間ごとのイミフィンジによる維持療法、または4週間ごとのイミフィンジに1回のみトレメリムマブを加える維持療法を行いました。比較対照群では、6サイクルを上限に化学療法を実施しました。また、すべての投与群において、非扁平上皮がんの患者さんに対しては、化学療法としてペメトレキセドが投与されている場合は必要に応じてペメトレキセド維持療法の併用を許容していました。

本試験は米国、ヨーロッパ、南米、アジアおよび南アフリカを含む18か国153施設で実施されました。イミフィンジと化学療法併用群でのPFSおよびOSを主要評価項目、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法併用群でのPFSとOSを重要な副次評価項目としています。

ステージⅣの非小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています1。肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、80-85%がNSCLCと診断されます2。NSCLC患者さんのうち、扁平上皮がんの患者さんが25-30%、非扁平上皮がんの患者さんがおおよそ70-75%を占めます2。ステージⅣは肺がんの病状が最も進行した状態で、転移性肺がんとも呼ばれます3。肺がん患者さんは、肺から離れた臓器に転移した状態になってから初めて肺がんと診断される場合が多くあります4。このような転移性肺がん患者さんの予後は特に不良で、診断後の5年生存率はわずか10%です5

イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え] )はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験の結果に基づき、切除不能なステージⅢNSCLCの治療薬として、米国、日本、ヨーロッパ諸国を含む53か国で承認されています。また、イミフィンジは前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても米国を含む11か国で承認されています。

様々な癌腫を対象とした開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、頭頸部がん、肝臓がん、胆道がん、子宮頸がん、ならびにその他の固形がんの治療として、単独療法ならびに、抗CTLA-4モノクローナル抗体である新規薬剤のトレメリムマブ(遺伝子組換え)との併用療法においても検討されています。

トレメリムマブ(遺伝子組換え)について
トレメリムマブ(遺伝子組換え)は開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強します。トレメリムマブ(遺伝子組換え)はイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、尿路上皮がん、頭頸部扁平上皮がん、肝細胞がんおよび血液がんに対する臨床試験プログラムにおいて開発中です。

肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、さまざまな病期における異なる組織型の肺がん、治療法、作用機序に対して、承認済みおよび後期臨床開発段階の新薬候補を含め、包括的なポートフォリオを有しています。欧米では10-15%、アジアでは30-40%のNSCLC患者さんがEGFR遺伝子変異を有しており、既承認薬イレッサおよびタグリッソの提供や、現在進行中の第Ⅲ相試験である、ADAURA、LAURA、FLAURAおよび第Ⅱ相併用投与試験であるSAVANNAH、ORCHARDによって得られる新たなエビデンスを通じて、遺伝子変異を持つ患者さんのアンメットニーズに応えることを目指しています6-8

また、当社の広範ながん免疫療法の後期開発プログラムは、すべての肺がん患者さんのおよそ75%にあたる既知の遺伝子変異を持たない患者さんを対象にしています9。免疫療法ポートフォリオには、PD-L1抗体であるイミフィンジ単独療法、およびトレメリムマブ(遺伝子組換え)および/または化学療法との併用療法が含まれ、病勢進行が認められた患者さんを対象とした第Ⅲ相試験 免疫療法ポートフォリオには、PD-L1抗体であるイミフィンジ単独療法、およびトレメリムマブ(遺伝子組換え)および/または化学療法との併用療法が含まれ、病勢進行が認められた患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(POSEIDON、PEARLおよびCASPIAN)、治癒の可能性がある初期段階の患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(AEGEAN、術後補助療法のBR.31、PACIFIC-2、PACIFIC-4、PACIFIC-5およびADRIATIC)が現在進行中です。

がん免疫療法(IO)に対するアストラゼネカの取組みについて
IOはヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカおよび当社のバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療薬により支えられています。当社は、IOに基づく治療は大多数の患者さんの人生に変革をもたらすがん治療となる可能性を提供するものと信じています。

当社は、患者さんにとって最善となる治療の方向性を見極める決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを使用し、複数のがん腫、病期、および治療の段階におけるイミフィンジ(抗PD-L1抗体)単独療法およびトレメリムマブ(遺伝子組換え)(抗CTLA-4抗体)との併用療法における包括的な臨床プログラムを追求しています。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたOncologyを成長基盤として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。
アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Available at http://globocan.iarc.fr/Pages/fact_sheets_population.aspx. Accessed October 2019.
2. Abernethy AP, et al. Real-world first-line treatment and overall survival in non-small cell lung cancer without known EGFR mutations or ALK rearrangements in US community oncology setting. PLoS ONE. 2017;12(6): e0178420. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0178420
3. Cancer.Net. Lung Cancer – Non-Small Cell: Stages. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/stages. Accessed October 2019.
4. Ridge C, et al. Epidemiology of Lung Cancer. Semin Intervent Radiol. 2013;30:93-98.
5. Cancer.Net. Lung Cancer - Non-Small Cell - Statistics.” Available at www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/statistics. Accessed October 2019.
6. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
7. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
8. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
9. Pakkala, S, et al. Personalized therapy for lung cancer: striking a moving target. JCI Insight. 2018;3(15):e120858.