アストラゼネカのオラパリブ 米国において卵巣がんの適応症が拡大

 
本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年8月17日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

~オラパリブ錠剤についてBRCA遺伝子変異の有無を問わずプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの維持療法として承認取得~

~オラパリブ錠剤についてBRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの3次治療以降の適応についても承認取得~

~新規承認の錠剤により患者さんの利便性を改善~

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2017年8月17日、米国食品医薬品局(FDA)がPARP阻害剤、オラパリブに対し下記の通り承認を付与したことを発表しました。

  • BRCA遺伝子変異の有無を問わず、プラチナ製剤ベースの化学療法後に奏効を示している再発上皮性卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がん成人患者に対する維持療法として、オラパリブの新たな使用が承認されました。
  • カプセル剤(1日8カプセルを2回投与)ではなく、オラパリブ錠剤(1日2錠を2回投与)が新たに承認されました。
  • オラパリブ錠剤は3レジメン以上の化学療法による前治療歴を有する病的変異又は病的変異疑いに分類される生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣がん患者さんの治療薬としても正式に承認されました(現在の迅速承認からの変更)。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「臨床医は、ほぼ3年にわたり市販されているオラパリブの臨床経験を有していますが、今回、この重要な医薬品を新たに錠剤としてより多くの女性に提供できることを喜ばしく思います。本日の承認は、世界初のPARP阻害剤オラパリブが、がん専門医に治療上の更なる柔軟性をもたらしたと同時に、その背後にある10年以上にわたるがん専門医の献身的な研究の正当性を立証するものです。これは、患者さんの治療選択肢をさらに増やすことを目指す先日発表された当社のメルクとの協働を更に発展させるものです」。

本承認の基となった試験のひとつであるSOLO-2試験の治験統括医師であるEric Pujade-Lauraine(Head of the Women Cancers and Clinical Research Department at Hôpitaux Universitaires Paris Centre, site Hôtel-Dieu, AP-HP)は次のように述べました。「本日の承認により、BRCA遺伝子変異の状況に関係なく、オラパリブによる治療の恩恵を享受することが可能となりました。これは、米国の卵巣がん患者さんにとって望ましいニュースです。今回の承認取得は、オラパリブの臨床データの幅広さおよび深さを示すものであり、維持療法としての有効性を実証するのみならず、今年発表されたこの深刻な疾患の治療を受けている患者さんのQOL維持のデータを補強するものです」。

メルクリサーチラボラトリーズの社長であるRoger M. Perlmutterは次のように述べました。「当社は、多くの卵巣がん患者さんにとって重要な治療の進歩であるオラパリブがこれらの新適応症、新剤型および用法・用量が承認されたこと受け、アストラゼネカに祝意を表します。これは、アストラゼネカと当社の提携における最初の大きな薬事上のイベントです。当社は、新規適応症を得たこの医薬品を患者さんに届けるために我々の世界的な提携においてアストラゼネカと連携することを楽しみにしています」。

今回の新規承認および当初単群試験に基づく迅速承認から正式承認への変更は、2つの無作為化試験に基づいています。

  • SOLO-2試験(症例数:295例)により、生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性患者さんにおけるオラパリブのベネフィットが確認され、オラパリブは病勢進行あるいは死亡のリスクを70%低減し(治験担当医師評価、ハザード比 0.30[95% 信頼性区間, 0.22-0.41], P<0.0001)、無増悪生存期間(PFS)中央値を、プラセボ群の5.5カ月に対し、19.1カ月に改善したことが示されました。
  • 試験19(症例数:265例)により、BRCA遺伝子変異状況を問わず、オラパリブは病勢進行あるいは死亡のリスクを65%低減し、プラセボとの比較で、PFSを改善したことが示されました(ハザード比0.35[95% 信頼性区間, 0.25-0.49], P<0.0001; PFS中央値はオラパリブが8.4カ月、プラセボが4.8カ月)。さらに、オラパリブによる維持療法を受けた患者さんにおける全生存期間(OS)の中央値は、プラセボの27.8カ月に対し、29.8カ月を示しました (ハザード比 0.73 [95% 信頼性区間, 0.55-0.95])。

表1. 無作為化試験の有効性に関する主な結果の要約

分析

病勢進行あるいは死亡のリスク低減(PFS)

死亡リスクの低減(OS)

SOLO-2試験
[生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性]

オラパリブ群

70% (ハザード比 0.30 [95% 信頼性区間, 0.22-0.41], P<0.0001)

イベント数不足により未解析

プラセボ群

試験19
[PSR OC*]

オラパリブ群

65% (ハザード比 0.35 [95% 信頼性区間, 0.25-0.49], P<0.0001)

27% (ハザード比 0.73 [95% 信頼性区間, 0.55-0.95])

プラセボ群

*PSR OC = プラチナ製剤感受性再発がん

SOLO-2試験のオラパリブ群の20%以上の患者さんにおいて報告された主な有害事象は貧血(44%)、悪心(75%)、嘔吐(37%)、下痢(33%)、疲労・無力症(66%)、食欲減退(22%)、頭痛(25%)および味覚障害(27%)でした。主なグレード3または4の有害事象は、貧血(20%)、悪心(2.6%)、嘔吐(2.6%)、下痢(1.0%)、疲労・無力症(4.1%)および頭痛(0.5%)でした。有害事象によるオラパリブの投与中止は患者さんの11%に見られました。すべてのグレードにおける有害事象によるオラパリブの休薬例の割合は45%で、有害事象によるオラパリブの減量例の割合は25%でした。
試験19のオラパリブ群の20%以上の患者さんにおいて報告された主な有害事象は貧血(23%)、悪心(71%)、嘔吐(35%)、下痢(27%)、疲労(無力症を含む)(63%)、食欲減退(21%)、および頭痛(21%)でした。主なグレード3もしくは4の有害事象は、貧血(7.4%)、悪心(2.2%)、嘔吐(2.2%)、下痢(2.2%)、および疲労(無力症を含む)(8.8%)でした。有害事象によるオラパリブの投与中止は患者さんの4%に見られました。すべてのグレードにおける副作用によるオラパリブの休薬例の割合は25%で、副作用によるオラパリブの減量例の割合は15%でした。

SOLO-2試験の詳細データは
The Lancet Oncology(http://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(17)30469-2/fulltext)の2017年7月25日号に掲載されています。

オラパリブはカプセル剤として2014年12月にFDAの迅速承認プログラムの下初めて承認され、最初に承認されたポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤となりました。それ以降、3,000人以上の進行卵巣がん患者さんがオラパリブ・カプセルにより既承認適応症の治療を受けました。

以上

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SOLO-2試験について
SOLO-2試験はgBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がん患者さんを対象としたオラパリブ錠の単剤維持療法としての有効性をプラセボと比較評価することを目的とした無作為化二重盲検多施設共同第III相試験です。The European Network for Gynaecological Oncological Trial Groups(ENGOT)および Groupe d’Investigateurs National pour l’Etude des Cancers de l’Ovaire et du sein(GINECO)との協働で実施された本試験は最低2レジメンのプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全または部分奏効を示した生殖細胞系列のBRCA1またはBRCA2遺伝子変異が確認されている295例の患者さんを無作為に割り付けました。適格な患者さんがオラパリブ錠300mg1日2回投与群あるいはプラセボ錠1日2回投与群に無作為に割り付けられました。

試験19について
試験19は16カ国の82施設における高悪性度再発卵巣がん患者さんを対象としてオラパリブの有効性と安全性を比較評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験です。被験者はオラパリブを単剤維持療法として1日1回400mgの投与もしくはプラセボの投与を受けました。治験薬による治療は、毒性が管理可能な場合、病勢が進行するまで継続しました。

オラパリブについて
オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスのポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。本剤はBRCA遺伝子変異陽性卵巣がん患者さんの治療薬としてEUおよび米国の規制当局により承認されています。

オラパリブは、アストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。オラパリブ錠は現在乳がん、前立腺がん、膵臓がんを含む一連のがん種において併用治療において検討されています。
*オラパリブは、本邦では未承認です。

アストラゼネカとメルクのがん領域における戦略的提携について
2017年7月27日、アストラゼネカとメルクは、アストラゼネカの世界初および主要なPARP阻害剤であるオラパリブおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブを複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。本提携は、PARPとMEK阻害剤は一連のがん種においてPD-L1/PD-1阻害剤と併用することが可能であることを示す増加しつつあるエビデンスに基づくものであり、併用療法の望ましい基幹製品になるというオラパリブの可能性を最大化することを目的としています。本提携において、両社はオラパリブおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1薬との併用でオラパリブおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおける卵巣がんについて
世界中で卵巣がんは女性のがんにおいて7番目に多いがんであり、女性のがんによる死因の8番目です。卵巣がんの発症リスクはBRCA遺伝子変異を含む特定の先天性遺伝子異常を有する女性において高まります。アストラゼネカは、BRCA等、特定の遺伝子変異を有する患者さんに対する標的治療薬の開発を含む、全ての患者さんの治療の改善に焦点を当てた、当社の卵巣がんのR&Dポートフォリオの開発に継続的に取り組んでいます。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。