アストラゼネカと米メルク、がん領域における戦略的提携を合意

本資料はアストラゼネカ英国本社が2017年7月27日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

~複数のがん種に対する新たな治療の可能性を科学的根拠に基づき提供することで、PARP阻害剤およびMEK阻害剤と抗PD-L1 / PD-1抗体との併用の可能性を最大化~

~オラパリブ(LYNPARZATM)および開発品セルメチニブと抗PD-L1抗体デュルバルマブ(IMFINZITM)もしくは抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)との併用を、両社が個々に開発・商業化~

~世界初のPARP阻害剤オラパリブの様々ながん種に対する併用療法の基盤薬としての可能性を大幅に拡大するとともに、アストラゼネカのMEK阻害剤セルメチニブについても検討を開始~

~両社はオラパリブとセルメチニブから得られる総利益と同様に、開発およびマーケティングに関わる費用を同等に負担~

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)とメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2017年7月27日、複数のがん種を対象として、アストラゼネカのオラパリブを共同開発・商品化する戦略的提携を世界的に合意したことを発表しました。オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、海外において、複数の前治療歴のあるBRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの治療薬として既に承認されています。

オラパリブのパイプラインは近年著しく拡大しており、現在、乳癌、前立腺癌、および膵臓癌を含む14の適応症に対して開発が進展しています。本戦略的提携によって、更に幅広い治療選択肢を患者さんに提供できることが期待されています。

両社は、オラパリブを単独療法および他開発品との併用療法として、共同開発ならびに製品化を進めていきます。一方で、両社は個々に、それぞれの抗PD-L1抗体デュルバルマブおよび抗PD-1抗体キイトルーダ®とオラパリブの併用について、開発・製品化していく予定です。

同時に、両社は、アストラゼネカが現在開発中のMEK阻害剤セルメチニブについても共同開発ならびに製品化を進める予定です。セルメチニブは、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路の一部であるMEKの強力かつ選択的な経口阻害剤で、現在、甲状腺癌を含む複数の適応症において開発が行われています。

アストラゼネカの最高経営責任者パスカル・ソリオCEOは次のように述べました。「両社の戦略的提携は、様々な腫瘍において、PARP阻害剤ならびにMEK阻害剤と抗PD-L1 / PD-1抗体との併用が可能であるとの科学的証拠に基づいています。がん領域の革新的企業である両社の専門知識を結集することで、世界初のPARP阻害剤であるオラパリブが、様々ながん免疫療法の重要な基盤薬となる可能性を加速的に促進していきます。これは大変有意義な取り組みであり、当社のサイエンスに対する熱意を共有できるメルク社と協働し、がん患者さんに新たな治療薬を提供していけることを嬉しく思います」。

メルクの最高経営責任者ケネス・C・フレージャーCEOは次のように述べました。「オンコロジー領域をリードするアストラゼネカ社と当社が世界的に協力することで、より多くの種類のがんに対してより多くの治療の選択肢を患者さんに提供できる可能性が高まります。当社はキイトルーダ®を単独療法および併用療法の基礎として、がん免疫療法におけるリーダーシップを引き続き構築します。この提携は当社のオンコロジー領域におけるリーダーシップをPARP阻害剤およびMEK阻害剤による標的療法にも拡大するものです。アストラゼネカ社との協働により、各社が個別に取り組むよりもより大きな価値を患者さんや株主の皆さんに提供してまいります」。

※オラパリブ(LYNPARZATM)は、日本では未承認です。
※デュルバルマブ(IMFINZITM)は、日本では未承認です。

財務上の考慮事項
契約条件に基づき、アストラゼネカおよびメルクは、オラパリブおよびセルメチニブ単独療法および抗PD-L1 / PD-1抗体薬以外との併用療法における開発および製品化に係わる費用を分担します。オラパリブおよびセルメチニブの単剤療法または併用療法による製品売上高は均等に分担されます。

メルクは、オラパリブまたはセルメチニブとキイトルーダ®との併用療法の開発および製品化に関する費用をすべて負担します。アストラゼネカは、オラパリブまたはセルメチニブとデュルバルマブとの併用療法の開発および製品化に関する費用をすべて負担します。

アストラゼネカは、本提携後も引き続きオラパリブとセルメチニブを製造します。

本契約の一環として、メルクは、アストラゼネカに対し、最大総額85億ドルの対価を支払う予定です。支払いの中には、16億ドルの前払い契約一時金、特定のライセンスオプションに対する7億5,000万ドル、薬事および販売マイルストーンが達成された場合の支払いとして最大61億5,000万ドルが含まれます。契約条件では、アストラゼネカは2017年に社外提携収入として約10億ドルを計上することが想定されます。

アストラゼネカは、オラパリブおよびセルメチニブのすべての製品の売上を計上します。提携によるメルクからの総利益は、売上原価の下に計上されます。当初の、薬事および販売マイルストーン達成に対する支払いは、社外提携収入として計上されます。この取引は、アストラゼネカの2017年の財務ガイダンスに影響を与えるものではありません。アストラゼネカは、引き続き、2017年度の社外提携収入とその他の営業収入の合計が2016年度のそれを上回ると予測しています。

本提携に関する契約は、2017年7月26日に署名、締結しました。

英国規制当局の上場規則LR 10.4.1 R(クラス2取引の通知)の目的上、ライセンスならびに共同作業の対象となる総資産の帳簿価額は約242百万ドルです。医薬品の開発および初期成長段階を考慮して、オラパリブおよびセルメチニブに関連する231百万ドルが税引前損失として、2016年12月31日までに計上されました。

以上

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オラパリブについて
オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。オラパリブは、がん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする、アストラゼネカの業界有数の新薬候補ポートフォリオにおいて基盤となる薬剤です。オラパリブは、現在、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効を示している(完全奏効または部分奏効)プラチナ製剤感受性再発BRCA遺伝子変異(生殖細胞系/体細胞系)高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんの成人患者さんの維持療法として単剤使用が欧州で薬事承認されています。さらに本剤は、3回以上の化学療法による前治療歴のある、病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系BRCA遺伝子変異を有する(FDAより承認された検査で検出)、進行卵巣がん患者さんの単剤療法として米国で承認されています。

アストラゼネカは、先日、第III相OlympiAD試験において、オラパリブ錠(300mg 1日2回投与)による治療を受けた患者さんの無増悪生存期間(PFS)が、医師が選択した標準的な化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長を示した事を報告しました。OlympiAD試験は、病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移性乳がんの患者さんにおけるオラパリブの有効性および安全性を評価する非盲検無作為化多施設第III相試験であり、初めて卵巣がん以外がんにおいてPARP阻害剤の有効性と安全性が示された第III相試験です。
オラパリブは現在、OLYMPIAという非転移性乳癌第III相試験も別途進行中です。本試験は世界中で患者さんを登録しており、現在もまだ登録を受付中です。

オラパリブの2016年の製品売上は2億1800万ドルでした。

セルメチニブについて
2003年にArray BioPharma Inc.からアストラゼネカに導出されたセルメチニブは、癌細胞におけるRAS / RAF / MEK / ERK経路のMEKを阻害することにより、腫瘍の増殖を阻害します。セルメチニブは、現在、分化型甲状腺癌を対象とした第III相臨床試験が進行中であり、2016年5月に、FDAより希少疾病医薬品の指定を受けました。

セルメチニブは、小児神経線維腫症1型患者さんを対象としたる第II相試験、ならびに、進行固形癌患者さんを対象とした第I相試験でも実施中です。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの5つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。