乳がん・卵巣がん患者さんであっても 「遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)」の認知度は半数に留まる

乳がん・卵巣がん患者のHBOC認知・理解度調査結果発表


乳がん・卵巣がん患者さんに対するHBOCについての情報提供のニーズが明らかに
 

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:デイヴィド・フレドリクソン、以下、アストラゼネカ)は、10月の「乳がん啓発月間」に合わせ、乳がん・卵巣がん患者さんを対象に、「遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)」に関する認知・理解度調査を実施しました。

HBOCは、親から受け継がれた、特定の病的な遺伝子変異が要因となり発症する「遺伝性腫瘍」の一つであり、BRCA1 あるいは BRCA2 というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症します1。また、HBOC特有の以下のような特徴がみられます1

  • 若年性(若年で乳がんを発症する)
  • 多発性(片方の乳房に複数回乳がんを発症する)
  • 重複性(乳がんと卵巣がんの両方を発症する) 
  • 遺伝性(BRCA1およびBRCA2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で受け継がれる)
  • 家系内に乳がんや卵巣がんを発症した人がいる

HBOCの診断では、患者さんご本人の生活や治療に与える影響だけではなく、患者さんのご家族に対する様々な影響についても考慮する必要があります。このため、乳がん・卵巣がん患者さんと患者さんを支える社会全体がHBOCについて正しい知識と理解を持つことが求められます。海外においては、HBOC患者さんとそのご家族を支える様々な活動が展開されている地域もありますが、国内では、HBOCに関する情報提供や社会支援はまだ限定的です2

そこで、今回の調査では、HBOCの社会的理解向上の一助とすることを目的として、国内の乳がん・卵巣がん患者さんにおけるHBOC認知・理解度を明らかにしました。その結果、本来であれば、積極的に情報を享受すべき乳がん・卵巣がん患者さんにおいて、HBOCに対する認知・理解がまだ十分に進んでいないことが明らかになりました。

1日本HBOCコンソーシアム(2015)「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)をご理解いただくために(ver.3)」p.3
2清水 千佳子 et al. (2015) 挑戦的萌芽研究 科学研究費助成事業研究成果報告書 「乳癌・卵巣癌患者における遺伝相談・遺伝子検査に関する情報提供支援プログラムの構築」(課題番号24650651)

【調査結果のポイント】

  • 乳がん・卵巣がん患者さんにおけるHBOCの認知度は55.8%と、自身のがんと関わる可能性があっても、その認知は約半数に留まりました。
  • また、HBOCを認知していても、HBOC特有のリスクである若年性や多発性、重複性、子供や親族への遺伝確率を知っている乳がん・卵巣がん患者さんは5割以下でした(若年性:43.1%、多発性:25.9%、重複性:17.2%、遺伝確率:24.1%)。
  • HBOCを知ったきっかけは、テレビなどマスメディアの報道が6割を占めており、診断や治療の過程で情報を得ている乳がん・卵巣がん患者さんは多くないことが明らかになりました。
  • 一方、調査の中でHBOCの説明を受けた乳がん・卵巣がん患者さんで「自分には関係がないと思った」と回答したのはわずか28.8%と少数で、約7割がHBOCを知ることにより、「自分の子どもなど親族のことが心配になった」(32.7%)、「自分の乳がん・卵巣がんが遺伝性なのか知りたいと思った」(30.8%)など、自身のがんとHBOCの関連性を意識したことが分かりました。

【本調査監修者 桜井なおみ氏のコメント(がん患者支援団体CANSOL代表取締役社長)】

「今やがんは不治の病ではなく、長く共に歩んでいく病気。特にHBOCのような遺伝性腫瘍は若くして発症する可能性が高く、一般的ながんよりも長く自身のがんと向き合うことになる。患者が前向きに治療に臨み、社会で活躍し続けるためには、十分な疾患の理解、リスクの把握と正しい対処がとても重要。患者にとって、知識はパワーになる。

HBOCのような遺伝性腫瘍は「自身のがん=家族のがん」となる可能性もあるため、複雑な状況になりやすい。患者自身と家族が共に主体的に(既往もしくは未発症の)がんに向き合うために、社会全体のがん教育への意識の向上、遺伝性ならではの問題を適切に支援する体制整備など、早急な改善を要する課題が多い現状を本調査は改めて浮き彫りにした。」

調査結果概要

  1. 乳がん・卵巣がん患者であってもHBOCの認知度は約半数に留まる。HBOC認知患者であってもHBOCのリスクについて理解している人は少ない。
    乳がん・卵巣がん患者さんのHBOCの認知度は約半数の55.8%に留まっています。HBOCを「知っている」と回答した患者でも、HBOC特有の若年性や多発性、重複性、子どもや親族への遺伝確率についてのリスクを理解している患者の割合はすべての項目において50%以下でした。


    ※血縁者・・・第一度親近者(父母、きょうだい、子供)、第二度親近者(祖父母、おじ、おば、めい、孫)、第三度親近者(曾祖父母、大おじ、大おば、いとこ、ひ孫、おい・めいの子供。(すべて配偶者側の親族は除く)

  2. 診断や治療の過程でHBOCを認知している乳がん・卵巣がん患者さんは少数。
    乳がん・卵巣がん患者さんがHBOCを認知した経路は、テレビなどマスメディアの情報が上位を占めており、診断や治療の過程(医師)で情報を得ている乳がん・卵巣がん患者さんは多くないことが明らかになりました。

  3. HBOCについて説明を受けた患者は、自身だけでなく親族に生じうるリスクを意識。
    約7割がHBOCを知ることにより、「自分の子供など親族のことが心配になった」(32.7%)、「自分の乳がん・卵巣がんが遺伝性なのか知りたいと思った」(30.8%)など、自身のがんとHBOCの関連性を意識しました。

調査概要

調査時期: 2016年9月
調査手法: オンライン調査
調査対象者: 乳がんまたは卵巣がんを治療中/治療経験のある患者さん 計104名
監修: キャンサー・ソリューションズ(CANSOL)株式会社
代表取締役社長 桜井 なおみ氏

遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)に関する認知・理解度調査レポートは下記URLよりご覧いただけます。

https://www.astrazeneca.co.jp/content/dam/az-jp/press-releases/pdf/20161021.pdf


遺伝性乳がん・卵巣がん (HBOC)について
HBOCは遺伝性腫瘍の一つで、BRCA1 あるいは BRCA2 というがん抑制遺伝子の生まれつきの変異が原因で発症します。HBOCでは、通常の乳がんよりも若くして罹患する、乳がんと卵巣がんの両方を発症するという特徴があります。また、乳がんではトリプルネガティブ乳がん*や、両方の乳房に発症、もしくは片方に複数回発症するという現象が見られることがあります。遺伝性の疾患であるため、BRCA1およびBRCA2遺伝子の変異は、親から子へ、性別に関係なく50%の確率で受け継がれます。HBOCに関する自身および家族の遺伝子変異はBRCA1/2遺伝子検査**によって確認することができます。HBOCの発症の可能性やさまざまな不安については、専門の医師やカウンセラーに相談し、アドバイスを受けることができます。

*ホルモン療法の対象となるエストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモン受容体がなく、トラスツズマブという薬剤の治療対象となるHER2受容体の過剰発現もない乳がんのこと。悪性度が高く、現在治療選択肢が限定されている3
**2016年10月現在本邦において国内未承認

3国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター2015 : http://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/triplenegative.htmlより一部改変 2016/10/18参照

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アストラゼネカについて
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