アストラゼネカ 初の呼吸器バイオ医薬品BENRALIZUMABの重症喘息に関する第III相試験結果を発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2016年5月17日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、新薬候補である抗好酸球モノクローナル抗体Benralizumabが、薬事申請を目的とする主要な2本の第III相試験(SIROCCO試験およびCALIMA試験)において良好な忍容性を示し、主要評価項目である年間喘息増悪率をプラセボと比較して有意に低減させたという結果を5月17日に発表しました。

グローバル医薬品開発担当バイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「重症喘息は世界中の何百万人もの患者さんの健康と生活の質(QOL)に悪影響を与え、重症喘息の増悪は時に患者さんの生命を脅かします。今回の2つの主要試験の結果によって、Benralizumabが重症喘息患者さんの症状を改善する可能性を示すことができたことを喜ばしく思います。Benralizumabは当社初となる呼吸器疾患に対するバイオ医薬品です。これからも本製剤の開発に注力し、当社の次世代型呼吸器治療薬によって喘息および慢性呼吸器疾患治療の改善に貢献して参ります」。

両試験は、好酸球性炎症を有する、コントロール不良の12歳以上の重症喘息患者さんに対する追加療法として、Benralizumabの2つの用量レジメンの有効性と安全性を評価しました。

SIROCCO試験およびCALIMA試験では、ベースラインでの血中好酸球数が300cells/μL以上で、高用量の吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の併用療法を受けている患者さんを主要評価解析対象集団としました。対象患者さんは、Benralizumab 30mgを4週ごとに投薬する群、Benralizumab 30mgを4週ごとに最初の3回の投薬を行い、その後は8週ごとに投薬する群、またはプラセボ投与群に無作為に割り付けられました。Benralizumabの安全性および忍容性の結果は従来の試験において報告された結果と概ね一致しました。

Vancouver Coastal Health Research Institute 心臓・肺健康センター所長であり、CALIMA試験の治験責任医師であるMark FitzGerald, MDは次のように述べました。「私たちは喘息の異なるサブタイプについて知識を深めており、今回の試験で一部のサブタイプの喘息の原因を解明する可能性がある新しい治療を検討しました。Benralizumabの抗好酸球効果は、好酸球炎症によって発症する喘息の患者さんに対する特異的な治療となる可能性があります」。

好酸球は、喘息患者さんの約半数において炎症と気道過敏性を増強させる生物学的エフェクター細胞であり、頻回の喘息増悪、肺機能の低下および生活の質(QOL)の低下をもたらします。Benralizumabは、NK細胞活性化によって好酸球を標的とする抗体依存性細胞傷害(ADCC)により好酸球を減少させる、抗好酸球モノクローナル抗体です。骨髄や血液、標的組織中の好酸球を、直接的かつ迅速にほぼ完全に除去します。Benralizumabは、日本の協和発酵キリン株式会社とアストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンにより開発されました。

SIROCCO試験およびCALIMA試験の結果は、今後の医学系学術集会において発表します。なお、米国およびEUにおける薬事申請は2016年下半期の予定です。
 

喘息について
喘息は気管支が炎症を起こし狭窄する気道の慢性炎症性疾患で、喘鳴や呼吸困難、胸の圧迫感、咳などの症状を引き起こします。世界3億1,500万の喘息患者さんの健康と日常生活に悪影響を与えており、その数は2020年までに4億人に増加すると言われています。

喘息症例の約10%が重症で、そのうち約40%はコントロール不良であると言われており、コントロール不良の重症喘息患者さんの死亡リスクは、重症喘息患者さんの8倍とされています。コントロール不良の喘息は経口ステロイド依存を引き起こす可能性があり、全身性ステロイド薬は骨粗鬆症や不安感、うつ、体重増加、緑内障、糖尿病など、様々な深刻で不可逆的な副作用を起こすことがあります。重症喘息患者さんにおいてはまた、疾患の身体的負担ならびに社会経済的な負担も大きく、疾患関連費用の約50%にあたります。

WINDWARDプログラムについて
SIROCCO試験およびCALIMA試験は、喘息に対する包括的な「WINDWARDプログラム」の一環として実施された試験です。WINDWARDプログラムは、26カ国798施設における3,068例の患者さんを対象とする6本の第III相試験により構成される、呼吸器疾患のバイオ医薬品では最大規模の第III相開発プログラムです。

承認申請を目的とするSIROCCO試験およびCALIMA試験は、喘息増悪および喘息コントロール不良の既往歴を持ち、経口ステロイド剤(OCS)やその他の喘息コントロール薬使用の有無に関わらず、吸入ステロイドおよび長時間作用性β2刺激剤による併用治療(ICS-LABA)を受けている患者さんに対する、Benralizumab 30mg(定量)の皮下投与の有効性および安全性の評価を目的とした、無作為化二重盲検対照群間プラセボ対照試験です。

本試験では、全世界から合計2,500例超の患者さん(SIROCCO試験1,205例、CALIMA試験1,306例) が、Benralizumab 30mgを4週間ごとに投薬する群、30mgを4週間ごとに最初の3回投薬し、その後は30mgを8週間ごとに投薬する群、 もしくはプラセボの群に無作為に割り付けられました。

WINDWARDプログラムに加え、第III相VOYAGERプログラムが現在進行中で、重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者さんにおいてBenralizumabを評価しています。

Benralizumabについて
Benralizumab は協和発酵キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:花井 陳雄、以下「協和発酵キリン」)の完全出資子会社であるBioWa社から導入された製品です。独占的ライセンス契約のもと、協和発酵キリンとBioWa社が一部のアジア諸国におけるBenralizumabの独占的開発・商業化の権利を保持し、アストラゼネカは欧米を含めたその他すべての地域におけるBenralizumabの独占的権利を保持しています。BioWa社はアストラゼネカよりこれらの地域におけるBenralizumabの開発・商業化に関連したマイルストーンおよびロイヤリティの支払いを受ける権利を有しています。

2015年7月アストラゼネカは協和発酵キリンと日本における喘息とCOPD についてのBenralizumabの販売に関する独占的オプション契約を締結しました。アストラゼネカは協和発酵キリンに対し契約一時金4,500万ドルを支払い、今後薬事申請・承認・販売マイルストーンならびに売上に対するロイヤリティを支払います。協和発酵キリンは引き続き日本におけるBenralizumabの研究開発の責任を負います。オプション行使後、アストラゼネカは日本における喘息およびCOPDについてのすべての営業・マーケティング活動の責任を負います。協和発酵キリンはアストラゼネカと共に一定の商業活動に参画する権利を保持しています。

アストラゼネカにおける呼吸器・炎症・自己免疫領域について
呼吸器・炎症・自己免疫領域はアストラゼネカの注力疾患領域で、製品ポートフォリオは年々成長し、2015年には1,700万人の患者さんに届けられました。堅固なパイプラインには2016年から2020年までの間に上市可能な7製品を含みます。呼吸器領域における当社の目的は、吸入配合剤を中心に、特定患者さんのアンメットニーズに応えるバイオ製品や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を改善していくことです。アストラゼネカの呼吸器領域における歴史は40年以上にわたり、加圧式定量吸入器(pMDI)、ドライパウダー吸入器(DPI)、ならびに共懸濁技術Co-Suspension Technologyなどの吸入器技術にまで及びます。

炎症・自己免疫領域においては、自己免疫疾患ならびにリウマチ疾患の革新的な治療を開発することを目指し、最も先行するものとして全身性エリテマトーデスを対象とした試験を実施しています。本領域を通じて当社の研究は、好酸球性疾患、Th2誘導疾患、上皮誘導病理生物学および自己免疫の4つの主要な生物学的情報伝達経路に焦点を置いています。

メディミューンについて
メディミューンは、低分子化合物およびバイオ製剤の研究開発および商業化に特化するイノベーション志向のグローバルバイオ・医薬品企業であるアストラゼネカの、バイオ医薬品研究開発部門です。メディミューンは、革新的な研究を先駆的に進めており、呼吸器・炎症・自己免疫疾患、循環器・代謝疾患、がん、ニューロサイエンスならびに感染症・ワクチン等の注力疾患領域において新規治療経路の検討に取り組んでいます。メディミューンの本社は、アストラゼネカの3つのグローバル研究開発拠点のひとつとして、米国メリーランド州ゲイザースバーグにあります。詳細については https://www.medimmune.comをご覧ください。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に呼吸器・炎症・自己免疫疾患(RIA)、 循環器・代謝疾患(CVMD)、オンコロジーの3つの重点治療領域ならびに感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。