アストラゼネカ 日本のCOPD患者さんにおける喘息COPDオーバーラップ症候群“ACOS”の割合に関する研究結果を発表


GINA/GOLDガイドラインが定義するACOS患者さんは
それぞれ59%、32%の割合で存在することが判明

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪府大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ、以下アストラゼネカ)は、日本の慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者さんを対象に、気管支喘息を合併する喘息COPDオーバーラップ症候群(Asthma COPD Overlap Syndrome、以下ACOS)の実態について調査した多施設横断研究の結果を、米国・サンフランシスコで開催中の米国胸部学会学術集会2016(ATS 2016 International Conference)のポスターディスカッションにて5月17日に発表しました。本研究は、喘息の国際指針を示すGINA(Global Initiative for Asthma)とCOPDの世界的活動団体であるGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)が2014年に合同会議で提唱したACOSの鑑別法1を応用した大規模な臨床研究の一つです。

本研究は、日本の実臨床下でのCOPD患者さんにおけるACOSの罹患割合と臨床的な特徴について調査することを目的に、38施設1,008症例を対象に2015年に実施された非介入後ろ向き研究です。40歳以上でCOPD診断時に10パックイヤー2以上の現在の喫煙習慣もしくは過去の喫煙歴があり、COPD診察歴が1年以上あるCOPD患者さんを対象に実施しました。

GINAとGOLDが提唱した鑑別法を応用した今回の観察研究におけるACOS患者さんの定義は以下の通り2種類あります。

定義1) 喘息とCOPD両方の臨床的特徴について該当する数が3つ以上および/または気管支拡張薬吸入後FEV1≧12%かつ≧200mL
定義2) 喘息とCOPD両方の臨床的特徴について該当する数が3つ以上および/または気管支拡張薬吸入後FEV1≧12%かつ≧400mL

本研究の結果、定義1でACOSと判定された患者さんは59.0%、定義2の患者さんは32.5%存在することが分かりました。また、ACOSと判定された患者さんは、COPD患者さんと比較して末梢血好酸球レベルが高く、好酸球性炎症が亢進していることも示唆されました。

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器内科学分野の井上博雅教授は次のように述べました。「COPDならびに喘息の治療を行うにあたり、ACOSの実態を把握することは臨床において大変重要なことです。2014年にGINAとGOLDより喘息とCOPDの両病態を併せ持つ患者群を新たな疾患としてACOSと呼称し、鑑別法が提唱されましたが、臨床における実状を報告する試験は限られていました。1,000症例を超える患者さんを対象として実施された本試験の結果は、COPD患者さんとACOS患者さんを鑑別する上で大変意義深く、確かなエビデンスとなると考えます」。

アストラゼネカ株式会社執行役員メディカル本部長の松尾恭司は、「本大規模試験によって、日本には相当数のACOS患者さんが存在することが明らかになり、また、ACOS患者さんがCOPD患者さんと比べて好酸球性炎症が亢進していることが示唆されました。当社が実施した今回の研究結果が、医療関係者の皆様が臨床現場で本疾患を診断する上での一助となり、COPD患者さんの症状コントロールの改善および増悪の予防に貢献できれば幸いです」と述べました。

COPDは日本の死因の第10位で年間死亡数は1万6,000人以上にのぼります3。アストラゼネカは、サイエンスのリーダーシップを実現することを事業戦略の1つとして掲げ、引き続き未だ存在する呼吸器疾患治療におけるアンメットメディカルニーズを明らかにし、治療の発展につなげることでより多くの患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献できるよう尽力して参ります。

  1. Global Initiative for Asthma, Global initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. 2014.
  2. 1日の喫煙本数÷20本×喫煙年数で表す喫煙指数
  3. 厚生労働省「平成26年(2014)人口動態統計」2015年1月


喘息COPDオーバーラップ症候群(ACOS)について

ACOSは、持続的な気流閉塞を特徴とし、COPDと喘息の2つの疾患の症候を有する新しい疾患概念です。現在はCOPDと喘息の症候を認めるかが診断基準であるため不明瞭さはありますが、ACOS患者さんはCOPDのみの患者さんや喘息患者さんと比較して、症状を増悪しやすくQOLが低いと言われています。また、肺機能の急速な低下や、高い死亡率が認められ、入院期間が長くなるなどの医療負担が大きくなります。有病率は、年齢や性別により幅がありますが15-55%と推定されており、特に40歳以上の慢性的な気道疾患を持つ患者さんに多いとされています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは主に喫煙、大気汚染、または職業上の曝露と関連する進行性疾患で、肺の気道の閉塞を引き起こし、息切れ症状を呈するようになります。COPDは世界中で推定3億人に影響を与え、2020年までに死亡原因の第3位になると予測されています。

喘息について
喘息は気管支が可逆的に狭窄する気道の慢性炎症性疾患です。喘息患者さんは年代を問わず世界中に存在し、多くの方が喘息により亡くなっています。喘息はアレルギー性(花粉、真菌胞子あるいはイエダニなどのアレルゲンの吸引に対する免疫反応により誘発)と非アレルギー性(運動、咳、ウイルス性呼吸器感染、または職場での煙や化学物質の吸引)に分類されます。喘息の特徴である気道狭窄は喘息の誘発因子に対する免疫システムの反応によるものです。

喘息治療は、通常、喘息症状とその増悪を予防するために吸入ステロイド剤で気道の炎症を抑制し、喘息発作に対しては短時間あるいは長時間作用性の気管支拡張薬で抑制します。

アストラゼネカにおける呼吸器領域について
アストラゼネカは呼吸器領域において40年以上の経験に基づく長年の実績と医療用医薬品の強力なフランチャイズを有しています。当社のグローバル戦略は、新規配合剤や新規デバイス、ならびに喘息やCOPD、 特発性肺線維症(IPF)などの呼吸器疾患治療の革新的な製品の提供など、一連の差別化された治療を提供することです。当社は革新的かつ精密なアプローチにより適正な治療が適正な患者さんに担保されると信じ、2024年までに2,500万人の患者さんの生活を改善することを目標としています。

アストラゼネカが日本で製造販売を行っている呼吸器領域ポートフォリオには、喘息・COPD治療薬「シムビコート」および喘息治療薬「パルミコート」があります。

アストラゼネカ株式会社について
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細はこちらでご覧ください。http://www.astrazeneca.com

日本においては、主にがん、循環器、消化器、呼吸器、糖尿病、ニューロサイエンスを重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはこちらでご覧ください。http://www.astrazeneca.co.jp