アストラゼネカのTAGRISSO™ (OSIMERTINIB)、EGFR T790M 遺伝子変異陽性転移非小細胞肺がんにおけるファースト・イン・クラス治療薬として、欧州で承認取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2016年2月3日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


欧州委員会 (EU)の迅速審査プロセスにより承認された最初の新薬
客観的奏効率66%および無増悪生存期間中央値9.7月を示す試験に基づく承認取得
osimertinibの恩恵を享受できる患者さんを腫瘍組織や血液検査によって同定

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2016年2月3日、TAGRISSO™ (AZD9291、osimertinib) 80mg錠1日1回投与に対し、局所進行あるいは転移性の上皮成長因子受容体 (EGFR) T790M変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) の成人患者さんの治療薬として、欧州委員会 (EC) より販売承認を取得したことを発表しました。

承認されたosimertinibの適応症は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による前治療の有無にかかわらず、T790M変異陽性NSCLCです。osimertinibによる治療の適格性は遺伝子変異の状況により異なるため、腫瘍組織あるいは血漿を用いた検査結果に基づき決定します。循環腫瘍DNA (ctDNA) の血液検査が可能になれば、医師や患者さんはT790M変異の診断において複数の選択肢を有することになります。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントおよびチーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べました。「osimertinibは新世代の標的EGFR-TKI治療薬と定義することができます。また、この度の欧州委員会による迅速承認は、本剤がT790M変異を有する肺がん患者さんのニーズに応える革新的な医薬品であることを示しています。当社は、様々な治療環境下のEGFR変異陽性肺がん患者さんに対するosimertinibのあらゆる可能性を探索するために、臨床での有用性を積み重ねていきます」。

Global Lung Cancer Coalition(世界肺がん連合)会長であるDr. Matthew Petersは次のように述べました。「肺がん患者さんの治療は、今飛躍の時にあります。遺伝子変異に基づき肺がん患者さんのタイプを正確に分類し、標的治療の効果を予測することで、より的確で効率的な治療を行うことが可能となります。一般的な感受性EGFR遺伝子変異に加えT790M遺伝子変異も有する患者さんは、現在の標準治療では望ましい結果を得られていません。腫瘍組織もしくは簡便な血液検査を用いて肺がん患者さんのT790Mの状況を検査し、患者さんの遺伝子変異パターンに対して特別に開発されたosimertinib等の治療薬を優先的に使用することにより、長期的な治療アウトカムがもたらされます」。

EGFR受容体の変異は制御不能な細胞増殖および腫瘍形成を誘導します。osimertinibは、がん発生の原因となるEGFR遺伝子変異とEGFR-TKIの薬剤耐性に関与するT790Mの両方を標的としています。EGFR-TKIによる治療後、病勢が進行するNSCLC患者さんの3分の2近くはT790M遺伝子変異を発現しますが、現在のところ治療選択肢は限られています。また、少数の患者さん (約3-5%) はNSCLCと診断された際に既にT790M変異を有しています。

EUのosimertinibに対する承認はEGFR-TKIによる治療中あるいは治療後に病勢が進行した474人のEGFRm T790M NSCLC 患者さんにおける有効性を示した2本の第II相試験 (AURA延長試験およびAURA2試験)およびAURA第I相拡大試験のデータに基づいています。客観的奏効率 (ORR: 腫瘍縮小効果) は第II相試験併合解析において66%、第I相試験では62%でした。無増悪生存期間 (PFS) は第II相試験併合解析で9.7カ月、第I相試験では11カ月でした。奏効期間 (DOR) 中央値は、第I相試験で9.7カ月であり、第II相試験併合解析では、DOR中央値に到達しませんでした。

2本のAURA第II相試験における代表的な有害事象は概して軽度から中程度であり、主な有害事象は下痢(全グレードで42%、グレード3/4で1.0%)、発疹 (全グレードで41% 、グレード3/4で0.5%)、皮膚乾燥 (全グレードで31%、グレード3/4で0%) および爪毒性 (全グレードで25%、グレード3/4で0%) でした。警告および使用上の注意には間質性肺疾患とQT間隔延長が含まれます。

EUにおけるosimertinibの販売承認は、欧州医薬品庁(EMA)の迅速審査手続きを経て付与されました。本承認取得は、2015年11月の米国食品医薬品局 (FDA)による迅速承認および2015年12月の英国における医薬品早期アクセスプログラム(EAP)による供給に続くものです。本剤は、日本では厚生労働省(MHLW)から優先審査品目に指定されています。世界のその他の地域においても、薬事当局との協議が進展中です。
 

非小細胞肺がん (NSCLC) について
肺がんは、男女双方のがん死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約3分の1を占めています。また、肺がん死亡者数は、乳がん、前立腺がんおよび大腸がんの死亡合計を上回ります。NSCLC患者さんのうちEGFR変異陽性の患者さんは、ヨーロッパで10-15% 、アジアでは30-40%に上り、腫瘍細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR-TKI による治療に非常に高い感受性を示します。しかし、腫瘍細胞はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行します。既承認のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ、エルチロニブあるいはアファチニブによる治療を受けている患者さんの約3分の2において、T790Mとして知られる二次変異によりこの薬剤耐性が発生します。

osimertinibについて
osimertinib 80mg錠1日1回投与は、転移EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) 成人患者さんの治療を適応とする世界初の医薬品です。In vitro試験により、osimertinibは臨床的に関連する一連のEGFRmおよびT790M変異陽性NSCLC細胞株全体の変異EGFRリン酸化反応に対し強力な阻害活性を有する一方で、野生型EGFR細胞株に対しては阻害活性が著しく低いことが確認されています。

EGFR-TKIによる治療後に病勢進行した局所進行あるいは転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) 患者さんを対象とするAURA3 第III相確認試験において、osimertinibとプラチナ製剤ベースの2剤化学療法との比較が行われています。また、osimertinibは術後補助療法および脳転移を含む転移ファーストライン治療、ならびに他の化合物との併用においても検討されています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する最低6つの新薬および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、New Oncologyをアストラゼネカの6つの成長基盤のひとつとして進展させることに注力しています。中核的な能力に加え、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるように、当社は戦略を加速する革新的な提携および投資を積極的に追求していきます。

がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤の力を強化し、個別化された併用療法の開発を支持することで、がん治療のパラダイムを再定義し将来的にはがんによる死亡をなくすことがアストラゼネカのビジョンです。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。