アストラゼネカのオラパリブ(LYNPARZA™)、BRCA 1/2 またはATM遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん治療薬としてFDAより画期的治療薬に指定

本資料はアストラゼネカ英国本社が2016年1月28日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2016年1月28日、米国食品医薬品庁 (FDA) が、経口ポリADP-リボースポリメラーゼ (PARP) 阻害剤 Lynparza™ (オラパリブ) に対し、タキサンベースの化学療法及び少なくとも1種類の新規ホルモン製剤 (アビラテロンまたはエンザルタミド) による前治療を受けたBRCA 1/2 または ATM 遺伝子変異を有する転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC) 患者さんの単剤療法として画期的治療薬指定( The Breakthrough Therapy Designation ) を付与したことを発表しました。

FDAから画期的治療薬指定を受けるには、当該医薬品が既存の治療薬と比較して、少なくとも一つの臨床的に重要な評価項目において大幅な改善を示す予備的な臨床エビデンスが必要です。オラパリブは、バイオマーカーにより選択された重篤かつ生命を脅かす病態であるmCRPC患者群の治療において、オラパリブ単剤療法が既存の治療薬と比較して大幅な改善が示唆されたTOPARP-A 第II相試験の結果に基づき、画期的治療薬に指定されました。この試験は2015年AACR (米国がん学会)で発表され、2015年10月にThe New England Journal of Medicine に掲載されましたi。同試験において、オラパリブがDNA損傷修復メカニズムに異常をきたした前立腺がん患者さんに奏効が認められました。

オラパリブがこの患者群において画期的治療薬指定を受けたことにより、FDAは申請データを受領から60 日以内に迅速に審査することになります。アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門オンコロジー領域の責任者であるAntoine Yverは次のように述べました。「昨年、米国だけでも27,000人の男性が前立腺がんにより死亡しています。現在、転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療選択肢は非常に限られているため、オラパリブに対する画期的治療薬指定は、患者さんおよびそのご家族を勇気づけるニュースです。当社は、一日も早くオラパリブを新たな治療選択肢として導入するため、FDAと緊密に連携していきます」。

前立腺がんはひとたびmCRPCに進行すると、その治療は延命、病勢進行の遅延、症状および生活の質の改善などが中心となります。化学療法および新規ホルモン製剤による治療を受けた患者さんの全生存期間は10カ月ですii。また、BRCA1、 BRCA2 、ATMの体細胞もしくは生殖細胞遺伝子変異を有するmCRPC患者さんに対する標的治療は現在存在しません。

オラパリブは、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、DNA修復経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。この作用機序により、オラパリブは、DNA修復に異常をきたした一連の腫瘍型に作用すると考えられています。

オラパリブは、40カ国においてBRCA1/2変異を有する卵巣がんの維持療法として、規制当局により承認されています。アストラゼネカはオラパリブの開発を他のPARP依存性腫瘍において検討しています。胃がん、膵臓がん、高リスクBRCA1/2変異陽性HER2 陰性原発乳がんの術後補助療法およびBRCA1/2 変異を有する転移性乳がんにおける第III相試験を実施中であり、更なる試験も計画中です。
 

前立腺がんについて
米国では2015年、27,540人の男性が前立腺がんにより死亡しましたiii。The Global Burden of Disease Cancer Collaborationによるとiv、世界では2013年の一年間で、140万人が罹患し、293,000人が死亡しました。また、2013年の世界における障害調整生存年数は480万年と算出しており、うち57%は先進国において、43%は開発途上国において発生したと報告しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
オンコロジーはアストラゼネカが歴史的に深い経験を有する治療領域です。本領域は当社の主要な成長基盤のひとつであり、当社の将来を変革することが期待されています。当社のビジョンはがん治療のパラダイムを再定義することで患者さんを助け、将来的にはがんによる死亡をなくすことです。2020年までに6つの新しいがん治療薬を患者さんにお届けすることを目指しています。当社の次世代医薬品の広範なパイプラインは、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんの4つの主な疾病領域に焦点を当てています。これらについて、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの主要な基盤を通じて的を絞り、特に併用療法に注力しています。また、2016年第1四半期の結果を待たねばなりませんが、最近発表したAcerta Pharma社への投資により、当社のポートフォリオに変革をもたらす可能性のあるBTK阻害剤クラスの治療薬が加わり、標的治療への当社の注力が更に強化されます。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に呼吸器・炎症・自己免疫疾患 (RIA) 、 循環器・代謝疾患 (CVMD) 、オンコロジーの3つの重点治療領域ならびに感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。

i Mateo J, et al. DNA-Repair Defects and Olaparib in Metastatic Prostate Cancer http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1506859?af=R&rss=currentIssue&
ii Smith MR, DeBono JS, Sternberg CN, Le Moulec S, Oudard S, De Giorgi U et al. Final analysis of COMET-1: Cabozantinib (Cabo) versus prednisone (Pred) in metastatic castration-resistant prostate cancer (mCRPC) patients (pts) previously treated with docetaxel (D) and abiraterone (A) and/or enzalutamide (E).ASCO GU 2015. J Clin Oncol 2015;33(7):abstr 139.
iii National Cancer Institute 2015. http://www.cancer.gov/types/common-cancers accessed September 2015
iv Global Burden of Cancer Coalition. The Global Burden of Cancer 2013. JAMA Oncol. 2015;1(4):505-527. doi:10.1001/jamaoncol.2015.0735. http://oncology.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2294966#ArticleInformation