アストラゼネカとIncyte社、新規肺がん共同臨床試験を発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2016年1月11日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)とIncyte Cooperation (本社:米国デラウェア州、CEO:Hervé Hoppenot、以下、Incyte社) は、2016年1月11日、アストラゼネカの次世代上皮成長因子受容体 (EGFR) 阻害剤osimertinib ( Tagrisso®) とIncyte社のヤヌスキナーゼ (JAK) 1阻害剤INCB39110 の併用における有効性と安全性を評価するために、新たな共同開発を発表しました。本併用は、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI) による治療後にT790M耐性変異を生じたEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) 患者さんのセカンドライン治療として評価されます。

EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者さんにおけるEGFR-TKI治療への耐性発現については、JAK-STAT(シグナル伝達兼転写活性化因子)経路の情報伝達が寄与因子であるとのエビデンスが増加しています。したがって、一定の患者さんにおいては、JAKおよびEGFR双方の活性を阻害することにより、より標的を絞った治療効果が提供される可能性があります。

今回の契約に基づき、アストラゼネカとIncyte社は、Incyte社が主導する第I/II相試験について協働します。本試験の第I相ではINCB399110およびosimertinib の併用における推奨用量を確立することが期待され、第II相では安全性・有効性プロファイルを評価していきます。本併用の更なる臨床試験については、本試験の結果により決定されます。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門オンコロジー領域責任者であるAntoine Yverは次のように述べました。「当社は、Incyte社との既存の関係を発展させることで、第1世代EGFR阻害剤に耐性を生じた肺がん患者さんに対する非常に有望な併用療法を探求できることを喜ばしく思います。今回の提携は、米国での迅速承認および欧州CHMP(欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会)の承認勧告に続き、当社のファーストインクラスT790M誘導チロシンキナーゼ阻害剤であるosimertinib が患者さんの非常に高いアンメットニーズに応える方法を探求するためのものです」。

Incyte社の医薬品開発責任者であるRich Levy, MDは次のように述べました。「今回のアストラゼネカとの共同研究の拡大により、これら2剤の化合物への理解を更に深め、相乗効果を探求することができます。これは、革新的な医薬品を提供するという当社の目標を後押しする取り組みであり、がん患者さんやその他の疾患の患者さんの利益となることでしょう。当社は、進行中のINC39110の臨床研究を拡大し、本併用の可能性を探求することを楽しみにしています」。

本契約は、2014年5月に発表されたアストラゼネカの抗PD-L1免疫チェックポイント阻害剤durvalumabとIncyte社の経口インドールアミン-1-ジオキシゲナーゼ (IDOL1) epacadostat (INCB24360) との併用を探求する既存の提携を発展させるものです。
 

osimertinib について
osimertinibは、転移EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) 成人患者さんの治療を適応とする唯一の医薬品です。本適応は、腫瘍奏効率および奏効期間 (DoR) に基づき米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認プロセスのもと承認されました。osimertinibはEGFR-TKIによる治療後に病勢進行した局所進行あるいは転移 EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん (NSCLC) 患者さんを対象とするAURA3 第III相試験において、プラチナベース二重化学療法との比較が行われています。また、osimertinibは補助療法および脳転移を含む転移ファーストライン治療、ならびに他の化合物との併用も検討されています。非臨床体外試験により、臨床的に関連する一連のEGFRmおよびT790M変異陽性NSCLC細胞株全体の変異EGFRリン酸化反応に対し強力な阻害活性を有する一方で、野生型EGFR細胞株に対しては阻害活性が著しく低いことを確認しています。

INCB39110について
INCB39110はヤヌスキナーゼ1 (JAK1) の経口投与可能なアイソフォーム選択性阻害剤です。JAK1活性は自己免疫疾患および腫瘍疾患の双方において重要な役割を果たすと考えられています。JAK1はヘテロ二量体複合体をJAK2、 JAK3 、TYK2と形成し、免疫調節および炎症情報伝達キナーゼとして機能します。選択的JAK1阻害によりIL-6、 IL-10およびインターフェロンγを含む多くのサイトカインのSTAT(シグナル伝達兼転写活性化因子)情報伝達が阻止されます。ヘテロ二量体JAK/STAT情報伝達の調整におけるJAK1の主要な役割と一貫し、JAK1阻害により、さまざまな前臨床固形・液性腫瘍モデルにおいてバランスのとれたJAK1/JAK2調節と同等の有効性が発揮することが示されています。INCB39110は、移植片対宿主病 (GvHD) の単剤療法として、また、PI3Kδ (INCB50465)、 IDO1 (epacadostat) およびEGFR阻害剤(osimertinib)との併用を含むいくつかの併用治療レジメンにおいて、臨床試験により検討されます。

Incyteについて
Incyte Corporationは、主にオンコロジー領域の独自の低分子医薬品の創薬、開発および商業化に特化するデラウェア州ウィルミントンに本社を置くバイオ医薬品会社です。Incyteの詳細についてはウェブサイトhttp://www.incyte.com/をご覧ください。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
オンコロジーはアストラゼネカが歴史的に深い経験を有する治療領域です。本領域は当社の主要な成長基盤のひとつであり、当社の将来を変革することが期待されています。当社のビジョンはがん治療のパラダイムを再定義することで患者さんを助け、将来的にはがんによる死亡をなくすことです。2020年までに6つの新しいがん治療薬を患者さんにお届けすることを目指しています。当社の次世代医薬品の広範なパイプラインは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの主要な基盤のもと、卵巣がん、肺がん、乳がんおよび血液がんの4つの主な疾病領域に焦点を当てた開発を進めていきます。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に呼吸器・炎症・自己免疫疾患 (RIA) 、 循環器・代謝疾患 (CVMD) 、オンコロジーの3つの重点治療領域ならびに感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください