PEGASUS-TIMI 54サブ解析結果によるチカグレロルの長期忍容性データを発表

~治療継続患者さんにおけるベネフィットをAHAで発表~

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は11月10日、心筋梗塞の既往歴(試験組み入れ1~3年前) がある患者さんで、治療を継続した患者さんにおいて、チカグレロルの投薬を中止した理由と中止率を評価するPEGASUS-TIMI 54試験サブ解析の詳細を発表しました。本データは2015年米国心臓病協会(AHA)学術集会の最新臨床試験セッションにおいて発表されました。

統合解析結果により、治療を継続した患者さんにおいて、治療3年経過時点で、チカグレロルが複合有効性エンドポイントである心血管死、心筋梗塞または脳梗塞の発症率を低減させたことが示され(ハザード比:0.79、95%、信頼性区間:0.70-0.88)、PEGASUS-TIMI54 試験全体の被験者の結果と同一傾向が示されました。有害事象による投薬中止率はプラセボ群で8.9%、チカグレロル90mgおよび60mg群でそれぞれ19%、16.4%で、出血および呼吸困難による中止が最も頻繁にみられました。投薬中止の原因となった有害事象の発症率は、1年目で最も高く、90mg群では16%、60mg群では13%、プラセボ群では6%でした。その後治療を継続した患者さんにおいて、2年目、3年目の投薬中止率は90mg群で6.5%、60mg群で6.0%、プラセボ群で4.6%でした。

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院循環器科やTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)試験グループに所属し、本サブ解析試験の主任治験責任医師を務めたDr. Marc P. Bonaca, MD, MPHは次のように述べました。「本解析により臨床ベネフィットの観点から、チカグレロルでの治療でよくみられる有害事象の重要なパターンが示されました。医師は、投与開始後1年までに高率に発生する出血や呼吸困難を含めた、全体的なリスクを十分に考慮しなければいけません。そうした注意深い治療を行うことで、チカグレロルは、長期的にみて心血管イベントの再発リスクが高い患者さんに、重要なベネフィットを提供することができます。本サブグループ解析によりチカグレロルの臨床効果や有害事象のさらなる特徴の理解が深まり、PEGASUS-TIMI54試験の対象である患者さんの心血管死、心筋梗塞および脳梗塞の複合リスクを低減する役割がより明らかにされました」。

アストラゼネカの米国メディカルアフェアーズのバイスプレジデントであるSteven Zelenkofske, D.O., FACC, は次のように述べています。「DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)の適切な継続期間が未だ問われている中、チカグレロルを用いた長期DAPTの忍容性と有効性の評価に役立つこのサブ解析結果を大変うれしく思います」。

2015年9月3日、米国食品医薬品局 (以下、FDA)は、チカグレロル(米国での製品名:BRILINTA®)の新規用量である60mgの、心筋梗塞発症から1年以上経過した患者さんに対する使用を承認しました。この適応拡大によりチカグレロルは、急性冠症候群(ACS)の患者さん、または心筋梗塞の既往歴がある患者さんにおける 心血管死、心筋梗塞 、および脳梗塞の再発抑制の適応で承認されました。また、チカグレロルはACS治療のためステント留置が行われている患者さんにおいて、ステント血栓症の発症率も低減します。

PEGASUS-TIMI 54試験は、試験組み入れ前の1~3年の間に心筋梗塞の既往歴があり、かつ他の血栓性心血管イベントのリスク因子をさらに1つ有する50歳以上の患者さんを対象に、低用量アスピリンの治療下で、チカグレロル錠60mgあるいは90mg、またはプラセボを1日2回併用投与したときの、アテローム血栓性イベントの再発抑制を長期的に調べ、チカグレロルとアスピリンの併用療法の有効性と安全性を評価したものです。FDAにより、チカグレロル60mg錠のみが心筋梗塞の既往歴がある患者さんに対する使用が承認されており、現在米国の薬局で入手可能です。チカグレロルは、PLATO試験*1およびPEGASUS試験を含む複数の臨床試験により研究されました。PLATO試験およびPEGASUS試験のみでも4万例の患者さんがチカグレロルの研究に参加しました。

*1PLATO試験は世界40カ国以上を対象とした試験ですが、日本は含まれていません


PEGASUS-TIMI 54試験について

PEGASUS-TIMI 54 (PrEvention with TicaGrelor of SecondAry Thrombotic Events in High-RiSk Patients with Prior AcUte Coronary Syndrome – Thrombolysis In Myocardial Infarction Study Group)は、アストラゼネカの最大級のアウトカム試験で、31カ国の1,100超の施設からの2万1,000例を超える患者さんを対象としています。本試験では、試験組み入れ前の1~3年の間に心筋梗塞の既往歴があり、血栓性心血管イベントのリスク因子(65歳以上、投薬を必要とする糖尿病患者、1回以上の心筋梗塞の既往歴、複数の冠動脈疾患または毎分60ml未満のクレアチニンクリアランス)を1つ以上持つ50歳以上の患者さんを対象に、1日1回の低用量アスピリン治療下で、チカグレロル錠60mgあるいは90mg、またはプラセボを1日2回併用投与したときの、アテローム血栓性イベントの再発抑制を評価しました。本試験の主要有効性評価項目は36カ月時点の心血管死、心筋梗塞または脳梗塞の複合エンドポイントです。患者さんは最低12カ月、最大48カ月治療を受け、追跡期間中央値は33カ月でした。12カ月以上前の心筋梗塞の既往歴を有する患者さんに使用が承認されているのはチカグレロル60mgのみです。本試験は米国マサチューセッツ州ボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ病院のTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction:心筋梗塞における血栓溶解)研究グループと共同実施しました。

チカグレロル(海外での製品名:BRILINTA®)について
チカグレロルはで急性冠動脈症候群(ACS)に対する経口抗血小板治剤で、シクロペンチルトリアゾロピリミジン群(cyclo-pentyl-triazolo-pyrimidines:CPTPs)に分類され、P2Y12受容体に直接作用します。チカグレロルは血小板活性を阻害することで効果を発揮し、ACS患者において心筋梗塞あるいは心血管死を含む血栓性心血管イベントの発生率を低下させることが示されています。
BRILINTA®はアストラゼネカグループの登録商標です。
チカグレロルは日本国内では未承認です。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。