アストラゼネカ EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん治療薬AZD9291 日本で優先審査品目に指定

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ガブリエル・ベルチ、以下、アストラゼネカ)は、EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん治療薬「AZD9291(開発コード)」について、2015年10月29日に厚生労働省より優先審査品目に指定されたことをお知らせします。

AZD9291は、「EGFR チロシンキナーゼ阻害薬の使用中又は使用後に病勢進行した、EGFR T790M 変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定の適応として、当社が2015年8月に国内における承認申請を行った薬剤です。海外では、米国および欧州(EU)で承認申請中であり、米国食品医薬品局(FDA)からBreakthrough Therapy(画期的治療薬)に、欧州医薬品評価委員会(CHMP)から迅速審査の指定を受けています。2015年11月5日時点で、AZD9291が承認された国はありません。

アストラゼネカは、今後もオンコロジー領域におけるサイエンスをリードし、有効な治療法が無いがん患者さんのアンメットニーズに応えるための研究開発を精力的に行い、安全で有効な医薬品をお届けする努力を続けて参ります。
 

AZD9291について
AZD9291は、アストラゼネカが開発した1日1回投与の新規経口分子標的治療薬です。既存の上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)とは異なる新規の作用機序を有しており1、EGFR活性化変異型EGFRに加え、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRにも不可逆的に阻害する一方で、野生型EGFRに対しての阻害作用が弱くなるよう設計されています。

国内におけるEGFR T790M 変異陽性NSCLC患者さんと薬剤耐性の課題について
肺がんの国内死亡者数は年間約7万人2 に上り、多くの場合、診断時には既に進行または転移が認められる、予後の悪いがんの一つです3。日本における肺がん罹患数は133,500人(2015年予測)2とされ、NSCLCは全肺がんの80~85%4を占めます。さらに、EGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者さんは40%5を占めると推定されます。

EGFR遺伝子変異陽性のNSCLCは、既存のEGFR-TKIが有効な治療手段とされています。しかし、多くの患者さんは治療開始1年~1年半ほどでEGFR-TKIに対する耐性が生じ、病勢が進行してしまいます。これまでの研究から、EGFR-TKIに耐性が生じた患者さんの約60%6において、EGFR T790M耐性変異という新たな遺伝子変異が生じていることが明らかになっています。

日本肺癌学会と肺がん患者の会ワンステップは、2015年7月3日、EGFR T790M変異陽性NSCLC患者さんが抱えるアンメットニーズを踏まえ、学術的見地ならびに人道的見地から、AZD9291の早期承認を求める要望書を厚生労働大臣宛に提出しています。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
オンコロジーはアストラゼネカが歴史的に深い経験を有する治療領域であり、当社の将来を変革することが期待されています。当社のビジョンはがん治療のパラダイムを再定義することで患者さんを助け、将来的にはがんによる死亡をなくすことであり、2020年までに6つの新しいがん治療薬を患者さんにお届けすることを目指しています。
当社の次世代医薬品の広範なパイプラインは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの主要な基盤のもと、卵巣がん、肺がん、乳がんおよび血液がんの4つの主な疾病領域に焦点を当てた開発を進めていきます。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。
 

参考資料

1 Cross DA, et al. AZD9291, an irreversible EGFR TKI, overcomes T790M-mediated resistance to EGFR inhibitors in lung cancer. Cancer Discov. 2014;4:1046-61.

2 国立がん研究センターがん対策情報センター、がん情報サービス「がん登録・統計」(2015年10月30日アクセス時点)http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

3 Herbst RS,et al. Lung cancer. N Engl J Med. 2008; 359:1367-80.

4 国立がん研究センター がん対策情報センター、「がん診療連携拠点病院院内がん登録(2013年全国集計 報告書)」

5 Kosaka T, et al. Mutations of the Epidermal Growth Factor Receptor Gene in Lung Cancer: Biological and Clinical Implications. Cancer Res 2004; 64: 8919-23.

6 Yu HA. et al. Analysis of tumor specimens at the time of acquired resistance to EGFR-TKI therapy in 155 patients with EGFR-mutant lung cancers. Clin. Cancer Res. 2013; 19(8), 2240-7.