アストラゼネカ、2015年欧州がん学会においてオンコロジー研究の進展を発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2015年9月24日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


~AZD9291、DURVALUMAB(MEDI4736)、LYNPARZA™ (OLAPARIB) ~

アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、当社のグローバルバイオ医薬品研究開発部門であるメディミューンとともに、オーストリア、ウィーンで開催された2015年欧州がん学会(ECC)(2015年9月25~29日)において、オンコロジー領域における当社のサイエンスのリーダーシップを支える研究の強みを提示しました。

AZD9291、durvalumab、olaparibのデータを含む19本の口頭およびポスター発表により、過去に発表された結果の確認・補完的解析ならびに新たなデータが提供されました。

  • AZD9291: 既治療EGFR T790M変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんにおける第II相試験2本の統合解析(抄録 # 3113)および脳転移患者における抗腫瘍活性の解析(抄録 # 3083)
  • Durvalumab 単剤療法:NSCLC患者さんにおけるduvalumab(抗PD-L1抗体)単剤療法の奏功とバイオマーカーに関する初期結果(抄録 # 15LBA)
  • Olaparib: BRCA遺伝子以外の卵巣がん患者さんにおけるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤選択性のバイオマーカー候補(抄録 # 435)

アストラゼネカのオンコロジーグローバル製品戦略担当シニアバイスプレジデントであるMondher Mahjoubiは次のように述べました。「2015年欧州がん学会において発表されたデータは、オンコロジー領域における当社の開発計画の強みと著しい進展を示しました。特に、AZD9291に関する膨大なデータは、多くの既治療非小細胞肺がん患者さんにみられた結果の確実性と整合性を顕示しており、当社の開発計画の優位性を示す一例です」。

既治療NSCLC患者さんにおけるAZD9291
既治療NSCLC患者さんを対象としたAURA第II相試験(AURA延長試験・AURA2試験)の解析データ(抄録 # 3113)により、過去の学会で既に報告されたAZD9291の結果が確認されました。AZD9291は選択性の高い不可逆的阻害剤で、上皮成長因子受容体チロンシンキナーゼ活性化変異 (EGFR)と耐性遺伝子変異であるEGFR T790M変異の双方を阻害します。400超例の既治療EGFR T790M患者さんの統合データにより客観的奏効率 (ORR)は66%(95%信頼区間(CI): 61~71%)と示されました。ORRは、人種、活性化変異タイプおよび脳転移の有無を問わずAZD9291治療を受けたすべてのサブグループにおいて概ね一貫していました。初期の無増悪生存期間(PFS)の中央値は9.7カ月(95% CI: 8.3カ月~算出不能 [NC])、奏効期間(DoR)の中央値は算出不能でした(95% CI: 8.3カ月~NC)。

また、安全性プロファイルも過去のデータと合致していました。主な有害事象(AE)は下痢が42%(グレード3以上: 1%)および発疹が41%(グレード3以上: 1%)でした。高血糖、間質性肺疾患(ILD)およびQT延長の報告されたAEは過去に発表されたデータと合致していました。ILDおよび肺炎が3%(グレード3以上: 2%)、高血糖が1%(グレード3以上: 0%)、QT延長が4%(グレード3以上: 1%)でした。患者さんの4%が薬剤関連AEによりAZD9291を中止しました(治験担当医による評価)。

AURA第II相試験の解析(抄録 # 3083)により、脳転移の有無を問わず、EGFR T790M変異陽性NSCLC患者さんにおけるAZD9291の一貫した活性が示されました。臨床症例によりAZD9291は脳における抗腫瘍活性を持つ可能性があることが示されています。AZD9291が血管脳関門に通過することを示す非臨床データは、先の世界肺がん学会議において発表されました (WCLC 抄録#ID410)。BLOOM(NCT02228369)試験によりAZD9291が脳における抗腫瘍活性を有する可能性を更に検討しています。

AZD9291 ASTRIS試験(NCT02474355)では、欧州の複数施設の実地医療における既治療のEGFR T790M変異を有する進行または転移NSCLC患者さんを登録中です。米国では、EGFR T790M変異を有する進行または転移NSCLC患者さんに対し、AZD9291の拡大アクセスプログラム (NCT02451852)を提供しています。AZD9291は現時点では研究的治療であり、いかなる国においても、いかなる適応症においても承認されていません。

がん免疫治療プログラムが迅速に進展
メディミューンは、免疫治療が奏効する可能性が最も高い患者さんを同定するバイオマーカー研究の進展を明示しました。本研究は、腫瘍におけるプログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)及びinterferon gamma(INF-γ)の発現増加と抗PD-L1抗体であるdurvalumabの効果に関連性があることを示しています(抄録 # 15LBA)。

この新しい研究はNSCLCに対する広範なdurvalumab臨床開発プログラムの一環であり、このプログラムには、本年のWCLCおよび他の学会において検討されたPACIFIC(NCT02125461)、ATLANTIC(NCT02087423)、ARCTIC(NCT02352948)、MYSTIC (NCT02453282)およびNEPTUNE(NCT02542293)試験が含まれます。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門がん免疫治療の責任者であるRobert Iannoneは次のように述べました。「当社のバイオマーカー開発における進展はdurvalumab単剤療法により最も恩恵を享受できる患者さんならびに当社の抗CTLA-4阻害剤 (tremelimumab)等の他の免疫治療薬との併用が最も効果的な患者さんを効果的に同定することを可能にします。これらの知見は、現在9,000超例の肺がん、膀胱がん、頭頸部がん、およびその他のがん患者さん対象とする17本の臨床試験を含む当社の広範な後期がん免疫治療薬プログラムの進展を支えるものです」。

Olaparib がBRCA 遺伝子変異を越えて活性を示す
Olaparibの第II相試験の探索的バイオマーカーデータは、BRCA 1/2遺伝子変異のない卵巣がん患者さんの一部がPARP阻害剤治療により抗腫瘍作用を示す理由の科学的解明に寄与しています(抄録 # 435)。本データにより、それらの患者さんは、BRCA遺伝子と同様に相同組換え修復(HRR)に作用する 遺伝子に変異をもつ腫瘍を有していることが示されました。

この新たなバイオマーカー解析は、olaparibの第II相試験(NCT00753545、Study 19)に参加した209例のプラチナ製剤感受性再発漿液性卵巣がん患者さんの腫瘍標本を用いて実施されました。BRCA遺伝子に変異のないがん患者さんのサブセットにおいて、他のHRR遺伝子に変異が検出されない58例の患者さんに比べて、他のHRR遺伝子変異のある21例の患者さんの方がolaparibの有効性が高い傾向がありました。

Olaparibはがん細胞のDNA損傷および修復のメカニズムを標的とする個別化治療薬で、アストラゼネカが有する業界トップクラスのパイプラインにおける主要製品です。現在実施中の臨床試験において、BRCA遺伝子変異を越えてHRR遺伝子に変異のある腫瘍を標的とするolaparibの可能性が検討されています。

アストラゼネカ、オンコロジー戦略の成果を上げる
LYNPARZA™ (olaparib) の米国および欧州での上市、米国でのイレッサ®(ゲフィチニブ) の承認、AZD9291の米国・欧州における迅速な承認申請、開発中化合物の各種薬事指定、がん免疫治療薬および低分子化合物の併用に対する当社の注力を支持する有望なデータに続き、欧州がん学会は2015年のアストラゼネカおよびメディミューンの更なる成功を示すマイルストーンとなりました。

進展が継続すると共に、当社はがん生物学の理解を深め、研究をより広い腫瘍型へと拡大しており、2016年には年間を通じて新たなデータを学会発表する予定です。アストラゼネカは2020年までに6つの新規がん治療薬を患者さんにお届けするという大胆な目標の達成に向けて順調に前進しています。

欧州がん学会における主なデータ発表
2015.09.29

AZD9291について
AZD9291は、現在開発中の選択性の高い不可逆的阻害剤で、野生型EGFRへの阻害作用は弱く、EGFR活性化変異 と耐性遺伝子変異であるT790M変異の双方を阻害します。本剤は、高血糖の可能性を最小化するために、インスリン受容体(IR)およびインスリン様成長因子受容体(IGFR)として知られる2つの生物学的受容体に対する活性を最小化するように設計されています。高血糖により、患者さんが追加の医薬品による治療が必要となる原因となる可能性があります。

NSCLC患者さんのうちEGFR変異陽性の患者さんは、ヨーロッパで10-15% 、アジアでは30-40%に上り、がん細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR TKI による治療に非常に高い感受性を示します。しかし、腫瘍細胞はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行します。既承認のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブあるいはエルチロニブによる治療を受けている患者さんの約3分の2においてこの薬剤耐性はEGFR T790M変異として知られる二次変異により発生します。現在この耐性変異腫瘍を標的とした治療薬は承認されていません。

AZD9291はEGFR チロシンキナーゼ阻害薬の使用中又は使用後に病勢進行した、EGFR T790M 変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌治療薬として、米国食品医薬品局 (FDA)、欧州医薬品庁 (EMA) およびその他の規制当局に承認申請中です。本剤に対し、FDAはこれまでの画期的治療薬指定、希少疾病治療薬・ファストトラックステータスに加え、このたび優先審査を付与しました。また、本剤は、EMAから迅速審査ステータスも取得しています。

Durvalumab について
Durvalumabは、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に対する、開発中ヒトモノクローナル抗体です。PD-L1を介するシグナルにより、腫瘍は免疫システムから探知されるのを回避していますが、durvalumabはこれらのシグナルを阻害することで、腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないよう作用します。Durvalumabは、他の免疫治療薬と並行して、患者さんの免疫システムを活性化し、がんを攻撃するように開発されています。Durvalumabは広範な臨床試験プログラムにおいて、単剤療法もしくはtremelimumabとの併用で、NSCLC、頭頸部がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がんおよび血液がんにおいて検討されています。

LynparzaTM(Olaparib)について
Olaparibは、DNA修復経路に異常をきたした腫瘍に対して選択的に作用して死滅させる革新的なファースト・イン・クラスのポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤です。この作用機序により、olaparibがDNA修復に異常をきたした一連の腫瘍型に作用する可能性が示されています。

本製品はBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療薬として承認された最初のPARP阻害剤です。治療の対象となる患者は、検証された診断検査により識別されます。

本製品はBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療薬として承認された最初のPARP阻害剤で、米国およびヨーロッパにおいては発売されており、現在複数の国々で承認審査中です。

ヨーロッパでは、卵巣がんは女性が診断されるがんでは第5位、女性のがんによる死亡原因では第6位です。卵巣がんに罹患した女性の最大15%はBRCA遺伝子変異陽性であり、相同組換え修復異常(HRD)の最大の原因となっています。

卵巣がんに加えて、アストラゼネカは複数の腫瘍型におけるolaparibのすべての可能性を検討しており、胃がんのセカンドライン治療、BRCA遺伝子変異陽性膵臓がん、乳がんの術後補助療法および転移BRCA遺伝子変異陽性乳がんの第III相試験を実施中です。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
オンコロジーはアストラゼネカが歴史的に深い経験を有する治療領域です。本領域は当社の6番目の成長基盤となり、当社の将来を変革することが期待されています。当社は、がん治療のパラダイムを再定義することで患者さんを助け、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げ、2020年までに6つの新しいがん治療薬を患者さんにお届けすることを目指しています。

当社の次世代医薬品の広範なパイプラインは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの主要な基盤のもと、卵巣がん、肺がん、乳がんおよび血液がんの4つの主な疾病領域に焦点を当てた開発を進めていきます。

メディミューンについて
メディミューンはアストラゼネカのグローバルバイオ医薬品研究開発部門です。メディミューンは、革新的な研究を先駆的に進めており、呼吸器、炎症、自己免疫疾患、心血管および代謝性疾患、がん、ニューロサイエンスならびに感染症、ワクチン等の注力疾患領域において新規治療経路の検討に取り組んでいます。メディミューンの本社は、アストラゼネカの3つのグローバル研究開発拠点の一つとして、米国メリーランド州ゲイザースバーグにあります。詳細はhttps://www.medimmune.com/をご覧ください。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。