アストラゼネカ、開発中の非小細胞肺がん治療薬AZD9291の無増悪生存期間更新データを発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2015年4月17日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


病勢進行を1年超遅らせることを示す最新データを2015年欧州肺がん学会で発表

アストラゼネカは4月17日、現在実施中の非小細胞肺がん治療薬AZD9291の「AURA試験」に関する最新データを発表しました。本試験は、上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性かつT790M耐性変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを対象としており、AZD9291投与後の無増悪生存期間 (PFS) 中央値が13.5カ月(95%信頼区間 8.3カ月~測定不能)であることが示されました。さらに、この無増悪生存期間結果に関連して、AZD9291を1日1回80mgの投与を受けた(80mg投与群)T790M変異陽性の患者さん63例についてのみ、別途解析を行ったところ、病性進行は38%にしか認めませんでした。併せて、80mg投与群でのAZD9291の全奏効率は54% (95%CI:41%~67%)、奏効持続期間中央値は12.4カ月(95%CI:8.3カ月~NC)でした。

スイス・ジュネーブで開催されている2015年欧州肺がん学会議(ELCC)において最新解析結果を発表するに当たり、AURA試験の治験統括医師であり、Dana Farberがん研究所胸部オンコロジーLowe Center所長、およびHarvard大学医学部教授であるDr Pasi A. Jänne MD, PhDは、とくに主要効果反応指標で示されたAZD9291の効果の持続性を強調しました。「進行EGFR変異陽性NSCLC患者さんの中でも、T790Mとして知られる耐性変異のために病勢が進行した方々にとって、現在、有効な治療選択肢はほとんどありません。そのような患者さんに対する治療として、これまで、化学療法あるいはEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の再投与など、限られた治療のみが行われてきました。AURA試験の解析が今後も順調に進み、無増悪生存期間の延長および臨床効果の傾向が引き続き維持されていけば、将来、進行EGFR変異陽性 NSCLC患者さんに対し、AZD9291が新たな治療選択肢として提供できる可能性が高まります」。

AZD9291は、1日1回投与の、高い選択性かつ不可逆的なEGFR TKIであり、従来のEGFR変異とT790M耐性変異の両方を標的とするよう設計されています(T790M耐性変異は、EGFR変異陽性 進行NSCLC症例の最大約3分の2においてEGFR TKI薬剤耐性の原因となる遺伝子変異です)。現時点では、EGFR変異とT790M耐性変異の両方が陽性である進行NSCLC患者さんに対して承認された治療薬はありません。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発部門オンコロジー領域責任者のAntoine Yverは、次のように述べました。「当社は、疾病の根底にあるドライバー遺伝子に集中することで、肺がん領域における大きなアンメットニーズに応える新薬の開発に取り組んでいます。現在、本年第2四半期の米国でのAZD9291承認申請に向けて順調に準備を進めています。当社の広範な臨床研究プログラムでは、より早期の疾病に対する治療薬としての可能性やがん免疫治療を含む当社パイプライン上の他新薬候補との併用におけるAZD9291の可能性も検討しています。このような包括的なアプローチにより、当社は、EGFR変異陽性NSCLC患者さんにより多くの治療選択肢を開発することを目標としています」。

現在進行中のAURA試験の第 I / II 相試験は、EGFR TKIによる治療後に病勢進行がみられる進行NSCLC患者さんに対するAZD9291の効果を検証しています。2014年12月2日時点で、283例のEGFR変異陽性進行NSCLC患者さんとEGFR TKI薬剤耐性の患者さんが登録されており、うち31例は用量漸増コホートに、252例は拡大コホートに組み入れられました。これらの患者さんのうち163例が、中央判定でT790M耐性変異陽性と確認されています1。ELCCにおいて発表した最新の結果は、2014年欧州臨床腫瘍学会において発表した既報のデータを更新したものです2

AZD929180mg投与群において最もよく見られた有害事象 (AE) は、発疹38% (すべてのグレード:38%、グレード 3以上: 0%) および下痢36%(すべてのグレード:36%、グレード 3以上:1%)でした。治験担当医師により決定された因果関係を否定できないグレード3以上の有害事象の発現率は14%でした。

2015年3月19日時点で、AZD9291投与を受けた1,000例超の患者さん全例のうち、約2.7% (27例) に間質性肺疾患 (ILD) 事象が報告されました。その内訳は、有害事象共通用語基準 (CTCAE)におけるグレード1~2が12例、グレード3以上が13例、現時点でグレード未判定が2例です。そのうち、合計3例の患者さんにおいてILD (グレード5)による死亡と報告されています。

アストラゼネカはAZD9291について、更に、EGFR変異陽性NSCLC患者さんのファーストライン治療薬としての可能性や、MEDI4736 (抗PDL1免疫療法)や selumetinib (MEK阻害剤) 、さらにAZD6094 (MET阻害剤) との併用の可能性についても検討しています。これらの試験の最初のデータは2015年米国臨床腫瘍学会 (ASCO)年次集会において発表する予定です。
 

1 Jänne PA, et al. A Phase I study of AZD9291 in patients with EGFR-TKI-resistant advanced NSCLC – updated progression-free survival and duration of response data. Presented at the European Lung Cancer Conference (ELCC) Annual Meeting, Geneva; 15-18 April 2015.
2 Yang, J, et al. Updated safety and efficacy from a Phase 1 study of AZD9291 in patients (pts) with EGFR-TKI-resistant non-small cell lung cancer (NSCLC). Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014. Abstract available at: https://www.webges.com/cslide/library/esmo/browse/search/bjy#9f9C033w. Accessed March 2015.
 

AZD9291について
AZD9291は、現在開発中の選択性の高い不可逆的阻害剤で、野生型EGFRには作用せず、EGFR活性化変異 と耐性遺伝子変異であるT790Mの双方を阻害します。また、AZD9291は、高血糖の可能性を回避するために、インスリン受容体およびインスリン様成長因子受容体(IFGR)の2つの生物学的受容体に対する作用を最小限に抑える、もしくはそれらに作用しないように設計されています。高血糖を発症した患者さんは追加薬によるた治療を要することになります。NSCLC患者さんのうちEGFR変異陽性の患者さんは、ヨーロッパで10-15% 、アジアでは30-40%に上り、がん細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR TKI による治療に非常に高い感受性を示します。 しかし、腫瘍細胞はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行します。この薬剤耐性は、T790Mとして知られる二次変異が原因で、進行EGFR変異陽性NSCLC患者さんの過半数において発生します。現時点では、EGFR変異陽性T790M進行NSCLC患者さんに特化した治療薬は承認されていません。AZD9291は、米国食品医薬品局 (FDA) によりBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けるとともに、希少疾病医薬品および優先審査のステータスも与えられました。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
オンコロジーはアストラゼネカが歴史的に深い経験を有する治療領域です。本領域は当社の6番目の成長基盤となり、当社の将来を変革することが期待されています。当社のビジョンはがん治療のパラダイムを再定義することで患者さんを助け、将来的にはがんによる死亡をなくすことで、2020年までに6つの新しいがん治療薬を患者さんにお届けすることを目指しています。当社の次世代医薬品の広範なパイプラインは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの主要な基盤のもと、卵巣がん、肺がん、乳がんおよび血液がんの4つの主な疾病領域に焦点を当てた開発を進めていきます。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。