アストラゼネカ、ハーバード幹細胞研究所と糖尿病における共同研究で提携

本資料はアストラゼネカ英国本社が2015年3月25日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカは3月25日、ハーバード幹細胞研究所(Harvard Stem Cell Institute: HSCI)と5年間の共同研究に関する契約を締結したことを発表しました。本共同研究においてアストラゼネカは、糖尿病の新規治療薬の探索においてアストラゼネカの化合物ライブラリを用いた候補化合物の選定のため、HSCIより幹細胞からヒト膵臓β細胞を作成する技術を導入します。また、本共同研究は糖尿病におけるβ細胞の機能低下のメカニズムを解明することも目的としており、研究結果は査読のある学術誌への掲載を通じて科学界全体に公開する予定です。

1型糖尿病患者では、自己免疫反応によりβ細胞が破壊されており、正常な血糖値を維持するためにインスリンを注射する必要があります。2型糖尿病患者では、β細胞が正常に機能しないか、その数が減少しています。研究用のヒトβ細胞は、数量が限られており入手が極めて困難な状況です。しかし、HSCI共同代表およびハワード・ヒューズ医学研究所の研究者であるDoug Melton教授が率いるチームは成人細胞から直接生成されたヒト人工多能性幹細胞を用いて、健常者成人β細胞とすべての重要な点で類似した細胞を作成する技術を開発し、β細胞を際限なく作成することを可能にしました1

アストラゼネカはMelton教授が率いるHSCIの研究者チームに対し資金を提供するとともにスウェーデンのムンダールに本共同研究専任の社内チームを発足させます。各組織の研究者たちは、ヒト人工多能性幹細胞から作成されたβ細胞を用いて、糖尿病におけるヒトβ細胞の機能低下や細胞数減少の背景にある生物学的メカニズムを究明し、また、化合物のスクリーニングを行うことによって糖尿病患者さんのβ細胞機能を取り戻す可能性のある新しい薬の開発を目的とした共同研究を行います。

アストラゼネカの研究・早期開発部門循環器・代謝疾患領域責任者のMarcus Schindlerは次のように述べました。「当社は、この度のハーバード大学との共同研究の可能性に大いに期待しています。Melton教授のグループはヒト幹細胞をヒトβ細胞に分化させる研究を卓越した業績で進展させてきており、当社の研究者は彼のチームと共に働くことを非常に楽しみにしています。このヒトβ細胞を作成する技術をうまく利用すれば、糖尿病患者の新しい治療を目指した研究開発が大きく変わる可能性があります」。

ハーバード大学技術開発室の責任者であるIsaac T. Kohlbergは次のように述べました。「本共同研究の確立およびアストラゼネカが資金提供による協力を行うことで、糖尿病患者のインスリン注射の必要性を改善し、多くの致死的な糖尿病合併症を予防する新薬の開発を進展させるでしょう。本共同研究は、社会の利益に貢献し患者さんの生活を変えることを目的とする産学連携の理想的な事例です」。

本共同研究は、治療法にとらわれずに、膵臓β細胞の機能およびインスリン感受性を回復させることを目的とするアストラゼネカの糖尿病における戦略的研究アプローチに沿うものです。

1Felicia W. Pagliuca, Jeffrey R. Millman, Mads Gürtler et al., (2014) Generation of Functional Human Pancreatic β Cells In Vitro. Cell 159; 2, 428–439.
 

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