アストラゼネカPEGASUS-TIMI54試験によりチカグレロルの長期投与が心筋梗塞既往歴を有する患者において血栓性心血管イベントを減少させることが示される

本資料はアストラゼネカ英国本社が2015年3月14日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


21,000例の患者さんを対象とする試験のデータを米国心臓病学会第64回年次学術集会において発表同時にNew England Journal of Medicineに掲載

アストラゼネカは、大規模アウトカム試験であるPEGASUS-TIMI 54試験の全結果を3月14日に発表しました。本試験では、心筋梗塞の既往歴(試験組み入れ前の1~3年間)を有する患者さんを対象に、チカグレロル錠と低用量アスピリンの併用又はプラセボと低用量アスピリンの併用を比較してアテローム血栓性イベントの再発抑制効果を評価しました。

主要な結果:

  • チカグレロル90mgおよび60mgの試験用量は共に、アスピリンとの併用において、プラセボと比較して、本試験の主要評価項目である心血管死、心筋梗塞、脳梗塞からなる複合エンドポイントを有意に減少させました。
  • 経口抗血小板剤のプロファイルとして予想されていた通り、また、類似した患者群で行われたこれまでの試験結果と同じく、チカグレロルとアスピリンとの併用は、本試験の主要安全性評価項目であるTIMI Major Bleeding1において、プラセボとアスピリンの併用と比較して、両試験用量とも高い発生数を示しました。重要な点として、頭蓋内出血(頭蓋骨内部で起こる出血)と致死的出血の発生率は低く、両試験群とプラセボ群で類似した結果でした。

本データは、第64回米国心臓病学会学術集会および展示会においてlate-breaking臨床試験セッションで発表されるとともに、New England Journal of Medicineoオンライン版(http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1500857?query=featured_home&)に同日掲載されました。

アストラゼネカのVice Presidentで、グローバル医薬品開発部門の循環器・代謝疾患領域の統括部長であるElizabeth Björkは次のように述べています。「会社として、私たちは循環器系疾患の研究を促進させることに注力しており、世界中で21,000例を超える患者さんを登録して行われたアストラゼネカの最大級の臨床試験であるPEGASUS-TIMI 54試験を完遂させたことを誇りに思っています。急性冠症候群における画期的なPLATO試験に加え、PEGASUS試験のポシティブな試験結果はチカグレロルのエビデンスをさらに拡充しました。同試験は心筋梗塞の既往歴を有する高リスク患者さんにおける長期抗血小板併用療法を評価する最初の前向き試験です」。

「当社は、欧州医薬品庁および米国食品医薬品局に対し承認申請を提出したところで、今後主要市場において可能性のある新規適応症の取得に向けて両当局と協力していくことを楽しみにしています」。

最近の研究により、心筋梗塞を発症した患者さんの5人に1人は、発症後12カ月間イベントがなくても、3年以内には新たな心筋梗塞や脳梗塞を発症したり、心血管死に至ったりすることが示されています2。心筋梗塞発症後1年以上が経過した患者さんへの現在の標準治療はアスピリン単剤治療です。PEGASUS-TIMI 54試験の目的はチカグレロル錠60mg又は90mgを低用量アスピリンと併用することによって、50歳以上で心筋梗塞の既往歴があり、年齢以外の心血管系危険因子を1つ以上有する患者さんの心血管死、心筋梗塞またな脳梗塞の発症リスクを軽減できるかを検討することです。

有効性に関する結果
本試験において、チカグレロルの両試験用量は、プラセボとの比較で、主要評価項目である心血管死、心筋梗塞又は脳梗塞の複合エンドポイントを有意に減少させました。3年時点の複合イベント発生率は、チカグレロル90mg群で7.85%、 チカグレロル60mg群で7.77%、プラセボ群で9.04%でした (チカグレロル90mg vs.プラセボハザード比 [HR] 0.85, 95%信頼区間 [CI] 0.75-0.96; p=0.0080; チカグレロル60mg vs.プラセボHR 0.84, 95%信頼区間[CI] 0.74-0.95; p=0.0043)

主要評価項目のそれぞれの項目におけるチカグレロルの効果は一貫していました。副次的評価項目である心血管死および全死亡率の数値的減少がみられましたが、統計学的有意差には至りませんでした。

さらに、チカグレロルの両試験用量の主要有効性評価項目は、年齢、性別、インデックス心筋梗塞タイプ(非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)/ ST上昇型心筋梗塞)、心筋梗塞診断からの期間、糖尿病、アスピリンの用量、経皮的冠動脈インターベンション(血管再建術)の既往歴、および地理的地域などで分類した主なサブグループでも一貫していました。

安全性に関する結果
予想通り、TIMI Major Bleedingは、プラセボとの比較でチカグレロルの両試験用量において高く、3年時点での発生率はチカグレロル90mg群では2.60%、チカグレロル60mg群では2.30%、およびプラセボ群では1.06%でした(チカグレロル90mg vs.プラセボハザード比 [HR] 2.69; 95%信頼区間 [CI] 1.96-3.70; p<0.001; チカグレロル60mg vs.プラセボハザード比 [HR]2.32; 95%信頼区間 [CI] 1.68-3.21; p<0.001)。

しかし、致死的出血あるいは頭蓋内出血の発生率は低く、治療群間で同様でした。

3年時点の致死的出血の発生率は、チカグレロル90mg群では0.11%、チカグレロル60mg群では0.25%、プラセボ群では0.26%でした(チカグレロル90mg vs.プラセボハザード比 [HR] 0.58; 95%信頼区間 [CI] 0.22-1.54; p=0.27; チカグレロル60mg vs.プラセボハザード比 [HR] 1.00; 95%信頼区間 [CI] 0.44-2.27; p=1.00)。

3年時点の頭蓋内出血の発生率は、チカグレロル90mg群では0.56%、チカグレロル60mg群では0.61%、プラセボ群では0.47%でした(チカグレロル90mg vs.プラセボハザード比 [HR] 1.44; 95%信頼区間 [CI] 0.83-2.49; p=0.19; チカグレロル60mg vs.プラセボハザード比 [HR] 1.33; 95%信頼区間 [CI] 0.77-2.31; p=0.31)。

アストラゼネカの最大級のアウトカム試験であるPEGASUS-TIMI 54試験はPARTHENONプログラムの一環として、31カ国、1,100超の施設から21,000例を超える患者さんが登録されて、実施された試験です。PARTHENONプログラムの最初の試験は、18,000例超の患者さんを組み入れたPLATO試験でした。この試験の結果を基に、チカグレロルは100カ国以上で承認され、世界の主要な12の急性冠症候群治療ガイドラインに掲載されています。

これらの試験以外にも、PARTHENONプログラムでは、末梢動脈疾患、虚血性脳梗塞あるいは一過性脳虚血発作の患者さん、さらに、糖尿病かつ冠動脈アテローム性硬化の患者さんを対象にチカグレロルの心血管性イベント発生抑制効果を評価する試験を実施しています。

チカグレロルは発症後1年を越える心筋梗塞の患者さんにおけるアテローム血栓性イベントの再発予防、あるいは末梢動脈疾患、脳梗塞、糖尿病、動脈硬化症患者さんにおける心血管系イベント予防の適応では承認されていません。

1TIMI Major Bleeding分類

  • 頭蓋内出血、又は
  • ヘモグロビン(Hbg)の減少≥5 g/dL(又は、ヘモグロビンが入手不能な場合、ヘマトクリットの減少≥15%)による臨床的に明らかな出血の兆候、又は
  • 致死的出血(7日以内に直接死に至る出血イベント)

2Rapsomaniki E, Thuresson M, Yang E, et al. International comparison of outcomes among 140,880 patients stable after acute MI; real world evidence from electronic health and administrative records. Presented at European Society of Cardiology Congress, Barcelona, Spain; 30 August – 3 September 2014.

PEGASUS-TIMI 54試験について
PEGASUS-TIMI 54 (PrEvention with TicaGrelor of SecondAry Thrombotic Events in High-RiSk Patients with Prior AcUte Coronary Syndrome – Thrombolysis In Myocardial Infarction Study Group)は、アストラゼネカの最大級のアウトカム試験のひとつで、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカ、オーストラリア、アジア31カ国の1,100超の施設からの21,000例を超える患者さんを対象としています。本試験は米国マサチューセッツ州ボストンにあるブリガム・アンド・ウィメンズ病院のTIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)研究グループと協働して実施されました。

チカグレロル(海外での製品名:BRILINTA®)について
チカグレロルはシクロペンチルトリアゾロピリミジン群(cyclo-pentyl-triazolo-pyrimidines:CPTPs)に分類される薬剤であり、P2Y12受容体に直接作用し、血小板活性を阻害することで急性冠症候群(ACS)患者さんにおける心筋梗塞や心血管死等の血栓性心血管イベントの発生率を低下させることが示されています。

チカグレロル(90mg) はACS(不安定狭心症 [UA]、非ST上昇型心筋梗塞 [NSTEMI]、又はST上昇型心筋梗塞 [STEMI] )患者さんの血栓性心血管イベントの発生率の減少を適応としています*。チカグレロルは心血管死、心筋梗塞又は脳梗塞からなる主要評価項目の発生率をクロピドグレルと比較して減少させることが示されています。この治療群間差は心血管死と心筋梗塞における違いによるもので、脳梗塞では差はありませんでした。また、経皮的冠動脈形成術が施行された患者さんにおいても、チカグレロルはステント血栓症の発生率を低減します。

*チカグレロルは日本国内では未承認。

Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI)Study Groupについて
TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)研究グループはブリガム・アンド・ウィメンズ病院およびハーバードメディカルスクールの関係団体でマサチューセッツ州ボストンを拠点としています。本グループは米国で最古の循環器系学究的研究組織であり循環器系疾患あるいは循環器系疾患の危険因子を有する患者さんにおいて多数の実地医療を変える臨床試験を実施してきました。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。