OLAPARIB ファースト・イン・クラスのBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がん治療薬としてEUで承認取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2014年12月18日に配信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


アストラゼネカは、卵巣がん患者における維持療法の最初の治療薬として欧州連合(EC)からOlaparib(海外での製品名:Lynparza™)(400mgを1日2回)の販売承認を得たことを、12月18日に発表しました。

  • プラチナ製剤ベースの化学療法に(完全あるいは部分)奏効している成人BRCA遺伝子変異陽性(生殖細胞系または体細胞)卵巣がん(但し、再発・プラチナ製剤感受性・高悪性度・漿液性)
  • (同)卵管がん
  • (同)原発性腹膜がん

Olaparibは、DNA修復経路に異常をきたした腫瘍を利用し、優先的にがん細胞を死滅させるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤です。本製品はBRCA遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がんの治療薬として承認された最初のPARP阻害剤です。治療の対象となる患者は、検証された診断検査により識別されます。

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデントおよびチーフメディカルオフィサーであるブリッグス・モリソンは、次のように述べました。「当社は、現在治療の選択肢が極めて限られているBRCA遺伝子変異陽性卵巣がん患者さんに、このニーズの高い治療薬を提供できることを大変喜ばしく思います。本日の承認は、次世代の標的治療薬の開発における大きなマイルストーンとなります。当社は、標的治療薬を是非とも必要とする患者さんにこのような新薬を提供することに注力しており、本日の朗報は、Olaparibが乳がん、膵がん、胃がんを含むがん患者さんの人生を改善する可能性の第一歩を印すものであると期待しています」。

ECの決定はEC加盟国28カ国に加え、ノルウェー、アイスランドおよびリヒテンシュタインに適用されます。Olaparibの承認は、同剤の有効性と安全性を、プラセボとの比較で、再発プラチナ製剤感受性高悪性度漿液性卵巣がん患者を対象に評価した第II相臨床試験であるStudy191の結果に基づくものです。本試験によりBRCA遺伝子変異陽性卵巣がん患者において、プラセボとの比較で、Olaparibによる維持療法が無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したことが示されました – PFS中央値11.2ヵ月対4.3ヵ月(PFS HR=0.18; 95% 信頼性区間0.10–0.31; p値<0.0001)。現在までにOlaparibによる単剤療法に伴い最も多く報告された有害事象は全般的に軽度から中等度であり、吐き気、嘔吐、疲労および貧血を含みます。

Olaparibの基礎とその臨床的可能性を自身の研究により確立した、ケンブリッジ大学の科学者であるスティーブ・ジャクソン教授は次のように述べました。「Olaparibが承認され、進行卵巣がんに罹患した人々が使用できるようになることは素晴らしいことです。また、他の適応症でのOlaparibの可能性を探求している現在進行中の試験の結果も楽しみにしています。本日の発表は、アストラゼネカのようなパートナーと連携することで、ケンブリッジ大学の研究チームでの基礎研究がいかに主要な医薬品開発に繋ぐことが可能であるかを明確に示しています」。

リバプール大学トランスレーショナルメディシン研究所の上級講師であり、欧州婦人科がんアドボカシーグループ(ENGAGe)の会長であるジョン・グリーン博士は次のように述べました。「Olaparibが進行再発BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの女性に使用可能となることは素晴らしいことです。この疾患は、患者さん、およびそのご家族に深刻な影響を与える重篤な疾患です。BRCA遺伝子変異をもつ女性は特にリスクが高く、新規作用機序をもつ新薬の選択肢に対する大きなニーズがありました。Olaparibのような標的治療薬の開発は、先駆的な研究が患者さんの人生を改善する可能性を持つ治療薬へと発展した優れた事例のひとつです」。

1Ledermann J et al. Olaparib maintenance therapy in patients with platinum-sensitive relapsed serous ovarian cancer: a preplanned retrospective analysis of outcomes by BRCA status in a randomised phase 2 trial. Lancet Oncology. 2014. 15:852-861.

追加コメント
Cancer Research UKのチーフエグゼクティブであるHarpal Kumarは次のように述べました。「この新世代のがん治療薬の発見・開発において、Cancer Research UKの科学者たちが重要な役割を果たしたことから、ECがEU内でOlaparibの使用を承認したことは特に大きな朗報です。異常をきたしたDNAの修復におけるがん細胞の弱点を標的とすることで、本剤は進行卵巣がんに罹患した女性に新たな希望をもたらすことが出来ます。臨床試験の結果により本治療薬は他の種類のがんにおいても可能性があることが示されていることから、今後より多くの朗報がもたらされることを期待しています。当研究機関とアストラゼネカとのパートナーシップは、患者さんにより多くの治療薬をもたらし、がん克服への取り組みを加速することに役立ちます」。


Olaparibについて
Olaparib は、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、DNA修復経路に異常をきたした細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。この作用機序により、OlaparibがDNA修復に異常をきたした一連の腫瘍型に作用する可能性が示されています。

卵巣がんに加えて、アストラゼネカは複数の腫瘍型におけるOlaparibのすべての可能性を検討する予定で、胃がんの2次治療、BRCA遺伝子変異陽性膵がん、乳がんの術後補助療法および転移性BRCA遺伝子変異陽性乳がんの第III相試験を実施中です。

日本においては、Olaparibは第III相試験実施中です。

卵巣がんについて
ヨーロッパでは、卵巣がんは女性が診断されるがんでは5番目、女性のがんによる死亡原因では6番目に多く、これは主に、多くの場合においてすでに進行した状態で診断され、予後が非常に悪いためです。診断時、卵巣がん患者の61%に転移がみられ、5年生存率はわずか27%です。
卵巣がんに罹患した女性の最大15%はBRCA遺伝子変異陽性であり、それが相同組換え修復異常の最大の原因です。BRCA遺伝子変異陽性腫瘍細胞において、相同組換え修復遺伝子に欠陥があるので、エラーをおこしやすい経路によりDNA二重鎖切断の修復が起こり、その結果として遺伝子的不安定と細胞死が生じます。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comをご覧ください。