進行EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者において AZD9291が持続的臨床効果を示すデータが ESMO2014において発表

本資料はアストラゼネカ英国本社が2014年9月28日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


ESMO2014で同じく発表されたIMPRESS試験の結果よりイレッサ®(ゲフィチニブ)によるファーストライン治療に耐性が生じたEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者の治療選択肢に対する理解が向上

AZD9291について
現在進行中であるAZD9291のAURA試験の最新データにより、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR TKI)による前治療後に病勢進行が認められたEGFR遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者およびT790M耐性変異陽性(T790M+)の進行NSCLC患者において、不完全ではあるものの期待の持てる無増悪生存期間(PFS)、9.6カ月 (95% 信頼性区間 8.3- N.C.*未確定)が示されました。1 このPFSの結果は、138人中30%の検証されたデータに基づくものです。1

欧州臨床腫瘍学会 (ESMO)で発表されたデータは、本年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)において既にハイライトされた結果を強く後押しするものです。

進行中のAURA第I/II相試験では、進行NSCLC患者を対象にAZD9291を検討した試験です。2 8月1日現在、本試験において253人の未治療患者に投薬され、用量は1日1回80mgが後期開発に選択されました。1 PFSの結果とともに奏効期間の持続も認められており、80mgで治療を受けたEGFRm T790M+ 進行NSCLC患者において、暫定ですが奏効期間中央値は8.2カ月でした。1

国立台湾大学医学部がん研究センター所長兼がん大学院(Graduate Institute of Oncology)教授であるJames Yang, MD, PhDは、次のように述べました。「私たちは、AZD9291による治療を受けた患者のPFSおよび奏効期間の結果を前向きに捉えており、かつ勇気づけられています。データは依然として不完全なものですが、十分な患者数に基づくものであり、この傾向が継続的であることに自信を持っています。最長の奏効期間は未だ更新中であり、現在までに11カ月を超えています。」

80mg群でのEGFRm T790M+ 進行NSCLC患者における奏効率(ORR)は70%でした。1 全用量群で評価可能であったEGFRm T790M+ 進行NSCLC患者127人において、ORRは61%(78/127)でした。EGFRm T790M- 進行NSCLC患者では、ORR(21%; 13/61)およびPFS中央値(2.8カ月)は、いずれもこれまでの予想通り低い値でした。1 

AURA試験における最も一般的な有害事象(AE)は、80mg群(90症例)では大部分が軽度の下痢と発疹でした(グレード3下痢1%;グレード3 発疹0%)。1 80mg群での薬剤関連グレード3以上のAEは、10症例(11%)に発現しましたが、減量を必要とする症例はなく、1症例は薬剤関連AEにより、投薬を中止しました。1 

すべての用量群(253症例)における最も一般的なAEは下痢と発疹で、その大部分は軽度でした。1 薬剤関連のグレード3以上のAEは33症例(13%)に発現し、17症例(7%)が減量を必要とし、7症例(3%)が薬剤関連AEにより投薬を中止しました。1

9月12日現在、本臨床試験プログラム全体で、620を超える症例にAZD9291が投与され、肺炎様のイベントが約2%の症例(13イベント)で報告されました。1 これらのイベントのうち、7イベントはグレード1もしくは2、3イベントはグレード3、1イベントはグレード5でした。1 肺炎は、肺がん自体、および、既存の肺がん治療薬の両方に伴うイベントです。3,4

ESMO2014では、AZD9291のNSCLCの脳転移に対する作用5 およびEGFRm NSCLC患者のファーストライン治療6 への更なる可能性を支持する初期のエビデンスも発表されました。

加えて、AZD9291による奏効を予測するバイオマーカーとして、患者の血漿に存在する循環血中の腫瘍DNA(ctDNA)の使用に関するデータも発表されました。AURA試験においてctDNAを使って検知したT790M+患者に対し、全用量例において、AZD9291で65%の奏効率が得られました。7 ctDNAは、EGFR TKI によるファーストライン治療がうまくいかず、生検または再生検において評価可能な腫瘍サンプルが取れない患者に対して、腫瘍の遺伝子型判定をするための非侵襲的検査として魅力的な代替方法となる可能性があります。イレッサ(ゲフィチニブ)は先日、腫瘍のサンプルが評価できない患者に対して、EGFRmの状況を評価するためにctDNAの使用を認可された適応を持つ、ヨーロッパで初めてのEGFR TKIとなりました。8

アストラゼネカは、EGFR TKI による前治療において病勢進行が認められたEGFRm T790M+ 進行NSCLC患者を対象とする第II相および第III相両方の試験を開始しました(それぞれAURA29、AURA310)。さらに、EGFRm 進行 NSCLCのファーストライン治療としてAZD9291を評価する第III相試験を年内に開始する予定です。

アストラゼネカは、現在、NSCLCにおけるAZD9291とMEDI4736(PDL-1がん免疫治療薬)、 selumetinib(低分子MET阻害剤) およびAZD6094(低分子MET阻害剤)との併用についても研究しています。11

アストラゼネカのシニアバイスプレジデント兼グローバル医薬品開発部門のオンコロジー領域の責任者であるAntoine Yverは次のように述べました。「ESMOにおけるAZD9291のデータは、ASCOで発表された同剤の臨床作用の結果を強化し、バイオマーカーをベースにした治療がいかに患者さんのケアを改善できるかを引き続き示すものです。アストラゼネカは、肺がんの原因となる遺伝子に対応する新薬の開発に注力するとともに、その耐性メカニズムの克服に注力しています。40年以上にわたり、アストラゼネカは、EGFRm 進行 NSCLC患者にとって最初の分子標的治療薬であるイレッサをはじめ、がん患者さんの治療の選択肢を改善する革新的な治療薬を提供してきました。

イレッサ(ゲフィチニブ)のIMPRESS試験について
アストラゼネカは、ESMO2014において、第III相 IMPRESS 試験のデータも発表しました。本試験は、イレッサ(ゲフィチニブ)によるファーストライン治療後に耐性が生じたEGFRm 進行 NSCLC患者を対象としたセカンドライン、併用試験です。12

IMPRESS試験の目的は、イレッサによるファーストライン治療後に耐性が生じた患者において、シスプラチン/ペメトレキセドを最大6サイクル併用(ペメトレキセドによる維持療法なし)した時の、シスプラチン/ペメトレキセド最大6サイクル(ペメトレキセドによる維持療法なし)と対照薬プラセボ併用に対するイレッサの継続投与の有効性と安全性を比較することです。12

本試験において主要評価項目であるPFSの統計的有意な改善は達成されませんでした。12 副次的評価項目である全生存期間(OS)は現在も追跡中です。主要評価項目であるPFSの解析時点において、OSのデータはまだ不完全(イベントの33%)であり、最終的なものではありませんでした。イレッサとシスプラチン/ペメトレキセド併用群に比べ、プラセボとシスプラチン/ペメトレキセド併用群においてよりOSが長いことが示唆されました。12 全体として、イレッサとシスプラチン/ペメトレキセドの併用の忍容性は良好で、既知の安全性プロファイルと同様でした。12

IMPRESS試験結果は、イレッサ治療後に耐性を生じた患者において、シスプラチン/ペメトレキセドを併用するセカンドライン療法にイレッサを含める治療戦略の有効性に対して、重要な科学的疑問への回答となります。

アストラゼネカは、最近開始されたイレッサとMEDI4736(PDL-1がん免疫治療薬)13、 tremelimumab(CTLA-4 がん免疫治療薬)14、selumetinib(低分子MET阻害剤)15との併用に対する第I相試験を含めて、引き続きイレッサの複数の治療戦略の探索を行います。
 

NOTES TO EDITORS

AURA 試験について
AURA 第I/II相試験は、EGFR TKI による前治療後に病勢進行の認められた進行NSCLC患者におけるAZD9291の安全性・忍容性、薬物動態、治療における奏効および有害事象を検討する現在進行中のオープンラベル、用量漸増・拡大コホート試験です。2 2014年8月1日現在、進行中の本試験において253人の患者にAZD9291が投与されましたが、そのうち、239症例で奏効が確認されました。1

AZD9291について
AZD9291は、現在開発中の野生型EGFRには作用せず、EGFR活性化変異 と耐性遺伝子変異であるT790Mの双方を阻害する、選択性の高い不可逆的阻害剤です。16 また、AZD9291は、高血糖の可能性を回避するために、インスリン受容体およびインスリン様成長因子受容体(IGFR)の2つの生物学的受容体に対する作用を最小限に抑える、もしくはそれらに作用しないように設計されています。17 高血糖を発症した場合、結果的に患者は新たな治療薬による治療を要することになります。17

ヨーロッパのNSCLC患者の10-15%18 、およびアジアのNSCLC患者の30-40%19 に存在するEGFRm患者は、がん細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR TKI による治療に非常に高い感受性を示します。20-22 しかし、腫瘍細胞はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行します。EGFRm 進行 NSCLC患者の過半数において、T790Mとして知られる二次変異が原因でこの薬剤耐性が発生します。23 現時点では、EGFRm T790M+進行NSCLC患者に特化した治療薬は承認されていません。

AZD9291は、米国食品医薬品局 (FDA) によりBreakthrough Therapy(画期的治療薬)の指定を受けるとともに、希少疾病医薬品および優先審査のステータスも与えられました。アストラゼネカは薬事承認を米国で2015年下半期に申請すると予想しています。

イレッサについて
イレッサは、腫瘍の増殖を促す上皮成長因子受容体(EGFR)からのシグナル伝達を阻害するEGFR TKI です。EGFRは多くの腫瘍細胞、特にNSCLCの細胞膜の表面に異常に高いレベルで発現するタンパクです。

イレッサは、2009年に発売され、現在、世界89カ国で承認されています。**本邦においては、非小細胞肺がんを適応に、2002年8月に発売されています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主に循環器、代謝、呼吸器、炎症、自己免疫、オンコロジー、感染症およびニューロサイエンスの領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comにてご覧ください。

References
1 Yang, J, et al. Updated safety and efficacy from a Phase 1 study of AZD9291 in patients (pts) with EGFR-TKI-resistant non-small cell lung cancer (NSCLC). Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014. Abstract available at: https://www.webges.com/cslide/library/esmo/browse/search/bjy#9f9C033w. Accessed September 2014.
2 National Institutes of Health. AZD9291 First Time In Patients Ascending Dose Study (AURA). Available at: http://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01802632?term=AURA+AZD9291&rank=1. Accessed September 2014.
3 Archontogeorgis K, et al. Lung Cancer and Interstitial Lung Diseases: A Systematic Review. Pulmonary Medicine 2012;2012:315918.
4 Qi WX, et al. Risk of interstitial lung disease associated with EGFR-TKIs in advanced non-small-cell lung cancer: a meta-analysis of 24 phase III clinical trials. J Chemother. 2014 Apr 14:1973947814Y0000000189. [Epub ahead of print].
5 Kim DW, et al. Preclinical evidence and clinical cases of AZD9291 activity in EGFR-mutant non-small cell lung cancer (NSCLC) brain metastases (BM). Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014. Abstract available at: https://www.webges.com/cslide/library/esmo/browse/search/bkN#9faC031K. Accessed September 2014.
6 Ramalingam S, et al. Pre-clinical and clinical evaluation of AZD9291, a mutation-specific inhibitor, in treatment-naïve EGFR-mutated NSCLC. Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014. Abstract available at: https://www.webges.com/cslide/library/esmo/browse/search/bkf#9faC03fF. Accessed September 2014.
7 Thress KS, et al. Levels of EGFR T790M in plasma DNA as a predictive biomarker for response to AZD9291, a mutant-selective EGFR kinase inhibitor. Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014. Abstract available at: https://www.webges.com/cslide/library/esmo/browse/search/ctV#9faC036N. Accessed September 2014.
8 IRESSA Receives CHMP positive opinion to include blood based diagnostic testing in European label. Press release to be issued on Thursday, 25 September 2014.
9 National Institutes of Health. Phase II AZD9291 Open Label Study in NSCLC After Previous EGFR TKI Therapy in EGFR and T790M Mutation Positive Tumours. Available at: http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02094261?term=AURA+2&rank=1. Accessed September 2014.
10 National Institutes of Health. AZD9291 Versus Platinum-Based Doublet-Chemotherapy in Locally Advanced or Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer. Available at: http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02151981?term=AURA+3&rank=1. Accessed September 2014.
11 National Institutes of Health. AZD9291 in Combination With Ascending Doses of Novel Therapeutics. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02143466?term=azd9291&rank=1. Accessed September 2014.
12 Mok TSK, et al. Gefitinib/chemotherapy vs chemotherapy in epidermal growth factor receptor (EGFR) mutation-positive non-small-cell lung cancer (NSCLC) after progression on first-line gefitinib: the Phase III, randomised IMPRESS study. Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) Annual Meeting, Madrid; 26-30 September 2014.
13 National Institutes of Health. MEDI4736 (Anti PD-L1) Combined With Gefitinib in Subjects With Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02088112?term=%22gefitinib%22+and+%22combination%22+and+%22lung%22&rank=12. Accessed September 2014.
14 National Institutes of Health. Tolerability and Efficacy of Tremelimumab in Combination With Gefitinib in NSCLC Patients (GEFTREM). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02040064?term=%22gefitinib%22+and+%22combination%22+and+%22lung%22&rank=17. Accessed September 2014.
15 National Institutes of Health. Selumetinib in Combination With Gefitinib in NSCLC Patients. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02025114?term=%22gefitinib%22+and+%22combination%22+and+%22lung%22&rank=23. Accessed September 2014.
16 Cross DA, et al. AZD9291, an irreversible EGFR TKI, overcomes T790M-mediated resistance to EGFR inhibitors in lung cancer. Cancer Discov. 2014;4:1046-61.
17 Pollack M. Insulin and insulin-like growth factor signalling in neoplasia. Nat Rev Cancer. 2008:8; 915-928.
18 Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR mutation testing on cytological and histological samples in non-small cell lung cancer: a Polish, single institution study and systematic review of European incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013;6:2800-12.
19 Ellison G, et al. EGFR mutation testing in lung cancer: a review of available methods and their use for analysis of tumour tissue and cytology samples. J Clin Pathol. 2013;66:79-89.
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21 Mok TS, et al. Gefitinib or Carboplatin-Paclitaxel in Pulmonary Adenocarcinoma. N Engl J Med. 2009;361:947-57.
22 Rosell R, et al. Erlotinib versus standard chemotherapy as first-line treatment for European patients with advanced EGFR mutation-positive non-small-cell lung cancer (EURTAC): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol. 2012;13:239–46.
23 Yu H, et al, Analysis of Tumor Specimens at the Time of Acquired Resistance to EGFR-TKI Therapy in 155 Patients with EGFR-Mutant Lung Cancers. Clin Cancer Res. 2013:19:2240-7.