逆流性食道炎の症状が労働生産性の低下に与える影響について ~1週間につき平均9.50時間の損失が明らかに~


アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ポール・ハドソン)は、慶應義塾大学医学部 内科学(消化器)鈴木秀和准教授と共同で、調査「労働生産性の低下に胃食道逆流症(GERD)症状が与える影響」を実施しましたので、下記に調査結果をお知らせします。
日本人の逆流性食道炎の患者数は増加の一途をたどっています。患者さんが訴える逆流性食道炎の症状は多岐にわたり、QOL(生活の質)への深刻な影響が報告されています。しかしながら、胸やけや呑酸(どんさん)などの逆流性食道炎の症状が、日本人の労働生産性に与える影響につきまして、これまで検討されたことはありません。
そのような背景から、逆流性食道炎に代表されるGERDの症状による労働生産性への影響とその要因について把握し、GERD症状の適切な管理を目指すことを目的に、今回の調査が実施されました。

本調査は、インターネットにより実施し、就労者であり薬物治療を受けているGERD患者さん(368人)、及び就労者であり未治療であるものの問診票※1を通じてGERDと判定された患者さん(343人)を合計した711人※2を解析対象としています。また、本調査では問診票※1の各スコアが労働生産性の低下を予測する指標になり得るか、検討することも目的としています。(調査期間:2012年10月4日~10月10日)

※1 GerdQ問診票(添付参考資料:GerdQ問診票)
※2 スクリーニング対象20,000人より除外対象を除き、抽出した対象711人

本調査の結果により、次のことが明らかになりました。

  • 週1回以上のGERD症状(症状の頻度)と労働生産性の低下が関連していた
  • GerdQスコアの高値と労働生産性の低下が関連していた
  • 治療満足度の低下と労働生産性の低下が関連していた

なお、本調査の結果、労働生産性の低下による損失に関して、次のことが明らかになりました。

  • 労働生産性の損失時間は平均9.50時間/週であった(標準偏差±12.7時間/週)

GERD症状の頻度は、労働生産性の損失時間と関連していることが下記のように示されました。
表1:GERD症状の頻度と労働生産性の損失時間

グラフ1

GerdQスコアの高値と労働生産性の低下が関連していることが、下記のように示されました。
表2:GerdQスコアと労働生産性の損失時間

グラフ2

治療満足度の低下と労働生産性の低下が関連していることが、下記のように示されました。
表3:治療満足度と労働生産性の損失時間

グラフ3


今回の調査結果を受けて、鈴木秀和准教授は「今回の調査を通じて、週に1日のGERD症状の発現でも労働生産性の低下に大きく影響していることが分かりました。また、労働生産性の損失時間は平均9.50時間/週と平均約40時間/週の労働時間の約25%を占め、時給換算すると約17,000円との試算結果となりました。これらの結果については、さらなる検討が期待されます。また、GerdQ問診票における逆流関連症状の頻度は、労働生産性の損失時間を予測し得る指標であることも分かりました。今後は問診票をうまく活用し、患者さんの満足度についても確認しながら、GERD症状の消失を治療目標に定めることが重要になると考えます」と述べています。

「胃食道逆流症(GERD)」とは:
「逆流性食道炎」は酸性度の強い塩酸(胃酸とも呼ばれています)を含む胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起きた状態です。内視鏡で見て炎症が見つかる場合は「逆流性食道炎」、炎症が見つからなくて症状を起こす場合は「非びらん性胃食道逆流症」と診断されますが、それらをまとめて「胃食道逆流症(GERD)」と呼んでいます。症状としては、胸やけ、呑酸(のどの辺りや口の中が酸っぱい、胃の中身が逆流する感じ)が典型的ですが、お腹の張り、のどの違和感、胃もたれ、頻繁にげっぷが出る、よくせき込む、胃の痛みなど上腹部全体のさまざまな症状を感じることがあります。
詳しくは、胸やけ・呑酸.jp (http://www.muneyake-donsan.jp/) をご覧ください。
 

参考資料:GerdQ問診票
問診票

GerdQとは:プライマリーケア医のGERDの診断・管理に有用なツールとして英国で開発された質問票で、症状に関する4項目(胸やけ、呑酸、上腹部痛、悪心)および生活への影響に関する2項目(睡眠障害、市販薬の追加使用)で構成されており、過去1週間でそれらの頻度が「全くない」「1日」「2~3日」「4~7日」の中から回答を選択してもらう。その他の2項目(3.上腹部痛、4.吐き気)は他疾患との鑑別のための質問。