FDA、新規抗血小板剤チカグレロルを承認

この資料は、英国アストラゼネカ社が7月20日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。本プレスリリース内に記載されているチカグレロルの承認内容は米国のものです。また、この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
 


本日アストラゼネカは、成人急性冠症候群(ACS)患者において、クロピドグレルに比べ、心筋梗塞と心血管死の発症を抑制するとして、米国食品医薬品局(FDA)がチカグレロルを承認したことを発表しました。

新規経口抗血小板剤であるチカグレロルの適応は、ACS(不安定狭心症(UA)、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)、またはST上昇型心筋梗塞(STEMI))患者における血栓症心血管イベントの発症抑制です。チカグレロルでは、クロピドグレルに比べ、心血管死、心筋梗塞、または脳卒中の複合的評価項目の発症を抑制することが示されています。チカグレロルはクロピドグレルに比べて、心血管死と心筋梗塞発症抑制を示しましたが、脳卒中発症抑制について差は認められませんでした。チカグレロルは、経皮的冠動脈形成術(PCI)による治療を受ける患者において、ステント内血栓症発症リスクを抑制します。ACS患者を対象としてアスピリンとの併用療法が検討され、その結果アスピリンの維持量が1日100mgを超える患者では、チカグレロルの有効性が低下することが判明しているため、併用するアスピリンの用量は1日100mgを超えないようにする必要があります。

アストラゼネカ最高経営責任者のデビッド・ブレナンは、「FDAによるチカグレロルの承認は、米国の患者さんにとって朗報であり、世界中のACS患者さんがこの革新的な医薬品にアクセスできるようにする取り組みの重要な節目となります。 米国では、毎年100万人以上がACSになるといわれます。医師はクロピドグレルよりも有効な新しい治療選択肢を得ることになり、これはACS患者さんの心筋梗塞と心血管死の発症を抑制する上で重要な前進といえます」と述べました。

チカグレロルが米国で承認されたことを受けて、アストラゼネカは、病院医薬品集関係者、プロトコル委員会、政府、およびマネジドケア保険償還団体との協議に入ります。多くのACS患者さんにチカグレロルを提供する前に必要なこれらの段階を経ることが、今後12カ月間の重要事項となります。

FDAの承認は、ACS患者18,624例を対象にチカグレロルとクロピドグレルを比較したPLATO試験(A Study of PLATelet Inhibition and Patient Outcomes)のデータに基づくものです。

チカグレロルは、他の抗血小板剤と同様に、重大な(場合によっては致死的な)出血の原因となりえます。PLATO試験では、致死的な出血イベントや致死的または生命にかかわる出血イベントを含む大出血イベント全体に関して、チカグレロル群とクロピドグレル群の間に統計的有意差は認められませんでした(11.6% vs. 11.2%)。非CABG(冠動脈バイパス術)の大出血・小出血イベントの発生率は、チカグレロル群とクロピドグレル群で同等でした(8.7% vs. 7%)。

チカグレロルとクロピドグレルの使用に関連して最も多く認められた有害事象は、出血(11.6% vs.11.2%)と呼吸困難(14% vs. 8%)でした。

すべてのアストラゼネカ製品と同様に、当社は、医師と患者さんがチカグレロルのベネフィットとリスクの両方を理解できるよう取り組みます。チカグレロルの出血リスクや、アスピリンの用量がチカグレロルの効果に及ぼす影響について、医師と患者さんに適切な情報を提供する一つの方法として、アストラゼネカは、リスク評価・軽減対策(REMS)を活用します。

米国心臓協会(AHA)によると、米国では毎年100万人以上がACSで入院しています。患者の3人に1人までが、最初の心血管イベントから1年以内に心筋梗塞を再発するか、死亡すると推定されています。

チカグレロルは現在、米国・ブラジル・オーストラリア・カナダ(BRILINTAの商標)、およびEU(BRILIQUE™の商標)を含む39カ国で承認されています。チカグレロルは現在、ロシア、インド、中国を含む45カ国で規制当局の承認審査を受けています。チカグレロルは現在、7カ国で保険償還の対象となっています。

PLATO試験について
PLATO試験は、チカグレロルとクロピドグレルをアスピリンその他の標準的治療薬と併用し、直接比較した43カ国の患者18,624例(日本を含まない)を対象とする大規模なアウトカム試験で、ACS患者における心血管評価項目に関して、チカグレロルがクロピドグレルよりも臨床的に意義のある抑制を達成できるかどうか検討した試験です。

試験では、チカグレロルを投与した場合に、主要評価項目(心血管死、心筋梗塞、および脳卒中の複合)に関して、クロピドグレル群よりも有意な抑制効果があることが明らかになりました(12カ月目の時点で、チカグレロル群9.8% vs. クロピドグレル群11.7%、絶対リスク抑制(ARR)1.9%、相対リスク抑制(RRR)16%、95% CI:0.77-0.92、P<0.001)。両治療薬の差は、心血管死と心筋梗塞で認められ、脳卒中について差は認められませんでした。PLATO試験では、クロピドグレルに対する治療効果の絶対差は30日目に認められ、12カ月間の投与期間にわたり、カプラン・マイヤー生存曲線の差は維持されました。

試験では、チカグレロルを12カ月間投与した場合、クロピドグレルに比べ、心血管死の相対リスクが21%抑制され(4% vs. 5.1%、1.1% ARR、P=0.001)、心筋梗塞の相対リスクが16%抑制される(5.8% vs. 6.9%、1.1% ARR、P<0.005)ことも示されました。

PLATO試験の事後解析では、米国の患者の40%以上を含め、世界中の患者の80%以上が低用量のアスピリン(1日100 mg未満)を併用していることが確認されました。これら低用量のアスピリンを併用しているチカグレロル使用患者に関する結果は、米国と米国以外で類似していました。アスピリンの維持量が1日100 mgを超えるとチカグレロルの有効性が低下するため、チカグレロルと併用するアスピリンの用量はこれを超えないようにする必要があります。チカグレロルは、初期用量を投与した後、1日75~100 mgの維持量のアスピリンと併用します。計画外のサブセット解析と同様に、事後解析は慎重に取り扱う必要があります。