IPASS試験の最終解析結果から、 イレッサがEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんに対する 有用なファーストライン治療選択肢であることが確認される

この資料は、英国アストラゼネカ社が10月11日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
 


2010年10月11日 イタリア ミラノ: 本日、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されたIPASS試験の解析結果において、イレッサ(EGFRチロシンキナーゼ阻害剤)およびカルボプラチン/パクリタキセル(併用化学療法)による全生存期間は類似しており、有意差はないことが示されました(HR=0.90, 95% CI 0.79-1.02, p=0.11, 全生存期間中央値 18.8 カ月vs. 17.4 カ月)。またEGFR遺伝子変異状況による全生存期間の有意差は認められませんでした。[EGFR遺伝子変異陽性患者(HR=1.00, 95% CI 0.76-1.33, 全生存期間中央値 21.6カ月 vs. 21.9 カ月)、EGFR遺伝子変異陰性患者(HR=1.18, 95% CI 0.86-1.63, 全生存期間中央値 11.2カ月 vs. 12.7 カ月)EGFR遺伝子変異状況不明患者(HR=0.82, 95% CI 0.70-0.96, 全生存期間中央値 18.9カ月 vs. 17.2カ月)1]

IPASS試験の全生存期間の結果から、治療群にかかわらずEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者は、EGFR遺伝子変異陰性の患者と比べ良好な結果が得られることが確認されました。生存期間の中央値はEGFR遺伝子変異陽性患者で約22カ月、EGFR遺伝子変異陰性患者では、わずか11~12カ月でした1。カルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法に割り付けられた患者の64%が後治療としてEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の投与を受けたように、IPASS試験ではEGFR遺伝子変異陽性患者のほとんどが、試験期間中にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤の投与を受けました。

IPASS試験の治験責任医師で国立台湾大学病院のJames Yang教授は「ファーストライン治療の有効性を評価する試験において、無増悪生存期間は全生存期間よりも優れた主要評価項目だと考えます」と述べ「IPASS試験は、イレッサあるいは化学療法への割付にかかわらず、EGFR遺伝子変異陽性患者はEGFR遺伝子変異陰性患者に比べ良好な結果を示しました。EGFR遺伝子変異陽性患者はイレッサによる治療で併用化学療法に比べ、より長い無増悪生存期間、症状改善、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)改善といった恩恵を享受することができることから、肺がん患者にはEGFR遺伝子変異検査を行うべきです。実地医療において多くの患者は、ファーストライン治療後に積極的治療を受けることはないことから、ファーストライン治療は注意深く選択する必要があります」と続けました。

2008年に発表されたIPASS試験の主要評価項目の解析で、全対象患者においてイレッサはカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法に対し優越性を示しました(HR 0.74, 95% CI 0.65-0.85, p<0.001)2。さらなる解析の結果、全対象患者におけるイレッサの優越性はEGFR遺伝子変異陽性患者サブグループにおけるイレッサとカルボプラチン/パクリタキセルの有効性の差によりもたらされていることが判明しました2。EGFR遺伝子変異陽性患者において、イレッサはカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法に比べ病勢進行リスクを52%低減させ(HR=0.48, 95% CI 0.36-0.64, p<0.001)、無増悪生存期間の中央値を6.3カ月から9.5カ月へと改善しました。またイレッサは、遺伝子変異陽性患者においてカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法に比べ、有意に客観的奏効率、QOLおよび症状を改善しました2,3

アストラゼネカのメディカル・サイエンス・ディレクターのAlison Armourは「IPASS試験は、オンコロジーに携わる人々の肺がんに対する見方を変えた画期的な試験です」と述べ、「割付治療開始後の病勢進行により受けることになる多く後治療の影響から、イレッサで示された有意な無増悪生存期間のベネフィットが、そのまま全生存期間には表れてこないことが想定されました。IPASS試験の結果は、肺がんは複雑な疾患であり、サブタイプ毎に標的治療薬が必要だという認識を改めて強調するものでした」と続けました。

2008年のIPASS試験の解析結果2は、欧州での現在の適応症4を取得する際に申請資料としても使用されました。転移を有する非小細胞肺がんのESMO診療ガイドライン5には、腫瘍にEGFR遺伝子変異の活性を認める患者において、チロシンキナーゼ阻害剤はファーストライン治療の選択肢の一つであると記載されています。現在、欧州においてイレッサはEGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん4に適応があります。欧州以外で、イレッサは44の国と地域で承認されており、適応症は国々で異なります。


Editors Notes
日本におけるイレッサの適応症は「手術不能又は再発非小細胞肺癌」です。現在、添付文書には「本剤の化学療法未治療例における有効性及び安全性は確立していない」と記載されています。


IPASS試験2について
IRESSA Pan-Asia Study(IPASS)試験は、アジア地域における非盲検無作為化並行群間比較試験で、臨床背景因子により選択された進行非小細胞肺癌患者1,217例を対象にファーストライン治療としてのイレッサの有効性、安全性および忍容性をカルボプラチン/パクリタキセル併用化学療法と比較した試験です。対象は化学療法治療歴のない進行非小細胞肺がんで、組織型が腺がん、かつ喫煙歴のない、または軽度の喫煙歴(10 Pack-Year以下で、少なくとも15年以上禁煙している)の患者です。

主要評価項目は無増悪生存期間でした。

副次的評価項目には、全生存期間、客観的奏効率、QOLおよび安全性がありました。

IPASS試験は、EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん患者において、初めて標的治療薬単剤が併用化学療法に対し有意な無増悪生存期間延長を示した試験で、New England Journal of Medicineにも掲載されました。

 


REFERENCES:

  1. Yang C-H et al. Final overall survival (OS) results from a phase III: randomised, open-label, first-line study of gefitinib (G) v carboplatin/paclitaxel (C/P) in clinically selected patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC) in Asia (IPASS). Presented at the European Society of Medical Oncology (ESMO) Congress. 2010.
  2. Mok T et al. Gefitinib or carboplatin-paclitaxel in pulmonary adenocarcinoma. New England Journal Medication; 361: 947-957. 2009
  3. Thongprasert S et al. Quality of life in a randomised Phase III first-line study of gefitinib vs. carboplatin/paclitaxel in clinically selected Asian patients with advanced non small cell lung cancer (IPASS). Presented at IASLC-ESMO meeting, April 2010.
  4. IRESSA summary of product characteristics
  5. D'Addario G et al. Metastatic non-small-cell lung cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Annals of Oncology; 21 Suppl 5:v116-9. 2010.