Ticagrelorの有効性、急性冠症候群患者の 遺伝子多型にかかわらず示される

この資料は、英国アストラゼネカ社が8月29日(中央ヨーロッパ夏時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。
この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。

 


2010年8月29日 スウェーデン ストックホルム:急性冠症候群患者を対象に新規抗血小板剤ticagrelorの有効性を検討したPLATO試験の遺伝子サブスタディの結果が、ストックホルムで開催中の欧州心臓学会にて発表され、同時にLancetに掲載されました。この結果、ticagrelorではクロピドグレルで認められた遺伝子多型による治療反応性への影響はみられず、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントにおいてPLATO試験全体と同様に優れた有効性を示しました。このサブスタディはCYP2C19やABCB1に遺伝子多型を有する患者におけるticagrelorの有効性および出血リスクを評価した初めての試験です。

CYP2C19
CYP2C19遺伝子型にかかわらず、心血管イベント発症はクロピドグレル群に比べticagrelor群で低い傾向にありました(interaction p=0.46)。Ticagrelor群での心血管イベント発症率は、CYP2C19機能喪失型患者において8.6%/年、それ以外の患者において8.8%/年でした。クロピドグレル群においてCYP2C19機能喪失型対立遺伝子を有する患者における心血管イベント発症率は11.2%/年、それ以外の患者において10.0%/年でした。PLATO試験全体と同様に、CYP2C19遺伝子型にかかわらずticagrelor群とクロピドグレル群で大出血に有意差はみられませんでした。

ABCB1
このサブスタディでは、ABCB1遺伝子についても、患者をABCB1遺伝子の低発現群、中発現群、高発現群にわけticagrelorとクロピドグレルの比較検討を行いました。その結果、ticagrelor群における心血管イベント発症率は低発現群で9.5%/年、中発現群で8.5%/年、高発現群で8.8%/年でした。クロピドグレル群における心血管イベント発症率は低発現群で10.5%/年、中発現群で9.8%/年、高発現群で11.9%/年でした。ABCB1遺伝子型と出血リスクの関連は認められませんでした。

PLATO試験の遺伝子サブスタディの治験責任医師でスウェーデンUppsala大学Cardiology and Research Director のLars Wallentin教授は「このサブスタディは急性冠症候群患者において遺伝子型が抗血小板治療に与える影響を検討した最大規模のものです。この結果、ticagrelorの有効性はCYP2C19やABCB1の遺伝子多型に影響されないことが示されました」と述べました。

このサブスタディは、ticagrelorとクロピドグレルの有効性および安全性におけるCYP2C19遺伝子とABCB1遺伝子の相互作用を調査するために実施されました。10,285例の急性冠症候群患者はCYP2C19とABCB1の遺伝子の発現型で分類されました。患者はアスピリンの併用に加え、ticagrelor群では初回投与量としてticagrelor180mgを投与後、ticagrelor90mgを1日2回投与、クロピドグレル群では初回投与量としてクロピドグレル300mgから600mgを投与後、クロピドグレル75mgを1日1回、6カ月から12カ月投与されました。

PLATO試験について
PLATO試験は43カ国において急性冠症候群患者18,624例を対象にticagrelorとクロピドグレルを直接比較した試験で、ticagrelorが有効性評価および安全性評価において臨床的に意義のある成績を達成できるか検討した試験です。PLATO試験は、全ての急性冠症候群患者(ST上昇型急性心筋梗塞、非ST上昇型急性心筋梗塞および不安定狭心症)を対象として、侵襲的治療を受けた患者と薬物療法で治療された患者の両方を含めることにより、急性冠症候群患者への実地医療の現状を反映する試験デザインになっています。