閉経後乳がん術後療法におけるアリミデックス®錠1mg(アナストロゾール)  長期投与による骨折は増加傾向を示さず


2009年7月3日、アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、社長:加藤益弘)は東京で開催された第17回日本乳癌学会学術総会で、閉経後乳がん術後療法におけるアリミデックスの骨折に関する国内レトロスペクティブ調査より、アリミデックスの長期投与によって骨折が増加する傾向は見られなかったと報告しました。

<調査の背景>
アリミデックスは、ホルモン感受性閉経後乳がん患者に対する術後療法の標準治療薬と位置付けられている薬剤で、本邦においては使用成績調査結果から安全性・有効性が確立しています。一方、アリミデックスを含むアロマターゼ阻害剤(AI剤)はその薬理作用により投与後、骨粗鬆症や骨折が発現しやすいと考えられており、平成19年3月、AI剤共通の注意喚起として、骨密度など骨状態を定期的に観察することが望ましいと添付文書に追記されました。
今回のアリミデックスの骨折に関する国内レトロスペクティブ調査は、当社がアリミデックスの骨への影響を明らかにすること、また日常診療下における骨密度の定期的な観察の実態を把握し、適正使用に関する情報を得ることを目的に実施しました。

<調査結果>
アリミデックスの使用成績調査に登録された術後療法の患者2416名を対象とし、使用成績調査で収集されたデータ1と本調査で新たに収集されたデータをあわせて解析した結果、以下が明らかとなりました。

  • 全体の骨折率は1.13%/年(95%CI 0.90-1.41%/年)で、投与期間と骨折率に関連は認められなかった
  • 年齢と関節炎、関節痛の既往が骨折の増加に寄与していた
    -年齢:75歳以上 vs 75歳未満HR2.99 p<0.001
    -関節炎・関節痛の既往:有 vs 無HR2.75 P=0.029
  • 骨折の多発部位は腰椎、胸椎、大腿骨(頸部を含む)であり、骨折率はそれぞれ0.24%/年、 0.24%/年、0.13%/年であった

当調査の副次評価項目である日常診療下の骨密度測定の有無、再発の状況については次のとおりでした。

  • 骨密度測定は17.2%の症例で実施され、2007年以降、骨密度測定実施率は増加
  • 5年無再発率は86.8%
  • 対象患者の年齢を考慮すると、骨密度測定による骨状態の観察が一層望まれる

今回の調査は、アリミデックスの長期使用で懸念されていた骨への影響を初めて明らかにした点と、日本人における5年無再発率が得られた点で重要な調査と考えます。当社は今回得られた知見を適宜、臨床現場に伝達していきます。

 

アリミデックス:現在欧米や国内で最も処方されているアロマターゼ阻害剤。海外における術後大規模試験ATAC(Arimidex, Tamoxifen, Alone or in Combination)において、それまで標準治療とされていたタモキシフェンに比べ、無病生存率と再発までの期間を有意に改善し、遠隔転移や対側乳癌を有意に抑制することが示された2。ATACにおいてもアリミデックスはタモキシフェンに比べ、骨粗鬆症や骨折の発現頻度が有意に高いという結果が示された。また他のアロマターゼ阻害剤においても同様の報告がなされている。

骨折率:集団内に発生した新事象の率。分子には骨折の発現例数、分母には人年(対象患者1人ひとりの投与年数の総和)を用いて算出した。
-算出例-
患者(1)→2.5年で投与中止 
骨折なし患者(2)→投与2年目に骨折、投与中止
患者(3)→投与5年完了
骨折なし患者(4)→4.5年で投与中止 骨折なし
患者(5)→5.2年投与継続  骨折なし
総投与期間:(1)2.5年+(2)2年+(3)5年+(4)4.5年+(5)5.2年=19.2年
骨折例数:1
骨折率:1/19.2×100=5.2%/年

アリミデックス使用成績調査:実施期間は2001年2月~2004年3月。骨折については有害事象として報告された骨折をデータとした

参考資料

  1. アリミデックス錠1mg再審査申請添付資料(使用成績調査に関する資料)
  2. ATAC trialist’ group. Effect of anastrozole and tamoxifen as adjuvant treatment for early-stage breast cancer: 100-month analysis of the ATAC trial. Lancet Oncology 2008; 9:45-53