進行乳がんでフルベストラントが病勢コントロールを改善 - FIRST試験の新データより - フルベストラントの高用量(500mg)レジメンはゴールドスタンダードのアナストロゾールよりも長く病勢をコントロール

この資料は、英国アストラゼネカ社が12月14日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。
この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。


「新データは、フルベストラントの用量を500mgに上げることで閉経後ホルモン感受性進行乳がん患者の病勢コントロールを改善できる可能性を示唆しました。承認されているフルベストラント250 mgでは少なくともゴールドスタンダードのアロマターゼ阻害剤と同等の効果が既に示されていますが1,2、今回の探索的データは500mg投与であればその効果をさらに高める手段が見つかるかもしれないことを表しました」

Professor John Robertson, University of Nottingham City Hospital, UK


2008 年12月14日、英国、マックルズフィールド:本日、第31回米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで、高用量のフルベストラント(500mg)がホルモン感受性進行乳がんの一次治療として、アロマターゼ阻害剤よりも良好に病勢をコントロールできたとの新データが発表されました3。このデータは閉経後ホルモン感受性局所進行もしくは転移乳がんを対象とした第II相無作為オープンラベルFIRST試験(FASLODEX fIRst line Study comparing endocrine Treatment)の結果によるものです。

FIRST試験では、フルベストラント500mgを投与された患者のクリニカルベネフィット(奏効に関する指標)は、追跡期間の中央値8カ月時点ではアナストロゾール群67.0%に対し72.5%(p=0.386)で、両方の薬剤で高い臨床的効果が得られたものの、フルベストラント群では30%高いクリニカルベネフィットを享受できる可能性が示されました(オッズ比1.30)。また、フルベストラント群ではアナストロゾール群よりも有意に、TTP(Time to progression 病勢進行までの期間)をおよそ60% 延長しました(HR=0.63、95%CI[0.39-1.00];p<0.05)。奏効期間も数値的にフルベストラント500mg群で長く、今回の新データは、病勢をより長期にコントロールできたという点で進行再発乳がんにおける重要な知見です。

フルベストラント500mgの安全性についてはアナストロゾールと同等で、承認されているフルベストラント250mgとも一致していました。また、忍容性についても明らかな問題は見られませんでした。

Robertson教授はこうも述べました。「FIRST試験で興味深いのは、今回のデータがフルベストラント500mgは病勢進行の早い患者に対して有用な治療薬になりうることを示した点です。我々はこれがフルベストラントの明確な作用機序であるエストロゲン受容体(ER)ダウンレギュレーションに基いているのではないかと考えています」

フルベストラントは他のホルモン剤と異なり、ERと結合してエストロゲンをブロックする以外にERを分解し、腫瘍内でのERシグナルの伝達を阻害したり、ERダウンレギュレーションを起こしたりします。ERの活性化には複数の伝達経路が関わっていることから、フルベストラントのように直接ERを標的にすると、受容体の分解と他の腫瘍増殖経路破壊の双方を促します。これは、初発薬剤耐性だけでなく投与期間中の薬剤耐性を遅らせることもできるという2つの利点がフルベストラントにはあるということです。FIRST試験で見られたフルベストラントの高い有用性は、術前のバイオマーカーを調べたNEWEST試験結果4と同様に、500mgという高用量で見られる"スーパーダウンレギュレーション"によると考えられます。

フルベストラント500mg用量については、閉経後進行再発乳がんの第二次治療において、フルベストラント500mgと250mgを比較する無作為二重盲検第III相試験CONFIRM(COmparisoN of Fulvestrant In Recurrent or Metastatic breast cancer)を現在実施しています。

図
※フルベストラント:抗エストロゲン剤。日本未承認。1カ月に1回の筋肉内投与により抗腫瘍効果が期待できます。250 mgは現在、閉経後ホルモン感受性再発もしくは転移乳がんの二次治療を適応として54ヵ国で承認されており、有効性と長期に及ぶ病勢コントロールが可能であることが示されています。

Reference List

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  3. Ellis M, Llombart A, Rolski J et al. A comparison of High-Dose (HD, 500mg) fulvestrant vs. anastrozole (1mg) as first-line treatments for advanced breast cancer: results from FIRST. SABCS 2008, Abs 6126.
  4. Kuter I, Hegg R, Singer CF et al. Fulvestrant 500mg vs. 250mg: first results from NEWEST, a randomized, phase II neoadjuvant trial in postmenopausal women with locally advanced, estrogen receptor-positive breast cancer. Breast Cancer Research and Treatment 2008; 109: 589 Abstract 23.
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