フルベストラント高用量投与により 腫瘍マーカーの抑制、エストロゲン受容体の「ダウンレギュレーション」の促進が得られた

この資料は、英国アストラゼネカ社が12月13日(米国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
 


「今回の初回データは、フルベストラント*500mg投与が250mg投与よりも腫瘍マーカーを抑制することを示しました。フルベストラント250mg転移性乳がん患者に対して、アロマターゼ阻害剤と同等の有効性を示すことが複数の臨床試験で明らかにされています。今回の術前療法における新データは、用量増加によりフルベストラントの抗腫瘍効果を一層高める可能性があることを初めて明した重要なものです。このことから、転移性乳がんに対する高用量投与についても検討の余地が生まれました」

Dr Irene Kuter, Massachusetts General Hospital(米国ボストン)
 


2007年12月13日、米国、サンアントニオ:
本日、第30回米国サンアントニオ乳がんシンポジウム(San Antonio Breast Cancer Symposium:SABCS)で、選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターのフルベストラントに関する新しい試験データが次のとおり発表されました。
フルベストラントの500mg投与は、250mg投与に比べて腫瘍バイオマーカーであるKi67濃度を有意に低下させました(p<0.0001)。1

今回発表されたデータは、エストロゲン受容体陽性の局所進行性乳がん患者200例以上を対象とした無作為化第II相試験であるNEWEST試験(Neoadjuvant Endocrine Therapy for Women with Estrogen-Sensitive Tumors)から得られたものです。当試験では、16週間の術前療法としてフルベストラント500mg投与と250mg投与を比較しました。主要評価項目は、腫瘍細胞増殖の重要な指標で治療効果の特異的な指標であるKi67の濃度に基づいて評価しました。

SABCSの中でも権威ある腫瘍バイオマーカー講演「William-McGuire」**で司会を務めたMitch Dowsett氏は、「Ki67は乳がん細胞増殖の確立されたバイオマーカーであり、診断時のKi67の腫瘍内濃度は患者の長期予後と直接相関すると考えられています。また治療効果の重要な決定因子であることも最近の研究で示唆されています」と、コメントしています。

500mg投与は、腫瘍マーカーの抑制に加えて、エストロゲン受容体の「ダウンレギュレーション」も250mg投与に比べて有意に促進しました。フルベストラントなどの内分泌療法薬はホルモン感受性乳がん(腫瘍細胞の増殖が女性ホルモンであるエストロゲンに依存している乳がん)患者を対象に開発されたものです。この種の乳がんでは、エストロゲンは腫瘍細胞に発現している情報伝達タンパク質(エストロゲン受容体)に作用します。フルベストラントは他の内分泌療法薬と作用機序が明らかに異なり、エストロゲン受容体の分解(breakdown)を加速し、腫瘍細胞の増殖に不可欠な多数のシグナル伝達経路を阻害します。その結果、エストロゲン受容体機能の低下(degradation)がさらに促進され、腫瘍増殖の必要条件が直接途絶えてしまうことになります。

NEWEST試験のデータからは、500mg投与時及び250mg投与時の忍容性はともに良好であり、治療に関連する有害事象による中止例は認められませんでした。

University of Nottingham City Hospital(UK)のProfessor John Robertsonは、「フルベストラントの250mgは、閉経後進行性乳がんの初回増悪後に投与した際の有効性プロファイルは十分確立しており、病勢コントロールの点についても明らかなベネフィットが得られています。500mg投与によって患者にさらに有益な効果をもたらせるのか非常に興味のあるところです。将来的には、FIRST試験やCONFIRM試験などの試験から、増量によって有効的な治療薬となり得るか明らかにしたいと考えています」と述べました。

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*フルベストラント:
抗エストロゲン剤。日本未承認。1ヶ月に1回の筋肉内投与により抗腫瘍効果が期待できます。250 mgは現在、転移性ホルモン感受性乳がん患者の二次治療を適応として54ヵ国で承認されており、有効性と長期に及ぶ病勢コントロールが可能であることが示されています。フルベストラント500 mgについては、CONFIRM試験(Comparison of Faslodex [500 mg vs 250 mg] In Recurrent or Metastatic Breast Cancer)など現在進行中の試験で転移性乳がんおける有用性を検討しています。

**11:15-12:00 Friday 14 December: WILLIAM L. MCGUIRE MEMORIAL LECTURE-
Biomarking the oestrogen dependence of breast cancer. Mitchell Dowsett, PhD Institute of Cancer Research/Royal Marsden NHS Trust London, UNITED KINGDOM

References:

  1. Kuter I et al. Fulvestrant 500 mg vs 250 mg: first results from NEWEST, a randomized, phase II neoadjuvant trial in postmenopausal women with locally advanced, estrogen receptor-positive breast cancer.

アストラゼネカについて:

アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造及び販売、並びにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。年間264億7,500万ドルのヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器、オンコロジー及び感染症製品の販売でリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、Dow Jones Sustainability Index(Global)及びFTSE4 Good Indexに選定されています。