ZD4054,骨転移を有する内分泌療法抵抗性前立腺がん患者の生存期間を改善 -第II相臨床試験結果より-

この資料は、英国アストラゼネカ社が9月25日(英国現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・再編集し、皆様のご参考に供するものです。
この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。


第III相臨床開発プログラム内容を発表
 


2007年9月25日英国マックルズフィールド:
本日発表された第II相臨床試験の結果において、内分泌療法抵抗性前立腺がん(HRPC)の治療薬として開発されている新規化合物ZD4054は、無症候性又は軽度症候性の転移を有するHRPC患者の全生存期間を改善することが示唆されました1。ZD4054 10mgの1日1回の投与を受けた患者では、死亡リスクがプラセボに比べ45%低くなることが示されました(HR 0.55;80% CI 0.41~0.73)1


ZD4054の有効性及び安全性をさらに評価するため、年内には3つの試験から成る第III相臨床試験プログラムENTHUSEENDOTHELIN A USE)を開始する予定です。このうち1つの試験は転移を有するHRPCにおけるZD4054の有効性を調べることを目的とし、もうひとつの試験では転移巣を有さないHRPC患者におけるZD4054の有効性及び安全性を調べる予定です。さらにもうひとつの試験では、転移を有するHRPC患者を対象にZD4054とドセタキセル(Taxotere)の併用療法について評価する予定です。

第14回欧州臨床腫瘍学会(ECCO:European Congress of Clinical Oncology、9月23~27日、バルセロナ)では、ZD4054の無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験である第II相臨床試験EPOCEndothelin A Proof Of Concept)の結果が本日(9月25日)発表されました。

英国バーミンガムのInstitute for Cancer Studiesの臨床腫瘍学教授であり、EPOC試験の治験責任医師でもあるNick James氏は次のように述べました。「進行性前立腺がん患者は一般に内分泌療法による治療を受けます。この療法により患者は大きな恩恵を受けることができますが、ほとんどの患者は内分泌療法に対していずれ抵抗性を示すことになります。現在のところ、転移を有するHRPC患者に対して、使用が認められており生存期間を改善することが示されている治療はドセタキセルによる化学療法のみです。」

「EPOC試験の結果から、ZD4054の1日1回10mg投与は無症候性又は軽度症候性の転移を有するHRPC患者の全生存期間の中央値を改善する可能性が示唆されています。また、管理可能な副作用プロファイルを示すというベネフィットがあり、1日1回の経口投与という利便性を有しています。」

EPOC(Endothelin A Proof Of Concept)第II相臨床試験の所見:
本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、副次的評価項目は全生存期間(OS)でした。PFSには、ZD4054投与群とプラセボ投与群との間に統計学的有意差は認められませんでした。しかし、本日発表された第II相臨床試験のデータによると、ZD4054 10 mg 1日1回投与を受けた患者では死亡リスクがプラセボより45%低くなり(HR 0.55;80% CI 0.41~0.73)、OSの中央値はプラセボ群では17.3ヵ月であるのに対して、ZD4054 10 mg 1日1回投与群では24.5ヵ月でした。

また、ZD4054 15 mg 1日1回投与を受けた患者では死亡リスクが35%低くなり(HR 0.65;80% CI 0.49~0.86)、OSの中央値はプラセボ群では17.3ヵ月であるのに対して、ZD4054 15 mg 1日1回投与群では23.5ヵ月でした。

OSの成績は以下の通りでした:
表

「通常、第II相臨床試験の評価項目にはPFSが使用されますが、転移を有するHRPC患者ではPFSを正確に測定することが困難な場合があります。一方、全生存期間は明確な評価が可能であり、患者にとっても明らかに重要な転帰といえます。」とNick James教授はコメントしました。

本試験におけるPFSは、病勢進行を示す臨床上又はX線画像上の徴候もしくは、疾患関連疼痛の悪化又は死亡に基づいて評価されました。ただし、転移を有するHRPC患者では、複数の骨転移病巣を有する場合が多く、その後の骨転移の評価が困難とされています。

EPOCのデータは、ZD4054の1日1回投与がHRPC患者にとって重要な治療選択肢になる可能性があることを示唆しています。さらに、ZD4054は頭痛、浮腫、鼻閉を含む管理可能な副作用プロファイルを示しました1

第II相臨床試験EPOCのデザイン:
本試験では、312例の無症候性又は軽度症候性の骨転移を有するHRPC患者を、3つの投与群(ZD4054 15mg 1日1回投与群;ZD4054 10mg 1日1回投与群;プラセボ錠1日1回投与群)のいずれかに無作為に割り付けました。なお、治験薬の投与に加えて、試験に無作為に割り付けられた全患者にはベストサポーティブケア(BSC)による治療が行われました。

作用機序-特異的ETA受容体拮抗作用:
ZD4054はETA受容体に対する特異的拮抗薬です。ETA受容体拮抗作用により、腫瘍細胞の増殖や生存、血管新生、ならびに骨転移形成等のがんの進行に繋がる複数のプロセスが阻害されると考えられます2。一方、ZD4054はETB受容体に対して作用を示さないため、ETB受容体を介するエンドセリンの望ましい作用である異常細胞のアポトーシス促進には影響を及ぼさず、がん治療において有益な効果を発揮することが期待されます。

ZD4054の将来性:
本剤の統括責任者であるAlex Oldhamは次のように述べています。「転移を有する内分泌療法抵抗性前立腺がん患者を対象としたこの第II相臨床試験において、ZD4054は有望な成績を示しています。アストラゼネカは、包括的な第III相臨床開発プログラムにおいてこれらの所見を裏付け、HRPCにおけるZD4054の有効性をさらに評価していきます。」

今後、ZD4054 10mg 1日1回投与を3つの第III相臨床試験において検討する予定です。

アストラゼネカは先行製品である、1987年発売のゾラデックス(一般名:ゴセレリン酢酸塩)及び1995年発売のカソデックス(ビカルタミド)の前立腺がん治療薬を販売しています。
日本における発売年度はゾラデックス1991年、カソデックス1999年です。

Notes to Editors
試験について:

  • 本試験には、312例の無症候性又は軽度症候性の転移を有する内分泌療法抵抗性前立腺がん患者が組み入れられました。
  • 参加国はオーストラリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、インドネシア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スウェーデン、スイス、イギリス及びアメリカでした。
  • ECCOで発表された第Ⅰ相試験では、HRPCの白人患者でも日本人患者でも忍容性が良好であり、同程度の代謝が示されました3,4

前立腺がんについて:
前立腺がんは主に50歳代以上の男性にみられる疾患です5。多くの西欧諸国では診断率の高いがんのトップにあげられ、罹患率も増加傾向にあります。世界中で毎年67万人以上が前立腺がんの診断を受けており、男性における新規発症がん全体の9分の1を占めています。前立腺がんは、男性では肺がんに次いで多いがんです6。米国だけでもHRPCの新規患者は毎年約6万人にのぼります7

アストラゼネカについて:
アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造及び販売、並びにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。年間264億7,500万ドルのヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器、オンコロジー及び感染症製品の販売でリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、Dow Jones Sustainability Index(Global)及びFTSE4 Good Indexに選定されています。

詳しくは以下のウェブサイトをご覧下さい:
www.astrazeneca.com

References

  1. James, N.D et al. ZD4054, a potent, specific endothelin A receptor antagonist, improves overall survival in pain-free or mildly symptomatic patients with hormone-resistant prostate cancer (HRPC) and bone metastases. Presented at ECCO 14. Sept, 2007
  2. Morris, C.D. et al. Specific inhibition of the endothelin A receptor with ZD4054: clinical and pre-clinical evidence. British Journal of Cancer . 2005: 92
  3. Ranson, M. et al. The pharmokinetic and tolerability profile of once-daily oral ZF4054 in Japanese and Caucasian patients with hormone-refractory prostate cancer. Presented at ECCO 14. Sept, 2007
  4. Clarkson-Jones, J. et al. Metabolism of ZD4054 in healthy volunteers. Presented at ECCO 14. Sept, 2007
  5. Kirby RS et al. Prostate cancer and sexual function. Prostate Cancer and Prostatic Diseases. 1998:1:179-184
  6. Cancer Research UK, Prostate Cancer Incidence statistics
    http://info.cancerresearchuk.org/cancerstats/types/prostate/incidence
  7. DaVinci Cancer!MPact 2006