ECCO発表の国際的調査 乳がん再発が患者と医師双方に深刻な精神的影響を与えていると報告

この資料は、英国アストラゼネカ社が9月23日(英国現地時間)に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。
この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。


円滑なコミュニケーション、訓練、効果的な治療法に基づく前向きな話し合いが医師に必要
 


2007年9月23日 スペイン、バルセロナ:
早期乳がん患者が最も衝撃を受ける瞬間は、最善の努力にもかかわらず、癌が再発し、しかも治癒が難しくなったと医師から聞かされた時です。23日、欧州癌会議(European Cancer COnference:ECCO )で初めて発表された国際的調査「More Positive Communication Survey(前向きな話し合いに関する調査)」1*から、前述のような悪いニュースの告知は、患者だけでなく医師にも深刻な影響を与えていることがわかりました。
多くの医師が、患者に再発を告げることが最も辛く、病院や手術室を出てからも悲痛な思いや感情が頭から離れないと答えました。また最近の研究では、腫瘍科医の中には専門家としての重圧の増加から、ストレス、抑うつ、燃え尽き、といった症状を訴え、場合によっては自殺を考える医師もいると報告されており2-4、患者との関係構築、さらには診療そのものへの影響が懸念されています。このような環境下、医師が患者と明るい話し合いができるような医師のサポートも重要になっています。


1000人以上の欧米医師**と患者***を対象にした今回の「前向きな話し合いに関する調査」から、医師に関して次のような結果が得られました。

  • 患者に対する癌の再発告知が最も辛いと41.8%の医師が感じている
  • 早期乳がんの罹患告知は、再発告知よりもまだ伝えやすいと72%の医師が考えている
  • 自宅に帰ってからも再発した患者のことが気になると33%の医師は心配している
  • 患者にとって最善の治療法を処方できているか69.4%の医師が不安を持っている
  • 患者が治療方針を信頼し、乳がんを乗り越えた後の人生に希望を持っている状況に89%の医師は強い満足感を感じている
  • 患者に遠隔再発の心配がないと話す時に、62%の医師が最もやりがいを感じている

当調査報告書の共同著者である英国 Brighton and Sussex Medical SchoolのLesley Fallowfield教授は「今回の調査からわかったことは、医師にとっての最優先事項は常に患者の幸せですが、病気の再発を心配する乳がん患者に対して、再発などの悪いニュースや悲しいニュース、難しいニュースを日常的に伝えなければならない医師にもサポートが必要ということです。再発は患者にとって非常に辛い出来事であり、医師はさらに優れた治療法を必要としているのです。もし有効な治療法が確立されれば、悪いニュースを告知する頻度は必然的に減るはずです。しかし、悲しく、辛く、そして難しい話し合いが必要な場合に、患者と医師の双方が精神的負担を軽減できるコミュニケーション技術を医師に習得させることも重要です」と、述べました。
欧州癌会議でFallowfield教授は、前向きな話し合いを実現するために、医師へは次のようなサポートが必要と指摘しました。

  • 大規模な臨床試験データや、個々の経験に裏付けられた適正な治療選択肢が確認できる環境をつくる
  • コミュニケーション能力を習得するための良質な訓練を早期に実施する
  • 実績のあるコミュニケーション技術と方法を最大限に活用する
  • 医師同士の支援ネットワークを強化する

「閉経後ホルモン感受性乳がん患者に再発を告げるのは本当に辛いことです。なぜなら、この告知は思いも寄らない出来事だからです。個人的には、「真実を伝える瞬間」は精神的な疲労を感じます。また、職務上発生する数々の難しい局面を考えると自分自身の心の健康や患者に対する医療行為に支障をきたすのではないかと不安になります」と、イギリスLeeds Teaching Hospitals NHS Trustの顧問外科医Mark Lansdown医師は自らの経験を語りました。「私にとってこの問題を解決するには、再発の予防が何よりも重要なのです。新しい治療法が確立されて再発率が減り、医師が患者と前向きな話し合いを持てるようになれば本当に嬉しい限りです」。

調査の対象となった医師は、良好な予後が得られることを確信できる十分に検討された説得力のあるデータも欲しています。

  • 治療方針の決断に確信を得るためには、臨床試験データが不可欠と90%の医師が回答
  • 再発を最小限に抑える治療薬の処方で、前向きな話し合いが可能になると72.4%の医師が回答

追跡期間68カ月(中央値)のATAC試験(ARIMIDEX, Tamoxifen, Alone or in Combination〔ARIMIDEX及びタモキシフェンの単剤又は併用療法〕)データは、‘アリミデックス’(一般名:アナストロゾール)で治療した閉経後ホルモン感受性陽性早期乳がん患者はタモキシフェン治療患者より26%再発率が低下したと示しています5。この試験結果を受けて、諸国では‘アリミデックス’がタモキシフェンに替わる閉経後ホルモン感受性早期乳がん治療薬のゴールデンスタンダードになりつつあります。

「ATAC試験データは、我々医師が患者の予後を改善できることを示しており5、これは早期乳がんの再発という辛い告知を聞かなければならない患者が減ることでもあります。医師が患者と前向きな話し合いができるようになれば、我々の負担も軽くなり、治療に最善を尽くすという最も重要な仕事に専念できるようになるでしょう」と、イギリス・リバプールのUniversity Hospital Aintreeの Lee Martin医師は話しました。

References

  1. Data presented at the European Cancer Conference (ECCO). AstraZeneca Satellite Symposium, Breast Cancer Treatment Strategies: Clinical decisions and Positive Conversations, Sunday 23 September, 17.00-19.00 CET.
  2. Burman et al. Occupational stress in palliative medicine, medical oncology and clinical oncology specialist registrars. Clin Med 2007;7:235-42.
  3. Shanafelt T. Finding meaning, balance, and personal satisfaction in the practice of oncology. J Support Oncol. 2005;3:157-164
  4. Whippen DA, et al. Burnout in the practice of oncology: Results of a follow-up survey. Journal of Clinical Oncology, 2004 ASCO Annual Meeting Proceedings (Post-Meeting Edition). Vol 22, No 14S (July 15 Supplement), 2004: 6053.
  5. ATAC Trialists' Group. Results of the ATAC (Arimidex, Tamoxifen, Alone or in Combination) trial after completion of five years' adjuvant treatment for breast cancer. Lancet 2005, 365 (9453):60-62.

Notes to Editors
*「前向きな話し合い(More Positive Conversations)」調査:

「前向きな話し合い(More Positive Conversations)」調査は、アストラゼネカの依頼でHarris Interactiveがオンライン及び電話アンケートによって実施しました。フランス、ドイツ、イタリア、英国及び米国の医師と患者計1,062名を対象にした当調査の目的は次の通りです。

  • 患者と医師との信頼関係に関する概念を評価するとともに、こうした概念が治療の決定、コンプライアンスならびに医師の仕事に関する満足度などの本質的ベネフィットにどの程度関与しているかを明らかにすること
  • 医師が早期乳がん患者との話し合いをどのような状況で、どの程度気にかけているか、ならびにこうした話し合いが医師の仕事観にどのような影響を与えているかを調べること
  • 治療に対する患者と医師の満足度を評価し、患者と医師との関係が治療の決定に果たす役割を理解すること
  • 患者の診察にどの程度の時間的制約があり、認識されている受診の質にどのように影響しているかを理解すること

**医師:腫瘍内科医、婦人科医及び乳癌手術の執刀医462名

***患者:過去5年以内に早期乳がんと診断され、乳癌の手術を受けた閉経後患者600名

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