ASCO前立腺がん治療ガイドライン、日本の臨床試験結果を初めて引用 ~「アンドロゲン抑制併用療法の位置付け」改訂でアストラゼネカ実施の第Ⅲ相試験~


アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、社長:加藤益弘)の前立腺がん治療薬カソデックス錠®80mg(一般名:ビカルタミド)の国内第Ⅲ相試験が、日本のデータとしては初めてがんの臨床分野では最大規模の学会である米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)の2006年治療ガイドラインで引用されました。 

ビカルタミド国内第Ⅲ相試験は、国内進行前立腺がん患者のファーストライン治療でビカルタミド+LHRHアゴニスト併用療法(アンドロゲン抑制併用療法)とLHRHアゴニスト単独療法を比較したものです。

ASCOの前立腺がんガイドラインでは、アンドロゲン抑制併用療法は従来次のように記載されていました。「主治医と患者で十分に話し合った上で選択すべきである。(内科的)去勢療法に抗アンドロゲン剤を併用した時の生存率の改善は僅かであり、副作用は増加する可能性がある」。それが、上記試験結果における腫瘍縮小効果、重篤有害事象発症率などを踏まえ、次のように改訂しました。「前立腺がんの選択肢として考慮すべき」。 泌尿器科領域で、日本の臨床試験が海外のガイドラインに引用された例はなく、今回のビカルタミド国内第Ⅲ相臨床試験が国際的に評価された結果と言えます。

今回ガイドラインで引用されたことにより、試験結果に対する信頼性が高まったと同時に、アンドロゲン抑制併用療法に対する治療効果を見直す機会となりました。日本国内では、2006年に前立腺がん治療のガイドラインが制定されたばかりで、ASCOガイドラインがどのような影響を及ぼすのかは未知数ですが、既にアンドロゲン抑制併用療法を受けている患者さんや実施されている医療従事者にとって、ASCOガイドラインでの同療法推奨は吉報になると考えられます。

『がんになっても、希望とあたりまえの生活を』をモットーに、アストラゼネカは、新薬の開発、新しい治療法の普及、最新のがん治療情報の提供、医療関係者との協業作業を通じ、がんと向き合い考える全ての人たちを応援しつづけていきます。

■前立腺がんとは
前立腺がんは、男性のみにある器官「前立腺」にできるがんです。日本では前立腺がんの死亡者数が年々増えており、1950年の死亡率と比較すると2000年には約17倍に増加しています。その背景には社会や生活環境の欧米化があります。食生活の欧米化から脂肪摂取量が増える昨今、死亡率がさらに上昇すると懸念されています。加えて、患者さんの約90%が60歳以上と高齢者に多い病気であるため、高齢化の進展に伴い、患者数が増えることになります。日本における前立腺がんの罹患率と死亡率の今後の推移を見ると、2000年に比べて2020年には発症率が3.4倍となり、男性のがんでは肺がんに次いで2番目の発生率になると予測されています。また、死亡率は2.8倍になると予測されています。

■治療法
手術(前立腺全摘除術)、放射線治療、化学療法、内分泌療法と幅広い治療法があります。しかし、がんの病期がどの段階にあるかで選択できる治療法やその組み合わせが決まるため、治療法を選ぶ前に、患者さんは自身の病期を正しく把握していることが重要となります。

◇アンドロゲン抑制併用療法(内分泌療法)
前立腺がんの多くは、精巣および副腎から分泌される男性ホルモンの影響を受けて増殖しています。 内分泌療法(ホルモン療法)は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えることによって、前立腺がん細胞の増殖を抑制しようとする治療法です。アンドロゲン抑制併用療法は、精巣と副腎から分泌される男性ホルモンの影響を最大限抑えることによって、より治療効果を高めることを目的として、LH-RHアゴニストまたは精巣摘除術に抗男性ホルモン剤(抗アンドロゲン剤)を併用する治療を行うもの。

◇LHRHアゴニスト単独療法=内科的去勢療法 (内分泌療法)
精巣でつくられる男性ホルモンは、視床下部、下垂体でつくられるLHRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)・LH(性腺刺激ホルモン)といったホルモンによってコントロールされています。
視床下部から分泌されるLH-RHは、下垂体にある受容体に結合してLHを分泌させ、男性ホルモン(テストステロン)の分泌を促します。
LHRHアゴニストは、LHRHに似た構造の薬剤であり、LHRHが受容体に結合するのを阻害します。その結果として、下垂体からのLH分泌がストップし、精巣からテストステロンが分泌されなくなるため、前立腺がんは縮小していきます。LHRHアゴニストでは、精巣摘除術(去勢術)を行ったときと同等の治療効果が得られることがわかっています。

■ASCOについて
約25000人の会員を有する、がんの臨床分野では世界最大規模の学会。発表研究成果の内容により標準的治療法が左右される場合もあり、大きな影響力を持っています。

■国内前立腺がん診療ガイドラインについて
2006年に、EAU(European association of urology)前立腺がんガイドライン、NCI-PDQ(National cancer institute - Physicians data query)などを参考に原案が作成され、1999年以降のEBMに基づく知見を集積・分析して作成されました。また、日本泌尿器科学会会員、日本癌治療学会、日本放射線腫瘍学会から300人を超す医師らの監修を得て完成。

■カソデックス®錠80mgについて
前立腺がん治療薬。1日1回経口投与可能な非ステロイド性抗アンドロゲン剤。世界90カ国以上で承認されており、本邦では1999年輸入承認を得て同年5月発売。
前立腺がんは、男性ホルモンであるアンドロゲンに依存するものであり、カソデックスはアンドロゲン活性作用を持つジヒドロテストステロン(精巣で合成されるテストステロンが前立腺細胞内の酵素により変換したもの)とアンドロゲン受容体との結合を競合的に阻害することでアンドロゲン依存性の遺伝子転写を抑制し、結果として腫瘍の細胞増殖を抑制します。