乳がん治療の展望

この資料は、英国アストラゼネカ社が12月15日(英国現地時間)に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。
この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
 


アストラゼネカは効果的な新薬の開発を通じて、乳がんの予防、治療、さらには根治に貢献します。

アストラゼネカは、乳がんの腫瘍増殖で重要な役割を果たすシグナル伝達プロセスを標的とする多数の化合物の開発を進めています。

ZD6474(vandetanib)
ZD6474は経口で一日一回服用する抗がん剤で、腫瘍増殖に関わる2つの重要なシグナル伝達経路(EGF:Epidermal Growth Factor、上皮細胞成長因子とVEGF:Vascular Endothelial Growth Factor、血管内皮細胞成長因子)を選択的に阻害するという特徴的な作用機序により、乳がん治療の有益な薬剤になる可能性を秘めています。

ZD6474は血管新生と腫瘍の増殖の双方を阻害することで抗腫瘍効果を発揮します。ZD6474のようなマルチターゲットインヒビター(複数の標的分子においてシグナル阻害作用をもつ薬剤)は、様々ながん種の腫瘍を縮小させる可能性があると考えられています。

ZD6474では海外で進行乳がん第 II 相試験が始まり、患者の登録を開始しています。この試験では、セカンドライン治療としてのZD6474とドセタキセルの併用投与をドセタキセル単独投与と比較検討するものです。さらにアストラゼネカは、ZD6474とアナストロゾール併用もしくはZD6474と「フルベストラント」(日本未承認)併用を進行乳がんのファーストラインとして投与する可能性を検討する予定です。

上述の試験と他の試験結果より、ZD6474はEGFとVEGFのシグナル伝達を阻害することにより、乳がんで抗腫瘍効果を示すことができるであろうと考えています。


AZD2171
AZD2171は一日一回の経口投与で、VEGFシグナルを選択的に阻害する分子標的薬です。

腫瘍は、増殖・転移のため継続的な酸素と栄養の補給を必要とし、そのため自らの血管ネットワークを生成し(血管新生)、必要な物質を得ます。VEGFが細胞内膜のVEGF受容体と結合するとシグナルが発せられ、血管新生が始まります。
AZD2171は、3つのVEGF受容体とVEGFよりも先に結合することによってシグナルの発生を阻害し、血管の生成を阻止します。そうすることで、成長に必要な酸素と栄養素を与えず腫瘍を効果的に‘餓死’させます。

早期の臨床データからAZD2171は乳がんを含む幅広い腫瘍に対して抗腫瘍効果が見られています。この化合物は現在、第 II 相試験中で、単独・内分泌療法と併用・化学療法と併用の3群で調査が進められています。


AZD0530
腫瘍の浸潤は固形がんに見られる特徴で、早期及び末期乳がんの双方で見られます。そのため、腫瘍の浸潤阻止は重要な治療目的といえます。AZD0530は乳がんを含む多くのがん種で主要な標的とされるSrcとAblキナーゼを特異的に阻害するようデザインされた治験中の化合物です。

SrcとAblキナーゼ活性の亢進は、乳がん細胞の悪性度・浸潤度と関連しています。基礎の実験では、これら標的の一方を阻害すると癌の浸潤作用が著しく変化することが示されました。また、ヒト乳がんを用いたAZD0530のいくつかの前臨床試験でも同様の変化が見られました。

Srcキナーゼは、エストロゲン受容体シグナルの重要なモジュレーターであり、また内分泌療法耐性化と関連があるとされています。前臨床試験では、この耐性を可逆させる、もしくは遅らせる可能性がAZD0530で見られました。このことはAZD0530が将来、内分泌療法との併用投与に適する薬剤となる可能性があることを示しています。

AZD0530を投与する第 I 相試験には進行乳がん患者群含まれており、現在進行中です。第 II 相試験も計画されています。


AZD2281
AZD2281はDNA修復を妨害するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ-1(PARP)を阻害する経口投与が可能な分子標的薬です。この薬剤は乳がんの中でも特に遺伝性の乳がんや子宮がんの患者で効果が期待できると見られています。AZD2281の可能性については、その他のがん種でも調査が進められる予定です。

AZD2281は現在第 I 相試験段階にあり、第 II 相試験が2007年の早期に開始される予定です。


アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造、販売、並びにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。年間239億5000万ドルのヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器、オンコロジー、および感染症領域の製品の売上でリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、Dow Jones Sustainability Index (Global)およびFTSE4Good Indexに選定されています。