ASTEROID試験とORION試験における新しい解析データについて

この資料は、英国アストラゼネカ社が2006年11月15日に発表したリリース (SUBSTANTIAL REGRESSION OF ATHEROSCLEROSIS MAY HELP IMPROVE DISEASED ARTERIES)を翻訳し再編集したものです。従って、内容や解釈は英語のリリースが優先され ます。

クレストールの日本における適応症は、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症です。また、日本での通常開始用量は2.5mg/日ですが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合は5mg/日より投与可能です。
日本における1日最大用量は20mgであり、40mgは承認用量ではありません。


ASTEROID 試験のデータは、クレストール(一般名:ロスバスタチン)が動脈のリモデリングに効果があることを示す
 


英国・ロンドン(2006年11月15日):ASTEROID* 試験の新しい解析データから、冠動脈のアテロームの大幅な退縮が、血管内腔の拡大と関連していることが示唆されました。今年初めに発表されたASTEROID 試験(A Study To Evaluate the Effect of Rosuvastatin On Intravascular Ultrasound-Derived Coronary Atheroma Burden)では、クレストール投与によるLDL-Cの大幅な低下とHDL-Cの上昇が、冠動脈のアテローム退縮と関連することが示唆されました2。今回の新しいデータは、積極的な脂質低下療法によりアテロームの退縮を示した患者さんでは、動脈のリモデリングを伴い内腔が拡大したことを示しています。さらに、ORION**試験から得られたデータは、高用量/低用量のロスバスタチンがプラークの性状に影響を与える可能性があることを示しています。この二つの結果は今週からシカゴで開催されている2006年米国心臓協会(AHA)の学術セッションで初めて発表されました。

Elisabeth Björk医師(クレストール担当、メディカル・サイエンス・ディレクター、アストラゼネカ)は、次のように述べています。「アテロームの大幅な退縮は、ハイリスク患者における進展した動脈硬化部位を改善する可能性があることを示唆しています。さらに、私たちは最近、心疾患のリスクが低く、スタチンによる治療を必要としないと思われる動脈硬化の早期兆候のみを呈した患者を対象としたMETEOR***(Measuring Effects on intima media Thickness: an Evaluation Of Rosuvastatin)という試験をまとめました。METEOR 試験から得られた成績は、ASTEROID試験とORION試験の成績と併せて、2007年の上半期に予定している動脈硬化症の適応症追加で承認申請をする際の根拠となるものです」

広範な臨床試験からなるGALAXYプログラムから得られたクレストールの優れた効果を示す数々のデータに加えて、ASTEROID試験とORION 試験によるこれらの新しい成績が得られました。GALAXYプログラムは、スタチン研究における未解明の重要な問題に取り組み、クレストールが心血管疾患リスクの低減や患者さんの予後に与える影響を検討する大規模かつ包括的な臨床プログラムです。現在、本プログラムには55カ国から55,000例を超える症例がエントリーされています。

参考資料:
* ASTEROID試験: 冠動脈造影を受けた冠動脈疾患患者349例を対象にクレストール40mgを2年間にわたって投与し、血管内超音波(IVUS)によって冠動脈のプラークの体積を評価したオープンラベル試験です。
ASTEROID試験の主な知見:1

  • アテローム体積率(PAV)の変化は-0.8%で、アテロームの総体積(TAV)は6.8% (p<0.0001)減少した。
  • アテローム体積の減少は、内腔体積の3.1%減少と外弾性板(EEM)体積の減少4.7%を伴った。
  • アテロームの退縮がみられた患者:EEM体積は3.9%減少し、内腔体積に変化はなかった。
  • 大幅なアテローム退縮がみられた患者:EEM体積は3.2%減少し、内腔体積は3.5%増加した。
  • プラークの進展がみられた患者:EEM体積は5.8%減少し、内腔体積も9.1%減少した。

** ORION試験: MRI(磁気共鳴映像法)で描写された頸動脈プラークを分割し特定する方法であるMEPPSを用いて、低用量/高用量ロスバスタチンに無作為に割り付けられた43症例を対象とした、24カ月、無作為化、二重盲検試験です。
ORION試験の主な知見:3

  • 低用量/高用量ロスバスタチンはLDL-Cをそれぞれ、39%、58%低下させた。 (p<0.001)
  • 動脈壁面積と内腔面積にみられた変化(平均)はそれぞれ、0.54mm2 (-0.70 ~ 1.54) 、 -0.03 mm2 (-1.31 ~ 1.39)であった。
  • 高用量ロスバスタチンは、血管壁に含まれる脂質豊富な壊死性コアの割合を32.7%減少させた。


*** METEOR試験: 高コレステロール血症、低リスク無症候性冠動脈疾患(IMTにて1.2mm以上3.5mm未満の肥厚を有する無症候性動脈硬化)の患者を対象として、頸動脈内膜中膜厚(IMT)に対するクレストール40mg/日の効果を評価する、無作為化、二重盲検、国際試験です。

アテローム性動脈硬化は、コレステロール、炎症性細胞、線維性組織が蓄積し、動脈壁にプラークが形成されて起こります。プラークの蓄積は動脈を狭窄させ、心臓や脳のような生命の維持に重要な器官への血液の供給が妨げられます。その結果、狭心症あるいは一過性の虚血性発作のような症状が現れます。プラークはまた、破綻すると身体の血流が妨げられ、心臓発作や脳卒中を招くことになります。

クレストールは、5大陸84カ国以上で承認されています。世界で840万人以上がクレストールを服用しており、臨床試験、使用経験、最近発行されたNational Lipid Association(米国の脂質協会)による安全性評価、および早期の薬剤疫学データから、クレストールの安全性プロファイルは他の市販されているスタチンと同様です。

40mgの用量は、40mgの用量は、クレストールの承認用量の最高用量です。クレストールは、添付文書に従って処方される薬剤です。添付文書には、個々の患者さんのプロファイルに応じた推奨開始用量および増量について記載されています。通常開始用量は多くの国で、5mgあるいは10mgです。
 

  1. SJ Nicholls, I Sipahi, A Colagiovanni, K Wolski, P Schoenhagen, T Crowe, JS Raichlen, VA Cain, S Kapadia, EM Tuzcu and SE Nissen. Arterial Wall Remodeling in Response to Atheroma Regression with Very Intensive Lipid Lowering: Insights from the ASTEROID trial. Presented at: American Heart Association; 15th November, 2006; Chicago, Illinois. USA.
  2. Nissen SE et al. Effect of Very High-Intensity Statin Therapy on Regression of Coronary Atherosclerosis: The ASTEROID Trial. JAMA. 2006;295:1556-1565.
  3. HR Underhill, TS Hatsukami, JS Raichlen, J Waterton, F Liu, WS Kerwin, T Saam, B Chu, N Takaya, XQ Zhao, W Hamar, C Yuan. Morphology-Enhanced Probabilistic Plaque Segmentation Identifies Regression of the Lipid-Rich Portion of Carotid Plaques after 2 Years of Rosuvastatin Therapy. Presented at: American Heart Association; 12th November, 2006. Chicago, Illinois, USA.