この資料は、英国アストラゼネカ社が12月9日(英国現地時間)に発表しましたプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、皆様のご参考に供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。
タモキシフェン治療中の閉経後ホルモン感受性乳癌患者をアリミデックス®(アナストロゾール)に切り替えることで、死亡リスクを約1/3減少させることができる
英国マクレスフィールド、2005年12月9日(金):
アリミデックス®(アナストロゾール)は、閉経後ホルモン感受性乳癌に対する治療薬として、世界で汎用されているアロマターゼ阻害剤です。閉経後ホルモン感受性乳癌の術後療法において、アリミデックス®で治療することは、従来の標準治療であったタモキシフェンで治療するよりも多くのベネフィットが得られることが証明されています。本日、アロマターゼ阻害剤としては初めて、既にタモキシフェンで治療している患者でも、アリミデックス®に切り替えることで、タモキシフェンを継続するよりも高い延命効果を得られることが発表されました1。米国テキサス州サンアントニオで開催される乳癌の主要な学会San Antonio Breast Cancer Symposium(SABCS*2)でこのたび発表された新たな解析データによると、既にタモキシフェンによる治療を受けている患者においてアリミデックス®に治療を切り替えることによって、閉経後ホルモン感受性乳癌患者において乳癌再発リスクを半分に軽減できるだけでなく、死亡リスクを約1/3減少できることが明らかになりました。
“閉経後ホルモン感受性乳癌において、既にタモキシフェンによる治療を受けている患者がアリミデックス®へ切り替えた試験のメタアナリシスから、今回始めて、アリミデックス®の延命効果がタモキシフェンの効果を超えることが示されました。これらの試験結果は、閉経後ホルモン感受性乳癌の新規症例を対象にアリミデックス®の有用性を証明したATAC試験*4結果と共に、アリミデックス®が最適な治療法であることを示すものです。これからは生存率をより高くするため、2年間タモキシフェンを服用した患者は出来る限り早くアリミデックス®に治療を切り替えるべきです”と、本試験に携わった主要な医師であり、SABCS*2でこのデータを発表したドイツUniversity of KielのDr Walter Jonatはコメントしています。
3つの国際試験 [ABCSG 8(n = 2262)、2,3, ARNO 95(n = 962)3, ITA4(n = 448)]*3では、閉経後ホルモン感受性乳癌患者で、既に2年タモキシフェンによる治療を受けている患者を対象として、5年間タモキシフェンによる治療を継続する群と、アリミデックス®に切り替える群とを比較して、アリミデックス®に切り替えた群の方がタモキシフェン5年継続群よりも有効かどうか検討することを目的とした試験です。Dr Jonatは本日SABCS*2においてこれら3つの試験のメタアナリシス結果を発表しました。発表されたデータによると、追跡期間の中央値30ヶ月において、タモキシフェン投与群と比較して、アリミデックス®に切り替えた群では以下のことが示されました1:
- 全生存期間(overall survival)の29%のリスク改善(HR 0.71; 95% CI 0.52 - 0.98; p=0.0377)
- 無再発生存期間(event-free survival)の45%のリスク改善 (HR 0.55; 95% CI 0.42 - 0.71; p < 0.0001)
- 無遠隔転移生存期間(distant recurrence-free survival)の39%のリスク改善 (HR 0.61; 95%CI 0.45 - 0.83; p=0.0015)
(Event-free survival:局所再発、対側乳癌発生、遠隔転移を含む、あらゆる再発までの生存期間。
distant recurrence-free survival:遠隔転移発生までの生存期間)
これらのデータは、タモキシフェンをアリミデックス®に切り替えることによって、乳癌再発を抑え、遠隔転移を抑制することはもちろん、最終的には多くの閉経後ホルモン感受性乳癌患者の命を救うことを証明しています。
“これはグッドニュースです。我々は毎年、乳癌に対するホルモン療法を大きく変える可能性を持つ臨床試験結果を得ています。本日発表されたデータは、我々が本当に聞きたい言葉「一部の患者にとって、生存する可能性が以前よりも高くなった」という状況により近づいたことを示しています”と、カナダWillow Breast Cancer Support & Resource ServicesのExecutive DirectorであるDallas Petroff氏は述べています。
本日発表されたデータは、現在タモキシフェンを服用している何百万人という閉経後ホルモン感受性乳癌患者がアナストロゾールに切り替えることで再発をさらに抑制できるという朗報です。しかし、現在得られているエビデンスによると、閉経後ホルモン感受性乳癌と診断された新規症例に対しては、手術直後からアリミデックス®による治療を開始すべきであることも重要です5。ATAC試験*4では、術後療法として手術後からアリミデックス®による治療を5年間受けた症例の方が、タモキシフェンを投与された症例よりも有意に再発リスク(遠隔転移、対側乳癌発生リスクを含む)を軽減できること、特にこれらのリスクが最も高まる手術後の3年間において顕著であることが示されています5。さらに、アリミデックス®投与群では、子宮体癌、血栓性疾患、虚血性脳血管障害のリスク増加というような重篤な副作用を経験した症例はタモキシフェン投与群と比較して少数でした5。その他のアロマターゼ阻害剤と同様に、アリミデックス®でもタモキシフェンと比較して骨折のリスクは高くなります。しかし、タモキシフェンに関連すると考えられている上記のような重篤な副作用については予測することはできません。
“ATAC試験*4では、閉経後ホルモン感受性乳癌において、アリミデックス®による治療から始め、その治療を5年間継続することが、タモキシフェンを投与するよりも、再発を抑制することが確認されています。アリミデックス®を術後療法の最初から使用することが、最良の選択肢のひとつであることを示唆しています。今回得られた新たなデータは、現在タモキシフェンを服用している患者にとって重要なニュースであり、それらの患者はタモキシフェン投与2年目にアリミデックス®に切り替えることによって、顕著なベネフィットが得られることを示すものです”と、英国ロンドンのUniversity College London Hospital のProf. Jeffrey Tobiasは述べています。
References
- Jonat W et al. Switching from adjuvant tamoxifen to anastrozole in postmenopausal women with hormone-responsive early breast cancer: a meta-analysis of the ARNO 95 trial, ABCSG Trial 8, and the ITA trial. Abstract No. 18. San Antonio Breast Cancer Symposium 2005.
- Jakesz, R. et al. The benefits of sequencing adjuvant tamoxifen and anastrozole in postmenopausal women with hormone-responsive early breast cancer: 5 year-analysis of ABCSG Trial 8. Abstract No. 13. San Antonio Breast Cancer Symposium 2005.
- Jakesz R, Jonat W, Gnant M et al. Switching of postmenopausal women with endocrine-responsive early breast cancer to anastrozole after 2 years' adjuvant tamoxifen: combined results of ABCSG trial 8 and ARNO 95 trial. Lancet 2005; 366 (9484):455-462.
- Boccardo F, Rubagotti A, Puntoni Met al. Switching to anastrozole versus continued tamoxifen treatment of early breast cancer: Preliminary results of the Italian Tamoxifen Anastrozole trial. Journal of Clinical Oncology 2005; 23 (22):5138-5147.
- ATAC Trialists' Group. Results of the ATAC (Arimidex, Tamoxifen, Alone or in Combination) trial after completion of 5 years' adjuvant treatment for breast cancer. Lancet,2005 365 (9453): 60-62.
Notes to editors
*1アナストロゾールの適応症は国によって異なっており、今回発表されたデータが全ての国での承認範囲内であるとは限りません。詳細は各国のアストラゼネカオフィスにお問い合わせください。
*2SABCS - San Antonio Breast Cancer Symposium
*3
ABCSG-Austrian Breast & Colorectal Cancer Study Group,
ARNO-‘Arimidex’ - ‘Nolvadex’,
ITA-Italian Tamoxifen Anastrozole
*4ATAC - ‘Arimidex’, Tamoxifen, Alone or in Combination
アストラゼネカはがん領域で常に卓説した研究と革新を伝統とし、「アリミデックス®」(アナストロゾール)、「カソデックス」(ビカルタミド)、「FASLODEX」(fulvestrant)、「ノルバデックス®」(タモキシフェン)、「ゾラデックス®」(ゴセレリン)、及び「イレッサ®」(ゲフィチニブ)などのがん治療薬を開発しました。また、腫瘍増殖阻害剤、新生血管阻害剤、腫瘍血管標的剤及び抗浸潤剤など、一連の新しい標的製剤も開発しています。このほか、既存の細胞毒性のある抗がん剤やホルモン治療薬を更に改良した新規化合物を開発するための合理的なドラッグデザイン技術も活用しています。現在、20種類を超える抗がん剤の研究開発プロジェクトを実施中です。
アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造、販売、並びにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。年間214億ドルを超すヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、循環器、呼吸器、がん、および中枢神経の領域の売り上げでリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、Dow Jones Sustainability Index (Global)及びFTSE4Good Indexの構成銘柄に採用されています。
「アリミデックス®」、「カソデックス®」、「FASLODEX」、「ノルバデックス®」、「ゾラデックス®」、及び「イレッサ®」は登録商標であり、アストラゼネカグループ各社がその所有権を有しています。