早期乳がんの新たな標準治療が確立される

これはアストラゼネカ英国本社が2004年12月8日に発信したプレスリリースの日本語訳です。

5年間の追跡調査の結果、閉経後早期乳がん患者における乳がん再発の減少においてアナストロゾール(製品名:アリミデックス)のタモキシフェンに対する優位性が示された

「これは、乳がんの再発を予防する標準治療薬としてアナストロゾールがタモキシフェンの代替薬となりうる可能性を示唆する。今回の結果は、これまでに得た情報の中でも最も重要な根拠となるデータです。」
Professor Anthony Howell, Chair, ATAC Steering Committee

2004年12月8日水曜日 米国 サンアントニオ:
本日、第27回サンアントニオ乳がんシンポジウムにおいて大規模臨床試験ATAC(Arimidex, Tamoxifen Alone or in Combination)トライアルの解析結果が発表されました。本試験は、早期乳がんに関する臨床試験では世界最大規模であり、実施期間もアロマターゼ阻害薬としては最長のものです。

ATACトライアルに登録された患者の大多数において5年間の追跡期間が終了しました。この解析結果の公表により、早期乳がんの治療における画期的な情報が得られました。30年ぶりに、遠隔再発を含む乳がんの再発の予防においてタモキシフェンを上回る効果が証明された薬剤が登場しました。その結果、この重要なデータによって、従来の臨床治療が変わることが予想されます。

この解析の結果、閉経後ホルモン感受性乳がん患者において、アロマターゼ阻害薬アナストロゾールによる5年間の術後補助療法は、これまでの標準的治療薬であるタモキシフェンの効果を上回ることが示された。アナストロゾールはタモキシフェンに比べて

  • 乳がん再発リスクを26%減少
  • 対側乳がん発生リスクを53%減少
  • 遠隔転移のリスクを16%減少

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「乳がん患者は常にベストの治療を受けたいと願っています。今回の結果に基づき、手術後の最も効果的な治療薬としてアナストロゾールを推奨すべきであると考えます。また、同剤はいまや標準的治療薬となり、今後の新薬は同剤を超えなければならないというのが、Steering Committeeの意見です。」とATAC Steering Committeeの委員長で、英国Christie病院のAnthony Howell教授は説明しました。

再発予防は延命につながる

これまでのタモキシフェンの術後補助療法試験では、乳がんの再発リスクを減少することで、生存期間が延長することが示されています。再発後は有効な治療法がないため、進行再発乳がん患者の生存期間は顕著に短縮されます。従って、アナストロゾールによる再発(局所再発および遠隔再発)リスクの減少は、タモキシフェンと比較して、アナストロゾールが生存期間延長においても効果的であることを強く示唆しています。アナストロゾールがタモキシフェンに比べ乳がん死亡率を13%減少させる可能性を示唆するデータが発表されましたが、現時点では延命効果での統計学的な有意性はまだ証明されていません。

最初の5年間の治療が重要

早期乳がん患者の乳がん再発リスクは、腫瘍径(腫瘍のサイズ)やリンパ節転移の状況などの背景予後因子に拘らず、術後5年間が最も高く、最も効果的な治療薬をこの期間中使用することが重要です。

ATAC Steering CommitteeのJean-Marc Nabholtz教授は「今回初めて、直接比較において、推奨されている5年間の治療期間を通じてタモキシフェンに対する優位性を示す薬剤がでてきた。アナストロゾールはこの重要な5年間を通じタモキシフェンを上回る効果を示し、治療終了後においても患者にベネフィットをもたらすのではないかという事実が示唆された。これにより、アナストロゾールはいまやベストの治療薬と見なされるべきであり、手術後なるべく早い時期にすべての適切な患者に対し投与を検討すべきである。」と述べています。

有意に良好な忍容性

今回のデータにより、5年間を通じて、アナストロゾールはタモキシフェンに比べ忍容性が有意に良好であり、同剤の安全性に関する新たな懸念はみられなかったことが報告されました。アナストロゾール治療群でより多くの骨折がみられましたが、この副作用は、タモキシフェンにみられるいくつかの重篤な副作用に比べると、予測および対処が可能なものであると考えられます。タモキシフェンにみられる致命的な有害事象である虚血性脳血管障害、子宮体がんおよび静脈血栓塞栓症などの発現リスクはアナストロゾール群で有意に低いことが示されました。更に、アナストロゾール投与群では、タモキシフェン投与群に比べて、より長い期間治療の継続が可能である傾向がみられました。

このデータに関して、ATAC Steering Committee Co-chair であるDr. Aman Buzdar、は「これらのデータに基づき、ATAC Steering Committee は、もはやタモキシフェンで治療を開始する理由がなくなったと考える。乳がんの再発、有害事象および投薬中止がアナストロゾールに比べタモキシフェン投与患者に多く見られることから、アナストロゾールは、乳がん患者における術後の標準治療薬として認識されるに至った。新たに乳がんと診断された患者における前向きな(プロスペクティブな)術後補助ホルモン療法の試験はアロマターゼ阻害薬ではATACトライアル以外には存在せず、2-3年あるいは5年後にアロマターゼ阻害薬に切り替える前提でのタモキシフェンによる術後補助療法を開始することは推奨されるべきではない。」と述べています。

タモキシフェン既投与患者への朗報

アリミデックスによる5年間の術後補助療法が、今回の新しいATACトライアルのデータにより、乳がんの再発予防における最善の選択肢であることが確認された一方、サンアントニオシンポジウムで本日発表された追加データにより、既にタモキシフェンによる術後補助療法を受けている多くの患者にも朗報をもたらしました。ABCSG8試験とARNO95試験双方のデータによりタモキシフェンを2-3年投与後、アリミデックスに切り替えた場合、タモキシフェンを継続投与した場合にくらべて、乳がん再発リスクは41%軽減されることが示されました。これらの追加データはアリミデックスが閉経後早期乳がんの術後補助療法の新しい標準薬としてタモキシフェンの代替薬となることを支持する更なる根拠を提供するものです。

その他

最近発表された術後補助療法におけるアロマターゼ阻害薬の使用に関するASCO(米国臨床腫瘍学会)テクノロジーアセスメントの更新内容は、臨床医に対し、新たに診断された患者に対しても、既にタモキシフェンによる治療を開始している患者に対しても、アリミデックスは今やルーチンとして投与可能なことを報告しています。新しいガイドラインは「ノノホルモン感受性のある閉経後乳がん患者における最適な術後補助ホルモン療法は、初回治療においてもあるいはタモキシフェンによる治療後においてもアロマターゼ阻害剤を含むべきであり、それぞれの臨床状況におけるデータを有するアロマターゼ阻害薬を使用することが好ましい。」としています。アリミデックスはアロマターゼ阻害薬のなかでも、数多くの臨床試験データを有する薬剤であるとともに、初回術後補助療法ならびにタモキシフェンによる治療からの切替を支持するデータを有する唯一のアロマターゼ阻害剤です。従って、アリミデックスは、EBM(根拠に基づく医療)の観点から、どちらの状況においてもタモキシフェンの代替薬として好ましい選択肢です。

References

  1. Howell A, on behalf of the ATAC Trialists' Group. The ATAC('Arimidex', Tamoxifen, Alone or in Combination)trial in postmenopausal women with early breast cancer - updated efficacy results based on a median follow-up of 5 years. Abstract No. 1, San Antonio Breast Cancer Symposium 2004.
  2. Early Breast Cancer Trialistsユ Collaborative Group. Tamoxifen for early breast cancer: an overview of the randomized trials. Lancet 1998; 351: 1451 - 1567
  3.  Jakesz R, et al. Benefits of switching postmenopausal women with hormone-sensitive early breast cancer to anastrozole after 2 years adjuvant tamoxifen: combined results from the 3,123 women enrolled in the ABCSG Trial 8 and ARNO 95 Trial. Abstract No. 2, San Antonio Breast Cancer Symposium 2004.
  4. Winer EP, Hudis C, Burstein HJ et al .American Society of Clinical Oncology Technology Assessment on the Use of Aromatase Inhibitors As Adjuvant Therapy for Postmenopausal Women With Hormone Receptor-Positive Breast Cancer: Status Report 2004. Available on line @ www.JCO.org. To be published in the J Clin Oncol, January 20, 2005.

Notes to Editors

本試験に登録された患者全体において(the intent to treat, ITT population), 遠隔再発のハザード比(HR)は 0.86, p = 0.04 - すなわち、アナストロゾールが統計学的に有意に優ることを示した。ホルモン感受性のあるグループにおいて(全体の84%)、患者の予後が良好であるため、イベント数が少なく、有意差がでなかった。(p=0.06) しかし、予想通り、遠隔再発のハザード比(HR)はホルモン感受性のある患者において実際に優っており(0.84)、この差異は時間の経過とともに有意なものとなると予想される。

アナストロゾールにみられる骨折の発現率は、タモキシフェンやHRT(ホルモン補充療法)を施行されていない同年代の女性にみられる発現率と同様である。タモキシフェンもHRTも骨強度を保護する効果を有することが知られている。更に、骨折率は一定しており、時間の経過とともに悪化するというエビデンスはない。また、最も高い罹病率および死亡率に関連する骨粗しょう症による骨折である股関節骨折の発現率において、タモキシフェンとアナストロゾールの間に差異はない。

アストラゼネカは、医療用医薬品の研究、開発、製造ならびにヘルスケアサービスの提供などのヘルスケア事業を世界的に展開している医薬品メーカーです。年間188億ドルを超すヘルスケア事業の売上高を有し、消化器、オンコロジー、循環器、ニューロサイエンス、呼吸器製品の売上でリーディングポジションを確立しています。アストラゼネカは、社会的責任投資指標であるDow Jones Sustainability Index(Global)およびFTSE4Good Indexに選定されています。

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