アストラゼネカ株式会社は、12月5日に開催されました「本剤使用との関連が疑われている急性肺障害、間質性肺炎の検討を目的とする第1回専門家会議」の内容についてお知らせします。
同社は、日本医科大学第4内科工藤翔二主任教授を委員長として、本剤使用との関連が疑われている急性肺障害、間質性肺炎の検討を目的とする第1回専門家会議を立ち上げ、12月5日(木)午後3時より7時まで東京にて第一回会議を開催いたしました。
専門家会議委員医師(敬称略)は次のとおりです。
工藤 翔二 日本医科大学 第4内科学教室 主任教授
貫和 敏博 東北大学加齢医学研究所
呼吸器腫瘍研究分野 教授
西條 長宏 国立がんセンター中央病院 薬物療法部 部長
永井 厚志 東京女子医科大学呼吸器センター
呼吸器内科 教授
酒井 文和 東京女子医科大学 放射線医学 教授
久保 恵嗣 信州大学 内科学第1教室 教授
福田 悠 日本医科大学 病理学第1教室 主任教授
楠本 昌彦 国立がんセンター中央病院
放射線診断部 医長
アストラゼネカ株式会社およびアストラゼネカ英国本社の腫瘍学、呼吸器学、安全性の専門家が協力しています。
本専門家会議の主旨は次のとおりです。専門家会議は、本剤を服用した症例において発現した肺障害の報告例を検討することである。当会議はまた、急性肺障害、間質性肺炎の診断ならびに早期発見法、発現リスクの同定、因果関係の判定、現行もしくは将来行われる臨床試験に与える影響を検討する。
2002年12月5日に開催された第1回会議の検討結果は次のとおりです。この結果は、出席された全員の専門家医が第一回会議の検討結果として、当社に答申された内容です。
- 本剤は進行非小細胞肺癌という治療の選択肢が少ない疾患に対して有効性を示す薬剤であり、QOLの向上という点からも重要な薬剤である。
- 重篤な状態の進行非小細胞肺癌の患者においては、本剤によるベネフィットは、副作用のリスクより大きいと考えられる。
- 本剤の投与を受けた患者さんにおいて報告された急性肺障害、間質性肺炎の発現率は、他の肺癌治療における発現率より有意に高いとは言えない。
- 専門家委員は、投与される患者数が多いことから、急性肺障害、間質性肺炎は大変重要な問題であると認識している。
- 急性肺障害、間質性肺炎の確定診断は非常に難しい問題である。
- 急性肺障害、間質性肺炎、ならびに本剤との因果関係を検討する評価基準の作成は有用であり、引き続き検討される。
- 専門家委員は、現時点では、当社ならびに本剤を処方する医師に対して、特発性肺線維症(IPF)*を合併している患者に対して、本剤の投与を禁ずることに対して慎重に検討するべき、と考察した。
* 慢性経過の肺線維症
専門家会議の設立は、同社が処方医に十分に情報を伝達し、患者が不必要にリスクにさらされないことを確かとするために行ってきた一連の施策の最新のものです。
施策は次のとおりです。
- MRによる本剤使用医療機関への説明強化
- 厚生労働省へ迅速に全急性肺障害、間質性肺炎副作用例を報告
- 急性肺障害、間質性肺炎と疑われた症例数は、10月の記者会見をさかいに減少傾向にある。
- 報告プロセスに関する社内調査、および大阪府による立ち入り検査によって副作用報告プロセスは法に遵守しているということが明らかになった。
- 厚生労働省との全面協力
この会議は本年末までに第2回目、さらに2003年1月に第3回目の開催を予定しております。当社は進行中のプログラムによって当局および処方医と密に連絡をとりながら、急性肺障害、間質性肺炎の診断をより確実なものにし、本剤がより適切に使用されるよう全面的に努力を続けます。