ZD0473:新世代抗癌剤は「耐性」腫瘍の治療に有望である。

米国臨床腫瘍学会(ASCO)第37回年次総会(米国サンフランシスコ)において本日発表されたデータ

アストラゼネカが日本を含む世界中で開発中のZD0473はプラチナ製剤に耐性となった癌に臨床効果を示す新世代のプラチナ製剤です。癌治療において、プラチナ製剤は現在多種の癌に幅広く使用されていますが、腫瘍が耐性をもつことにより、効果が減弱することが問題となっています。ZD0473は新規の作用機序により、プラチナ製剤感受性癌だけでなく、耐性癌にも効果を示すことが期待されています。さらに、従来のプラチナ製剤がもつ腎毒性・神経毒性が認められないことも特徴です。

米国サンフランシスコで開催されているASCOで、プラチナ製剤に耐性となった癌に臨床効果を示す新世代のプラチナ製剤が報告された。この新薬は現在アストラゼネカ社にて世界で開発中のZD0473である。癌治療において、プラチナ製剤は現在多種の癌に幅広く使用されているが、腫瘍が耐性をもつことにより、効果が減弱することが問題となっている。ZD0473は新規の作用機序により、プラチナ製剤感受性癌だけでなく耐性癌にも効果を示すことが期待されている。さらに、従来のプラチナ製剤がもつ腎毒性・神経毒性が認められないことも特徴である。

今週ASCOで初めて発表された試験結果によると、新世代プラチナ製剤ZD0473が、一次化学療法後に再燃した卵巣癌患者に対し、有効な治療の選択肢を提供できる可能性が示唆された。この結果は、卵巣癌の二次治療としてZD0473単独療法を行った第II相試験からの予備データで、本剤の副作用が管理可能で、プラチナ製剤療法に対して感受性のある患者と耐性の患者の両方に奏効することが示された[1]。

卵巣癌を対象とした第II相試験において、29名の患者に関するデータが解析された。これらの患者のうち14名はプラチナ療法感受性(最初の治療から26週以降に再燃あるいは増悪)、15名はプラチナ療法耐性(26週以内に再燃あるいは増悪)と定義された。ZD0473は3週毎に、1時間かけて静脈内注入された。初回用量は120mg/m2で、この用量において忍容性が良好な場合、その後は150mg/m2に増量された。これまでに合計84サイクルが投与されている。奏効率は、「耐性」患者で14%(14名中2名)と「感受性」患者で42%(12名中5名)であった。さらに、不変は「耐性」患者で2名に「感受性」患者で3名に認められ、このうち3名には腫瘍の縮小が確認された。ZD0473の副作用は管理可能であり、薬剤関連性の血液学的副作用あるいはその他の副作用による試験からの脱落例は無かった。特筆すべきこととして、臨床上問題となる神経毒性や腎毒性(従来のプラチナ製剤では一般的に見られる毒性)は認められなかった。

この結果をうけて、英国ロンドンのRoyal Marsden病院NHSトラスト所属のMartin Gore博士とZD0473の治験責任医師は、「ZD0473について判断するのは明らかに時期尚早であるが、我々の試験結果から、卵巣癌患者の治療法はZD0473により将来大きく進歩する可能性があることが確実に示された。ZD0473には忍容性に関して、シスプラチンを凌駕する可能性が多くあり、シスプラチンによる治療を受けている患者における、腎臓および神経系へのダメージを軽減することができる可能性がある。耐性発現は日常の診療の中で高頻度に観察され、治療の選択肢を強く制限するものである。ZD0473が、他のプラチナ化合物に耐性になった腫瘍に有効であるという可能性を、我々はさらにわくわくしながら追求し続けるつもりである」と述べた。

プラチナ耐性腫瘍の治療におけるZD0473の有効性を裏付ける証拠は、卵巣癌に限ったものではない。本日ASCOで発表された別の試験においても、一次化学療法後に再燃した小細胞肺癌患者における同様の効果が示された。卵巣癌における第Ⅱ相試験と同じ投与スケジュールで、これまでに26名の患者が治療された。米国シカゴのRush-Presbyterian-St Luke医療センター所属のBonomi教授は、評価可能なプラチナ「耐性」患者5名のうち1例で著効を認めるとともに、評価可能なプラチナ「感受性」患者17名において有効3例、および6例において不変を認めた。[2]

プラチナ製剤による治療は、肺癌、卵巣癌、精巣腫瘍のような固形癌の治療に広く用いられている。プラチナ製剤はDNAに直接結合して、DNAに損傷を与えることで抗癌作用を発揮する。この損傷があまりに重度で細胞内の修復機構で修復されない場合、細胞は自然死(アポトーシス)を迎える。多くの固形癌は最初はプラチナ製剤を基本とする治療に反応するが、ほとんどの場合その治療に耐性となり、癌が再燃する。ZD0473の化学構造は、これらの耐性の問題を克服するようにデザインされたもので、研究レベルでは現在のプラチナを基本とする治療法に対する耐性を克服することがすでに示されている[3]。本日発表された試験結果は、このZD0473の予想されたプロファイルが臨床的にも確認されたということを示している。非小細胞肺癌、中皮腫、ホルモン耐性前立腺癌、乳癌、子宮頸癌、膀胱癌を含めた種々の癌腫を対象として、多数の第I相試験および第II相試験が現在行われている。これらの試験や他の有望な第II相試験の結果に基づき、ZD0473の第III相臨床試験が現在計画されつつある。

アストラゼネカ社は医療用医薬品の研究・開発・製造・販売と、ヘルスケアサービスの供給に携わる国際的企業である。当社は世界の5大製薬会社の1つで、ヘルスケアに関する売上高は150億ドルであり、消化器用薬、抗腫瘍薬、疼痛管理を含めた麻酔薬、心臓血管系関連薬、中枢神経系薬、呼吸器関連薬の売上高ではリーディング・プロダクトである。

ZD0473については、アストラゼネカがAnorMED社(カナダ)から世界での専売特許権を取得している。

 

 

参考:

  1. Gore M, Atkinson RJ, Dirix L et al. ZD0473 Phase II monotherapy trial in second-line Ovarian Cancer. ASCO, San Francisco, 12th-15th May 2001.
  2. Bonomi P, Modiano M, Cornett P et al. Phase II trial to assess the activity of ZD0473 in patients with small-cell lung cancer who have failed one prior platinum-based chemotherapy regimen. ASCO, San Francisco, 12th-15th May 2001.
  3. Dizon DS, Yan XJ, Spriggs D. A comparison of gene expression analyses in SKOV-3 wild type and resistant ovarian carcinoma cells following treatment with cisplatin and a non-cross resistant platinum analogue ZD0473. AACR. New Orleans, 24th-28th March 2001