麻酔領域で日本初のTCIを可能にする「1%ディプリバン®注-キット(一般名: プロポフォール)」本年3月承認、6月発売へ

全身麻酔・鎮静用剤「1%ディプリバン®注(一般名:プロポフォール)」は、1995年12月の国内発売以来、手術中の全身麻酔のみならず、集中治療における人工呼吸中の鎮静にも広く使用されてまいりました。同製品は、世界的にも静脈内投与の全身麻酔薬としてNo.1の販売実績を有しており、英国女王技術賞を受賞するなど、各国で非常に高い評価を得ております。

さて、この度(本年3月14日)国内承認された「1%ディプリバン®注-キット」は、プロポフォールがあらかじめシリンジに充填されたキット製品で、海外では「Prefilled Syringe:PFS」といわれる、ディプリバン®の新剤形です。PFSは、あらかじめ薬液がシリンジに充填されているため、準備時間の短縮や汚染防止等の安全面においても大きなメリットがあり、また医療事故防止にも貢献できると期待しております。また、今回のキットの承認にあわせて、「全身麻酔の導入及び維持」の適応に対する用法・用量に、目標血中濃度調節投与(target controlled infusion、TCI)機能を用いる投与方法が追加されました。

従来より、静脈麻酔では投与速度を調節することにより麻酔深度を調節する方法が一般的ですが、静脈麻酔は速やかに意識を消失させることができる反面、麻酔深度の調整が難しいといわれてきました。しかし近年、静脈麻酔薬の薬物動態に関する研究が進み、特に諸外国においては、それに基づいたコンピューター補助式の投与方法である「Target Controlled Infusion:TCI」が確立し、簡便で確実な静脈麻酔が可能となっています。

プロポフォールをTCI投与するためのシリンジポンプ(ディプリフューザーTCIポンプ)は本年3月に国内で承認されました。「1%ディプリバン®注-キット」とこのシリンジポンプを使用することで、TCI機能を用いるプロポフォールの投与が可能となります。TCIシステムを用いた麻酔管理は、導入や深度調節を容易にすると考えられ「吸入麻酔の気化器の登場時にも匹敵する」といわれております。

この度、日本においてディプリバン®のPFS及びディプリフューザーTCIポンプが承認されたことにより、TCIを用いたより簡便で確実な麻酔管理への道が開けつつあります。

※「1%ディプリバン®注‐キット」は、本年6月に薬価収載、発売を予定しております。

表1
[用法及び用量]

1.全身麻酔の導入及び維持
1) ディプリフューザー TCI機能を用いない投与方法
(1) 導入
通常、成人には本剤を0.05mL/kg/10秒(プロポフォールとして0.5mg/kg/10秒)の速度で、患者の全身状態を観察しながら、就眠が得られるまで静脈内に投与する。なお、ASAⅢ及びⅣの患者には、より緩徐に投与する。
通常、成人には本剤0.20~0.25mL/kg(プロポフォールとして2.0~2.5mg/kg)で就眠が得られる。高齢者においては、より少量で就眠が得られる場合がある。就眠後は必要に応じて適宜追加投与する。
(2) 維持
通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。通常、成人には、本剤0.4~1.0mL/kg/時(プロポフォールとして4~10mg/kg/時)の投与速度で適切な麻酔深度が得られる。
また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。
なお、局所麻酔剤併用時には通常より低用量で適切な麻酔深度が得られる。

2) ディプリフューザーTCI機能を用いる投与方法
(1) 導入
通常、成人にはプロポフォールの目標血中濃度3.0μg/mLで静脈内に投与を開始し、投与開始3分後に就眠が得られない場合には1分毎に1.0~2.0μg/mLずつ目標血中濃度を上げる。通常、目標血中濃度3.0~6.0μg/mL、投与開始後1~3分で就眠が得られる。
高齢者、ASAIII及びIVの患者には、より低い目標血中濃度で投与を開始すること。
(2) 維持
通常、酸素もしくは酸素・亜酸化窒素混合ガスと併用し、本剤を静脈内に投与する。適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、目標血中濃度を調節する。通常、成人には、目標血中濃度2.0~5.0μg/mLで適切な麻酔深度が得られる。
また、鎮痛剤(麻薬性鎮痛剤、局所麻酔剤等)を併用すること。

2.集中治療における人工呼吸中の鎮静
成人(高齢者を含む)には本剤を0.03mL/kg/時(プロポフォールとして0.3mg/kg/時)の投与速度で、持続注入にて静脈内に投与を開始し、適切な鎮静深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を調節する。
通常、成人には本剤0.03~0.30mL/kg/時(プロポフォールとして0.3~3.0mg/kg/時)の投与速度で適切な鎮静深度が得られる。
なお、疾患の種類、症状の程度を考慮し、必要とする鎮静深度に応じて投与速度を増減すること。また、必要に応じて鎮痛剤を併用すること。