アナストロゾールによる閉経後進行再発乳癌治療はその後のタモキシフェンの治療効果に影響を及ぼさない

EBCC - Medical press release
Location: 2nd European Breast Cancer Conference, Brussels より

9月26~30日ベルギーのブリュッセルにて開催された第2回ヨーロッパ乳癌学会においてアナストロゾールの閉経後ホルモン受容体陽性進行再発乳癌に対する、一次治療薬としての有用性が発表された。

今回の臨床試験は、アナストロゾールによる一次治療が、その後の二次治療としてのタモキシフェンの治療効果を打ち消すものではないという確信を臨床医に与えるものである。

同じデザインの2つの無作為化二重盲検比較試験(ヨーロッパを中心として実施されたIL0027試験および北米を中心としたIL0030試験)に登録された総数1,021例の閉経後進行再発乳癌患者を総合解析し、一次治療薬としてアナストロゾール(1mg/日)を使用した場合とタモキシフェン(20mg/日)を使用した場合の有効性と忍容性の比較検討を行った。
主要評価項目は、病勢進行までの期間(Time To Progression:TTP)、奏効率、および忍容性であった。

追跡期間18.2ヶ月(中央値)の後、登録された患者のうちホルモン受容体陽性が確認された611例のデータを、分析したところ、アナストロゾールは、タモキシフェンに比べてTTP(病勢進行までの期間)を有意に延長することが証明された(アナストロゾール 中央値10.7カ月 vsタモキシフェン中央値6.4カ月、p=0.022、両側検定**)。両治療群ともに忍容性は良好であったが、薬理学の観点から予測されたように、アナスロトロゾール群では血栓症と性器出血の発生件数がより少なかった(血栓塞栓症:アナストロゾール4.5% vs タモキシフェン7.6%、性器出血:アナストロゾール1.0% vs タモキシフェン2.2%)。

アナストロゾールを一次治療薬として投与された137例は、二次治療薬としてタモキシフェンの投与を受けていた。このうち98例に関する予備的なデータによれば、56例においてアナストロゾール治療後の二次治療としてのタモキシフェン投与により、完全寛解(CR)、部分寛解(PR)、24週以上にわたる長期の病状安定(Long NC)などの臨床的な有効性が認められた。

第2、第3世代のアロマターゼ阻害剤のうちアナストロゾールが最も臨床使用例が豊富で、しかも一次治療薬としての有効性が確立されている。臨床試験の主任研究者の一人であるジョン・ロバートソン教授は、「本研究の重要性は、アナストロゾールがホルモン受容体陽性の進行再発乳癌患者の一次治療薬として用いられるべき点を明らかにしたばかりでなく、その後のタモキシフェン治療が有効な治療選択肢になり一次治療薬としてどの薬剤を選択するかを決定する際に、患者や医師に自信を与えるものである」と述べている。

今回の試験結果はアナストロゾールがホルモン感受性のある閉経後進行再発乳癌患者に対して、タモキシフェンと比較してより有効で、少なくとも同等の忍容性を示した。“早期乳癌”においてはアナストロゾールがタモキシフェンと比較してどのように位置づけられるのかはまだ明らかではない。

アナストロゾールがその後のタモキシフェンによる治療に影響を及ぼさないのは作用機序が異なる為であると推察される。そこでこの作用機序の異なる2つのホルモン剤を併用した場合に、治療有効性の向上が期待されるがこの点に関しては2001年に発表されるATAC試験で明らかにされる。ATAC試験は、過去に類を見ない規模で行われ、早期乳癌の術後補助療法におけるアナストロゾールとタモキシフェン及び両剤併用時の有効性と忍容性を比較する目的で実施されており、特に両剤の併用治療における治療効果の向上が期待されている。

University College Hospital in Londonの教授でATAC試験の運営委員長を務めるMichael Baum教授は、「乳癌治療においてタモキシフェン単独治療の意義はすでに確立しているが、われわれは今、アナスロトゾールなどの新しい薬剤をタモキシフェン治療にどのような順序で組み込むことができるのか、あるいは併用療法が選択肢の一つとなりうるのか、という、新たな課題に取り組んでいる。こうした検討の結果は治療成績を向上させ、治療選択肢を拡大する可能性がある。来年にはATAC試験の結果が発表されこのような可能性に対するわれわれの理解を広げる画期的な年なるだろう」と強調した。

注)文中の医薬品「アナストロゾール」は日本においては現在承認申請中です。


注: *本研究においては、ホルモン受容体陽性とはエストロゲン受容体(ER)陽性または/かつプロゲステロン受容体(PgR)陽性を指す。

**今回の総合解析では、ホルモン受容体の陽性/陰性だけでなく、試験前に受けた内分泌療法、患者の年齢や病期についても解析が行われたがホルモン受容体の陽性/陰性のみが、アナストロゾールとタモキシフェンの臨床効果の比較に有意な影響を与えることが判明した。

補足説明:

  •  アナスロトゾールは、強力な選択的非ステロイド性アロマターゼ阻害剤であり、エストロゲンの産生を阻害することによって治療効果を発揮する。卵巣でのエストロゲン産生が停止した閉経後女性では、副腎由来のアンドロゲンがアロマターゼによってエストロゲンに変換される。アナストロゾールは閉経後女性において、この変換過程を強力に阻害することによって血漿中のエステロゲン値を検出限界以下にまで低下させる。
  •  アナストロゾールは現在以下の国で、閉経後の進行再発乳癌患者の一次治療薬として認可されている:米国、英国、イタリア、フランス、ドイツ、カナダ、スペイン、オーストリア、ベルギー、ブラジル、デンマーク、フィンランド、アイルランド、ルクセンブルグ、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、南アフリカ、スロバキア、スイス
  • アナストロゾールはさらに多くの国で、タモキシフェンやその他の抗エストロゲン剤による治療後に進行した閉経後の進行性乳癌に対する治療薬として使用されている。