リムパーザによる維持療法、SOLO-1第III相試験にてBRCA遺伝子変異陽性の新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの病勢進行または死亡のリスクを70%低減

本資料はアストラゼネカ英国本社が2018年10月21日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。


~プラチナ製剤ベースの化学療法後の3年時無増悪生存割合が
プラセボ投与群患者さん27%に対し、リムパーザ投与群患者さんは60%~
 

~リムパーザは進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として
無増悪生存期間の延長を証明した唯一のPARP阻害剤~

 

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)およびメルク・アンド・カンパニー(本社:米国ニュージャージー州ケニルワース、以下「メルク(北米以外ではMSD)」)は、2018年10月21日、プラチナ製剤を含む標準的な化学療法による初回治療後に完全奏効または部分奏効を示しているBRCA遺伝子変異陽性(BRCAm)の新たに進行卵巣がんと診断された患者さんに対する維持治療としてのリムパーザ錠(一般名:オラパリブ)の第III相SOLO-1試験の詳細結果を発表しました。

本試験結果において、リムパーザ投与群はプラセボ投与群との比較で、病勢進行あるいは死亡のリスクを70%低減させ(ハザード比 0.30 [95% 信頼区間 0.23-0.41], p<0.001)、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な無増悪生存期間(PFS)の延長を示しました。無作為割付けから41カ月後の時点で、プラセボ投与群の患者さんのPFS中央値は13.8カ月に対し、リムパーザ投与群の患者さんでは未到達(Kaplan-Meier曲線が50%を下回っていない)でした。36カ月後の時点でリムパーザ投与群の患者さんのうち60%、プラセボ投与群の27%に病勢進行は見られませんでした。本データは2018年ドイツのミュンヘンで開催中のESMO(欧州臨床腫瘍学会)のプレジデンシャルシンポジウムにおいて発表されると同時にNew England Journal of Medicine(NEJM)のオンライン版に掲載されました。

治験医師の評価に基づくPFSのカプラン・マイヤー推定値

From the New England Journal of Medicine, Moore K, Colombo N, Scambia G, et al. Maintenance olaparib in patients with newly diagnosed advanced ovarian cancer. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMoa1810858. Copyright © 2018 Massachusetts Medical Society. Reprinted with permission from Massachusetts Medical Society.

PFSの結果概要1,2

1治験医師による評価
2
追跡期間中央値(四分位範囲)はリムパーザが40.7カ月(34.9–42.9)、プラセボが41.2カ月 (32.2–41.6)
3
解析はイベント発現割合50.6%の時点で実施

アストラゼネカのグローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサーであるSean Bohenは次のように述べています。「進行卵巣がん患者さんの70%が初回治療後3年以内に再発するため、現在も治療に対して大きなアンメットニーズが存在します。新たに診断されたBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がん患者さんの60%において3年間病勢進行がみられなかったというSOLO-1試験の卓越した結果は、初回治療におけるリムパーザの維持療法としての可能性を強調するものです」。

MSDリサーチラボラトリーズのシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発の責任者兼チーフメディカルオフィサーである Roy Baynes は次のように述べています。「オンコロジーの研究における両社共通の目標はがん患者さんの長期的なアウトカムを改善することです。SOLO-1試験の結果から、リムパーザは、BRCA遺伝子変異陽性の新たに進行卵巣がんと診断された患者さんにおける、プラチナ製剤を含む化学療法後の病勢進行リスクの低減において有意かつ臨床的に有意義な改善を示した唯一のPARP阻害剤であることが証明されました。両社はこれらの患者さんに対するリムパーザの承認を一日でも早く取得するため規制当局と協働しています」。

SOLO-1試験の共同治験統括医師かつ米国オクラホマ市にあるオクラホマ大学Stephenson Cancer Centerの臨床研究部副部長であるKathleen Mooreは次のように述べています。「多くの卵巣がん患者さんは、残念ながら長期生存率が非常に低い進行がんの段階で診断されます。ひとたび卵巣がんが再発すると、概ね根治不可能なため、新規に診断された時点が持続的な寛解を達成する最善の機会です。SOLO-1試験の結果は、治療のより早期からのリムパーザによる維持療法の可能性を示すとともに、診断時に患者さんのBRCA遺伝子変異の有無を把握することの重要性を強調しています。すなわち、本結果は進行BRCA遺伝子変異卵巣がん患者さんの治療法を変える可能性を秘めています」。

SOLO-1の安全性プロファイルは過去の臨床試験に見られた結果と一貫していました。発現率20%以上の最もよく見られた有害事象は悪心(77%)、疲労・無力症(63%)、嘔吐 (40%)、貧血(39%)および下痢 (34%) でした。最もよく見られたグレード3以上の有害事象は貧血(22%)および好中球減少(9%)でした。リムパーザ投与群患者さんの72%は推奨初回用量を継続しました。さらに、リムパーザ投与群患者さんの88%は有害事象によって中止することなく治療を継続しました。

アストラゼネカとMSDは現在実施中のGINECO/ENGOTov25第III相試験であるPAOLA-1試験を含む卵巣がんの追加試験を追求しています。PAOLA-1試験ではBRCA遺伝子変異の有無を問わず、新たに進行卵巣がんと診断された患者さんの初回治療後の維持療法としてリムパーザとベバシズマブの併用療法を検討しています。本試験の結果は2019年下半期に得られると予想されています。

現在リムパーザはBRCA遺伝子変異の有無を問わずプラチナ製剤感受性再発卵巣がん治療薬として60カ国以上で承認されており、米国、カナダ、日本およびオーストラリアでは生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性HER2陰性転移乳がんの治療薬として承認されています。

以上

*****

SOLO-1試験について
SOLO-1試験はBRCAmの新たに進行卵巣がんと診断された患者さんを対象としたリムパーザ錠(300 mg 1日2回 )のプラチナ製剤を含む化学療法後の維持療法としての有効性および安全性をプラセボと比較評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験です。本試験はプラチナ製剤ベースの化学療法による前治療を受け、完全奏効または部分奏効を示している病的変異あるいは病的変異疑いに分類される BRCA 1または BRCA 2 遺伝子変異が確認されている 391 例の患者さんを無作為に割り付けました。患者さんはリムパーザ投与群あるいはプラセボ投与群に無作為に割り付けられ(2:1)、最長2年間あるいは病勢進行の時点まで(治験医師の判断による)治療薬の投与を受けました。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、主な副次的評価項目は2次進行もしくは死亡までの期間および最初の後治療開始までの期間、全生存期間を含みます。

リムパーザについて
リムパーザ (オラパリブ) は、ファーストインクラスのポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤であり、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する最初の標的治療薬です。特に、複数のin vitro試験によりリムパーザによる細胞毒性はPARP酵素活性の阻害およびPARP-DNA複合体の生成を増加させる可能性があり、その結果DNA損傷およびがん細胞死が生じることが示されています。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のがん種において開発が進行中です。

リムパーザは、アストラゼネカとMSDにより共同で開発および商業化されており、進行卵巣がんおよび転移性乳がんの治療薬として承認され、現在までに全世界で2万人を超える患者さんに使用されてきました。リムパーザはPARP阻害剤としては最も広範囲かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは本剤が単剤療法として複数のPARP依存性腫瘍に与える影響およびを複数のがん種における本剤の併用療法を解明するために協働しています。リムパーザはアストラゼネカの業界を主導するがん細胞のDNA損傷応答(DDR)メカニズムを標的とする新薬候補のポートフォリオの基盤となる化合物です。

卵巣がんについて
卵巣がんは全世界で、女性のがんによる死因のトップで5年生存率は19%iです。2018年には、約29万5,000人が新たに診断され、約18万4,799人が死亡iiしました。新たに進行卵巣がんと診断された患者さんにとって治療の最大の目的は、完全緩解または根治の達成を目指し、病勢の進行を出来る限り遅らせ生活の質を維持することです。iii,iv,v,vi

BRCA遺伝子変異について
BRCA
1およびBRCA2は損傷したDNAの修復を担うタンパクを生成するヒト遺伝子であり、細胞内遺伝子の安定性維持に重要な役割を果たします。これら遺伝子のいずれかが変異あるいは変化すると、BRCAタンパクが生成されないまたは正常に機能せず、DNA損傷が適切に修復されず細胞が不安定になる可能性があります。その結果、細胞はがん化につながるさらなる遺伝子変化を起こす可能性が高くなります。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、アストラゼネカと北米以外ではMSDとして知られる米国ニュージャージー州ケニルワースに本社を置くメルク・アンド・カンパニーは、アストラゼネカの世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブの複数のがん種における共同開発・商業化に関するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。共同で、両社はリムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として開発します。また、単独で、各社は各々のPD-L1およびPD-1医薬品との併用療法としてリムパーザおよびセルメチニブを開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、急速に拡大しつつある患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを保持しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたNew Oncologyをアストラゼネカの成長基盤として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子と耐性、DNA損傷応答および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

 

i  American Cancer Society. Survival Rates for Ovarian Cancer, by Stage. Available at: https://www.cancer.org/cancer/ovarian-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html. Accessed: October 2018

ii  Globocan 2018 http://gco.iarc.fr/

iii  Moore K et al. Maintenance Olaparib in Patients with Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer. Presented at ESMO October 2018

iv  Raja, F. A., Chopra, N. & Ledermann, J. A. Optimal first-line treatment in ovarian cancer. Ann. Oncol. Off. J. Eur. Soc. Med. Oncol. 23 Suppl 10, x118-127 (2012

v  NHS Choices, Ovarian Cancer Accessed https://www.nhs.uk/conditions/ovarian-cancer/treatment/ in September 2018

vi  Ledermann.et al. 2013. Newly diagnosed and relapsed epithelial ovarian carcinoma: ESMO Clinical Practice.