庭文 淳志
Niwafumi Atsushi

オペレーション本部 品質保証部 製品品質グループ 品質保証スペシャリスト

 

医薬品と患者さんの「架け橋」として、終わりなき品質保証に挑む

人の生命に関与する医薬品に求められる、厳格な品質管理

私は、滋賀県にあるアストラゼネカの国内唯一の生産拠点である米原工場に勤務しています。米原工場では国内外から入荷した中間製品を包装し、日本各地に出荷しています。

人の生命に関与する医薬品には、厳格な品質管理が求められます。私が担当する「品質保証」業務は、出荷前の医薬品について、品質を確実に担保する仕組みをつくり、それを厳格に運用するというもので、主に三つの業務を担っています。一つ目は、医薬品の出荷に対する品質保証です。具体的には、製品が手順に基づいて製造されたか、品質試験の結果に問題がなかったか、製造した記録が適切であるかを確認する業務です。次に、製造時に何らかのトラブルが発生した場合、原因の究明や、品質への影響を確認するとともに、再発予防に向けた改善策を検討することが二つ目の業務です。これは、実際の包装業務に携わる生産部門に加え、設備管理を担うエンジニアリングチームや、製造工程の検証などを行うバリデーションチームなどの関連部門と密にコミュニケーションを取りながら、現場でテストを実施するなどして問題解決を図っていきます。三つ目としては、アストラゼネカが新たに製造販売する新薬の導入準備にも携わっています。新薬を安定して製造するために、事前に起こりうるトラブルを想定し、未然に防ぐための手立てや手順を考案しています。

品質保証は、医薬品を患者さんにお届けするための最後の関門として重要な役割を担っており、患者さんへの貢献も非常に大きな仕事だと自負しています。

変化を楽しみながら、チャレンジする企業文化


医薬品の品質保証を確立していく上で、最も重要なポイントは「変化を恐れず、その変化に迅速に対応すること」と考えています。特にアストラゼネカは、オンコロジー、循環器・代謝・腎領域、呼吸器といった幅広い領域で医薬品の研究開発を進めており、豊富なパイプラインを備えています。製造ラインナップも次々に増えていくことから、必然的に米原工場の現場は変化のスピードが早い環境です。こうした状況に対応するため、アストラゼネカでは「スピークアップ」という文化を促進しています。スピークアップ文化とは、社員一人ひとりが自身の考えや業務の中で課題に感じたことを積極的に発信し、同僚の意見を尊重し互いに議論する、オープンな職場環境のことです。品質保証の業務は、仕組みづくり以上に、現場で正しく運用されることが重要です。机上の空論ではなく、現場の実態に即した内容でなければ仕組みは定着しません。そのため、現場の責任者のみならず、実際に作業をするメンバーとも頻繁に話をしています。「スピークアップ」の文化は現場を知る上でとても有用で、対話を通じて、自分が作成した仕組みの課題について、初めて見えてくることはたくさんあります。

社員全員が変化を受け入れ、それを楽しみながら新しいことにチャレンジしていくというアストラゼネカならではの企業文化が、品質保証の業務にも確実に根付いています。


日本の高度な品質保証をグローバルに、その主導的な役割を担う


品質保証の業務は部門横断で進めますが、そのやり取りは国内に留まりません。生産や出荷に影響がないよう、中間製品の製造元の海外拠点とコミュニケーションを頻繁に行います。時には、輸送の途中で外箱が潰れてしまうなど、ダメージがある状態で届くことがあります。その際は、製造元の海外の担当者に我々が持っていないデータの提供などを依頼して、中身の中間製品にどのような影響を与えた可能性があるかを検討したり、評価したりする作業を共同で進めます。

また、アストラゼネカでは業務の進捗管理や問題解決を行うための会議体が細やかに整備されていますが、その内容を速やかに世界各国に浸透させるため、グローバル単位での会議も頻繁に行われています。品質保証に関しても、各国のメンバーがそれぞれ抱えている課題を出し合い、グローバルで統一のルールを検討しています。日本を含めた各国ではGMP(Good Manufacturing Practice)(医薬品等の製造管理および品質管理に関する基準)があり厳格な品質管理が製薬企業に求められています。その中で、私たちの品質保証は各国から高い評価を受けています。こうした日本の高度な品質保証をグローバルに広めていくべく、包装プロセスを改善する中で主導的な役割を果たし、グローバルを引っ張っていくような存在になることが今の私の目標です。

医薬品の「最初から最後まで」、品質保証の改善に終わりはない

アストラゼネカは長い年月をかけて新薬の研究開発を進め、新たな治療選択肢を待っている患者さんに送り届けています。米原工場の製造部門は、一つの新薬が世に出るに当たっては、新規の設備を導入したり、従来と異なる製造手順を作成する必要があります。品質保証グループは、新薬発売の2年前からそれらの準備に取り掛かっています。そして、準備段階を終え、新薬が実際に上市を迎え安定的な供給を確保した後も、その医薬品の生産が続く限り品質保証の業務は続きます。このほかにも、国が定める医薬品の製造、品質管理に関する基準であるGMPの改正や新たな通知が発出されると、それに則った手順に変更する必要があります。このように品質保証体制の改善には終わりはありません。

革新的な医薬品を世の中に送り出す、その最後のステップという重要な役割を担う、私たちの仕事のすぐ先で医薬品を待ち望む全国の患者さんと医薬品をつなぐ「架け橋」であり続けたいと考えています。

(所属・内容等は取材実施当時のものです。)
 

患者さんの人生を変えるという当社のミッションに向かい、ともに邁進できる仲間をお待ちしています。