Tezepelumab、NAVIGATOR第III相試験で広範な重症喘息患者さんに対し、統計学的有意かつ臨床的に意味のある増悪抑制で主要評価項目を達成

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年11月10日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

本試験では血中好酸球数の低い患者さんにおいても主要評価項目を達成

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)とアムジェンは、2020年11月10日、コントロール不良の重症喘息患者さんを対象とした新薬候補tezepelumabのNAVIGATOR第III相試験の良好な結果を発表しました。

NAVIGATOR試験では、標準治療 (SoC) へのtezepelumabの追加療法が、SoCへのプラセボの追加療法に対し、52週間にわたり患者集団全体で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある年間喘息増悪率 (AAER)を低減することが示され1、その主要評価項目を達成しました。SoCとは経口ステロイド薬 (OCS) 併用の有無を問わず、中用量もしくは高用量の吸入ステロイド薬 (ICS)に、少なくとももうひとつの喘息コントロール薬を加えた治療を指します。

ベースライン時の血中好酸球数が300/㎕未満の被験者からなるサブグループにおいてもtezepelumabは統計学的に有意かつ臨床的に意味のあるAAERの低減を実証し、本試験はその主要評価項目についても達成しました。AAERの同様の低減はベースライン時の血中好酸球数が150/㎕未満の被験者からなるサブグループにおいてもみられました。

Tezepelumabは重症喘息患者さんにおける良好な忍容性を示しました。初期段階での解析においてはtezepelumab群とプラセボ群との間において臨床的に意味のある差異がないことが示されています。NAGIVATOR試験の結果は今後の医学系の学術集会等において発表が予定されています。

重症喘息は世界中で約3,400万人に影響を及ぼす消耗性疾患です2.3。多くの重症喘息患者さんは、高用量の喘息コントロール薬、現在使用可能な生物学的製剤およびOCSを使用しているにも関わらず、継続的な喘息症状と頻回な増悪を経験しています3-5

英国ロンドンのロイヤルブロンプトン病院肺部門の部長でありNAVIGATOR第III相試験の治験総括医師であるAndrew Menzies-Gow教授は次のように述べています。「重症喘息はその複雑性により、多くの患者さんは、吸入薬による標準治療と現在承認されている生物学的製剤による治療を受けているにも関わらず、消耗性の症状の継続と直面しています。今回の画期的な結果は、tezepelumabが、好酸球性フェノタイプを持たない患者さんを含んだ、現在、治療が奏功しない広範な重症喘息患者集団に対する治療を変革する可能性を有することを示しています」

アストラゼネカのバイオ医薬品研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるMene Pangalosは、次のように述べています。「Tezepelumabの作用は他のすべての生物学的製剤の喘息治療薬の作用とは異なり、喘息の症状および増悪に寄与する複数の炎症伝達経路を標的としています。今回のデータは、過去の臨床試験で見られたtezepelumabの広範な有効性をさらに拡充し、好酸球数が低い患者さんを含む重症喘息患者さんへの新たな治療薬の提供に向けての非常に有望なデータです」

Tezepelumabは、喘息を引き起こす炎症のスペクトラム全体において主な役割を果たす上皮細胞サイトカインである胸腺間質性リンパ球新生因子 (TSLP) の作用を阻害する画期的医薬品 (ファースト・イン・クラス)の候補です6,7。NAVIGATOR試験はTSLPを標的とすることで重症喘息への効果を示した初の第III相試験です。

ベースライン時の血中好酸球数が300/㎕未満の患者さんにおいてtezepelumabが示した統計学的に有意かつ臨床的に意味のある喘息増悪率の低減を根拠として、tezepelumabは好酸球性フェノタイプを持たない重症喘息患者さんの治療薬として2018年9月に、米国食品医薬品局により画期的治療薬指定が付与されています。、Tezepelumabはアムジェンと共同でアストラゼネカにより開発中です (後述の「アストラゼネカとアムジェンの提携」を参照ください)。

※Tezepelumabは本邦未承認です。

以上

*****

重症喘息について
喘息は世界で推定3億3,900万人の人々に悪影響を与えており2, 3、喘息患者さんの約10%は重症喘息に罹患しています3,4。高用量の喘息コントロール薬、現在使用可能な生物学的製剤およびOCSを使用しているのも関わらず、多くの重症喘息患者さんはコントロール不良のままです3-5。重症喘息はその複雑性により、多くの患者さんでは炎症の病態が明確ではなく、複合的な要素を有しており、既存の生物学的製剤が適格でない場合や、良好に反応しない可能性があります4,8,9

コントロール不良の重症喘息は消耗性疾患で、患者さんは頻回な増悪を経験し、著しい呼吸機能の低下、生活の質の低下を余儀なくされます3,5,10。コントロール不良の重症喘息患者さんの死亡リスクは高く、これらの患者さんは喘息関連による入院の2倍を占めるとされています11-13。さらに、疾患による社会経済的な負担も大きく、経済的負担は喘息関連費用の約50%にあたるとも言われています14

NAVIGATORおよびPATHFINDER臨床試験プログラムについて
第IIb相PATHWAY試験を更に拡充し、第III相PATHFINDERプログラムにはNAVIGATOR試験およびSOURCE試験の2つの試験が含まれました15,16。本プログラムは実施中の追加のメカニズム試験と長期安全性試験を含みます。

NAVIGATOR試験は、OCS 併用の有無を問わず、中用量もしくは高用量のICSに、少なくとももうひとつの喘息コントロール薬を加えた治療を受けていた成人 (18歳から80歳) および青年期 (12歳から17歳) のコントロール不良の重症喘息患者さんを対象とする第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。本試験では、血中好酸球数が高い被験者(300/㎕以上)と低い被験者(300/㎕未満)がほぼ均等に割り付け登録されました。本試験は、5週から6週のスクリーニング期間、52週の治療期間および12週の追跡期間により構成されました。試験期間中、全被験者がそれぞれに処方されていた喘息コントロール薬の投与を変更はありませんでした15,17
主要有効性評価項目は52週の治療期間での年間喘息増悪率でした。主な副次的評価項目には呼吸機能、喘息コントロールおよび健康に関連する生活の質に対するtezepelumabの効果が含まれていました15,17

SOURCEは、第III相多施設共同無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験で、ICSと長時間作用性β2刺激薬 (LABA) による継続治療に、慢性的なOCS維持療法を継続的に必要とする成人重症喘息患者さんを対象とする48週間の試験です。主要評価項目は、喘息コントロールを失うことない状況下での、OCSの1日用量のベースライン時からの減少率です16,18

NAVIGATOR試験およびSOURCE試験に参加した患者さんは、長期安全性と有効性を評価する第III相延長試験であるDESTINATIONへの継続的な参加が可能とされました19

Tezepelumabについて
Tezepelumabは複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮細胞サイトカインであり重症喘息に伴うアレルギー性、好酸球性または他のタイプの気道炎症の発現および持続に不可欠なTSLPの作用を阻害するファースト・イン・クラスのヒト型モノクローナル抗体薬の候補です6,7。TSLPは、アレルギー誘発物質、ウイルスおよび他の浮遊微小粒子を含む喘息増悪を引き起こす複数の誘発物質に反応して放出されます。TSLPの発現は喘息患者さんの気道中で増加し、喘息の重症度と相関しています7,20。TSLP阻害により免疫細胞からの炎症性サイトカインの放出が予防される可能性があり、その結果、喘息増悪が予防され喘息コントロールが改善されると考えられています7,20。Tezepelumabは炎症のカスケードの上流に対して作用するので、炎症のタイプに関わらず、広範な重症喘息患者さんを治療できる可能性を有しています7,20

アストラゼネカとアムジェンの提携について
2020年に入り、アムジェンとアストラゼネカはtezepelumabに関する2012年の提携契約を更新しました。これを受け、アストラゼネカによるアムジェンに対する1桁台半ばのロイヤリティの支払い後、両社は引き続き費用と利益を折半します。アストラゼネカは引き続き開発を主導し、アムジェンは引き続き製造を主導します。本提携のすべての側面は合同管理機関の監視下にあります。北米における契約のもと、アムジェンとアストラゼネカは共同でtezepelumabの商業化を実施します。アムジェンは米国での売上を計上し、アストラゼネカはカナダでの売上を計上します。米国におけるtezepelumabの総利益のアストラゼネカの持ち分は提携収入として認識されます。米国とカナダ以外の全ての国においては、アストラゼネカが単独でtezepelumabを商業化します。アストラゼネカは米国以外での全売上を製品売上として計上し、総利益のアムジェンの持ち分を売上原価として認識します。

アストラゼネカにおける呼吸器および自己免疫疾患領域について
呼吸器・免疫疾患はアストラゼネカが注力する3つの疾患領域のひとつで、当社にとって重要な成長の原動力です。

呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、吸入薬および生物学的製剤は2019年5,300万人を超える患者さんにお届けしました。50年の歴史を基盤として、アストラゼネカは吸入薬および生物学的製剤による呼吸器疾患治療の確固たるリーダーです。アストラゼネカは、すべての重症度における予防可能な喘息発作をなくし、生物学的製剤を中心とした早期治療により、喘息およびCOPD治療を革新的に向上させ、COPDを死因の3位から除くことを目指しています。また、当社の呼吸器領域における初期研究では、疾患や神経機能不全における免疫機構、肺損傷および異常細胞修復プロセス等の新たなサイエンスに焦点を当てています。

アストラゼネカは、呼吸器疾患と自己免疫疾患に共通する経路と基礎疾患ドライバーを足掛かりに、慢性肺疾患から自己免疫疾患領域まで網羅する研究に注力していきます。また、リウマチ性疾患 (全身性エリテマトーデスを含む)、皮膚疾患、消化器疾患、全身性好酸球性疾患をはじめ、複数疾患につながる可能性がある5つの中期~後期フランチャイズに焦点を当て、自己免疫疾患領域におけるプレゼンスを高めています。アストラゼネカは、自己免疫疾患領域において、標的とする自己免疫に起因する疾患の疾患コントロールおよび究極的には臨床的な寛解を達成することを目指しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

 

References
1. Bonini M, Di Paolo M, Bagnasco D, et al. Minimal clinically important difference for asthma endpoints: an expert consensus report. Eur Respir Rev. 2020; 29: 190137.
2. The Global Asthma Network. The Global Asthma Report 2018. [Online]. Available at: http://www.globalasthmareport.org/Global%20Asthma%20Report%202018.pdf. [Last accessed: November 2020].
3. Chung KF, Wenzel SE, Brozek JL, et al. International ERS/ATS guidelines on definition, evaluation and treatment of severe asthma. Eur Respir J. 2014; 43: 343–73.
4. Wenzel S. Severe Asthma in Adults. Am J Respir Crit Care Med. 2005; 172; 149–60.
5. Peters SP, Ferguson G, Deniz Y, et al. Uncontrolled asthma: a review of the prevalence, disease burden and options for treatment. Respir Med. 2006; 100 (7): 1139-51.
6. Varricchi G, Pecoraro A, Marone G, et al. Thymic Stromal Lymphopoietin Isoforms, Inflammatory Disorders, and Cancer. Front Immunol. 2018; 9: 1595.
7. Corren J, Parnes JR, Wang L, et al. Tezepelumab in Adults with Uncontrolled Asthma [published correction appears in N Engl J Med. 2019 May 23;380(21):2082]. N Engl J Med. 2017; 377 (10): 936-946.
8. Hyland ME, Masoli M, Lanario JW, et al. A Possible Explanation for Non-responders, Responders and Super-responders to Biologics in Severe Asthma. Explor Res Hypothesis Med. 2019; 4:35–38.
9. Tran TN, Zeiger RS, Peters SP, et al. Overlap of atopic, eosinophilic, and TH2-high asthma phenotypes in a general population with current asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2016; 116:37–42.
10. Fernandes AG, Souza-Machado C, Coelho RC, et al. Risk factors for death in patients with severe asthma. J Bras Pneumol. 2014; 40 (4): 364-372.
11. Chastek B, et al. Economic Burden of Illness Among Patients with Severe Asthma in a Managed Care Setting. J Manag Care Spec Pharm. 2016; 22: 848–861.
12. Hartert TV, Speroff T, Togias A, et al. Risk factors for recurrent asthma hospital visits and death among a population of indigent older adults with asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2002; 89: 467–73.
13. Price D, Fletcher M, van der Molen T. Asthma control and management in 8,000 European patients: the REcognise Asthma and LInk to Symptoms and Experience (REALISE) survey. NPJ Prim Care Respir Med. 2014; 12; 24: 14009.
14. World Allergy Organization (WAO). The management of severe asthma: economic analysis of the cost of treatments for severe asthma. Available from: https://www.worldallergy.org/educational_programs/world_allergy_forum/anaheim2005/blaiss.php [Last accessed: November 2020].
15. Clinicaltrials.gov. Study to Evaluate Tezepelumab in Adults & Adolescents With Severe Uncontrolled Asthma (NAVIGATOR) [Online]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03347279. [Last accessed: November 2020].
16. Clinicaltrials.gov. Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Tezepelumab in Reducing Oral Corticosteroid Use in Adults With Oral Corticosteroid Dependent Asthma (SOURCE) [Online]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03406078. [Last accessed: November 2020].
17. Menzies-Gow A, Colice G, Griffiths JM et al. NAVIGATOR: a phase 3 multicentre, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group trial to evaluate the efficacy and safety of tezepelumab in adults and adolescents with severe, uncontrolled asthma. Respir Res. 2020; 21(1): 266.
18. Weschler ME, Colice G, Griffiths JM et al. SOURCE: A Phase 3, multicentre, randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel group trial to evaluate the efficacy and safety of Tezepelumab in reducing oral corticosteroid use in adults with oral corticosteroid dependent asthma. Respir Res. 2020; 21(1), 264.
19. Clinicaltrials.gov. Extension Study to Evaluate the Safety and Tolerability of Tezepelumab in Adults and Adolescents With Severe, Uncontrolled Asthma (DESTINATION) [Online]. Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03706079. [Last accessed: November 2020].
20. Li Y, Wang W, LV Z et al. Elevated Expression of IL-33 and TSLP in the Airways of Human Asthmatics In Vivo: A Potential Biomarker of Severe Refractory Disease. The Journal of Immunology. 2018; 200: 2253–2262.

tags

  • 呼吸器