アストラゼネカの抗血小板剤ブリリンタ、ハイリスク冠動脈疾患患者さんの心筋梗塞または脳卒中の発症リスク低下に対する適応を米国にて取得

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年6月1日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

脳卒中または心筋梗塞の既往歴のないハイリスク冠動脈疾患患者さんへと適応を拡大

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は、2020年6月1日、ブリリンタ (一般名:チカグレロル) が、冠動脈疾患 (CAD)を有するハイリスク患者さんにおける心筋梗塞または脳卒中の初回発症リスクの低下に対する適応を米国にて取得したことを発表しました。CADは、心臓病で最もよく見られる疾患です。

本承認は第III相THEMIS試験の良好な結果に基づいています。試験では、心筋梗塞または脳卒中の初回発症リスクが高い2型糖尿病合併の冠動脈疾患患者さんを対象に、アスピリンとブリリンタ60mgの併用療法をアスピリン単剤療法と比較検討し、36カ月時点で、併用療法群において、主要な心血管イベントからなる主要複合評価項目のリスクが統計学的に有意に低下したことが示されました1。主要複合評価項目の中では心筋梗塞と脳卒中の発症抑制が顕著に認められました。

心筋梗塞または脳卒中の既往歴がなく、心血管疾患のリスクが高い患者さんに対するアスピリンとブリリンタの抗血小板剤2剤併用療法に対する薬事承認は今回が初めてです。

THEMIS試験の共同治験責任医師である、ブリガム・アンド・ウイメンズ病院International Cardiovascular Programのエグゼクティブディレクターおよび米国ボストンのハーバード大学医学部教授のDeepak L. Bhatt氏(医学博士、公衆衛生学修士)は次のように述べています。「冠動脈疾患は多くの人の生命を脅かすおそれのある疾患です。チカグレロルのアスピリンへの追加投与は、心筋梗塞および脳卒中の発症リスクを抑制する新たな治療選択肢を提供し、ハイリスク患者さんを治療する我々の能力を大幅に向上させます」。

THEMIS 試験の共同治験責任医師である、パリ大学教授のGabriel Steg氏(医学博士)は次のように述べています。「チカグレロルのTHEMIS試験は、19,000例以上の2型糖尿病合併の冠動脈疾患患者さんを対象とした大規模国際共同試験です。冠動脈疾患患者さんの約3分の1は2型糖尿病を合併しており、これらの患者さんは、糖尿病非合併の患者さんよりも高い心筋梗塞または脳卒中の発症リスクに晒されています。本承認は、心筋梗塞または脳卒中の初回発症リスクを有する患者さんに新たな希望をもたらします」。

バイオ医薬品事業部門担当エグゼクティブバイスプレジデントであるRuud Dobberは次のように述べています。「本日のブリリンタの承認は、冠動脈疾患の患者さんにとって重大なニュースです。患者さんは、心筋梗塞または脳卒中の初回発症リスクを抑制する新たな治療選択肢を持つことになりました。今回の適応拡大により、ブリリンタは、これまでのサイエンスに加え、心血管イベントリスクが高い冠動脈疾患の患者さんのマネジメントにも貢献することを示しました」。

THEMIS試験は、2型糖尿病と診断された、心筋梗塞または脳卒中の既往歴のない冠動脈疾患患者さんを対象とし、アスピリンとブリリンタの長期併用療法が、アスピリン単剤療法とに比べて、心筋梗塞、脳卒中および心血管死からなる複合イベントのリスクを相対的に10%低下させました (絶対リスク減少率: 0.8%, 7.7%対8.5%)1 。本適応はTHEMIS試験の対象集団そのものに限定されるものではありませんが、ブリリンタの有効性は本試験の対象である2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者集団において確認されました2。ブリリンタの安全性プロファイルは本剤の既知のプロファイルと一貫しており、出血イベントリスクの増加が認められました1

THEMIS試験およびTHEMIS-PCIサブ解析の結果は、それぞれThe New England Journal of MedicineThe Lancetに掲載されました。

THEMIS試験に基づくブリリンタの薬事承認申請は、欧州および中国等の各規制当局において審査中です。

またアストラゼネカは、2020年1月、第Ⅲ相THALES試験において、アスピリンとブリリンタ90mgの併用療法が、アスピリン単剤療法と比べて、急性虚血性脳梗塞または一過性脳虚血発作発症後30日の時点における脳卒中と死亡からなる複合リスクを低下させたという結果の概要を発表しています。

ブリリンタは、急性冠症候群 (ACS)の成人患者さんにおけるアテローム血栓性イベント再発抑制を適応症として110カ国以上で承認されています*。また、アテローム血栓性心血管イベント発症リスクの高い心筋梗塞の既往歴のある患者さんにおける、心血管イベントの再発抑制を適応症として70カ国以上で承認されています*。

なお、本邦においてブリリンタに心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患に対する治療薬としての適応はありません。

以上

*日本におけるブリリンタの承認された適応症:
- ブリリンタ錠90mg:経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)(ただし、アスピリンを含む抗血小板剤2剤併用療法が適切である場合で、かつ、アスピリンと併用する他の抗血小板剤の投与が困難な場合に限る)
- ブリリンタ錠60mg:以下のリスク因子を1つ以上有する陳旧性心筋梗塞のうち、アテローム血栓症の発現リスクが特に高い場合
65歳以上、薬物療法を必要とする糖尿病、2回以上の心筋梗塞の既往、血管造影で確認された多枝病変を有する冠動脈疾患、又は末期でない慢性の腎機能障害

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冠動脈疾患 (CAD)と2型糖尿病 について
CADは心臓病の中でも最もよく見られる疾患です。虚血性心疾患は、世界の男性における健康寿命喪失の最大の原因であり、女性では2番目の原因です3,4。2型糖尿病合併のCAD患者さんにおけるアテローム性動脈硬化の疾病負担は、2型糖尿病非合併のCAD患者さんと比べて、有意に高いと報告されています5

THEMIS試験について
THEMISは、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんを対象とする、アストラゼネカ主導の国際無作為化二重盲検試験です。本試験には19,000例以上の患者さんが、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、北米および南米の42カ国において組み入れられ、無作為に治療の割り付けを受けました。THEMIS試験は、心筋梗塞および脳卒中の既往歴のない2型糖尿病を合併した冠動脈疾患患者さんにおいて、アスピリンとブリリンタの60mg 1日2回投与の併用療法が、アスピリン単剤療法と比較して、主要心血管イベント(MACE)を低減するという仮説を検証する目的で実施されました。冠動脈疾患の定義は、経皮的冠動脈形成術(PCI)、冠動脈バイパス術の施行歴あるいは50%以上の冠動脈狭窄とされました。
THEMIS-PCI試験は、事前に設定されたサブ解析で、臨床的に意義がある、PCIの施行歴がある患者さん (全患者人口の58%を占める11,154例)を対象としています。

ブリリンタについて
ブリリンタ (一般名:チカグレロル)は、血小板活性を阻害することで効果を発揮する、経口P2Y12受容体阻害剤です。ブリリンタはアスピリンとの併用で、急性冠症候群(ACS)患者さん、もしくは心筋梗塞(MI)の既往歴を有する患者さんの、心筋梗塞(MI)、脳卒中または心血管死と定義される主要心血管イベント (MACE)のリスクを有意に低下することが示されています。
ブリリンタは、アスピリンとの併用で、急性冠症候群の成人患者さん、もしくはアテローム血栓性心血管イベント発症リスクの高い心筋梗塞の既往歴のある患者さんにおける、アテローム血栓性イベント再発抑制を適応症としています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca.(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References
1. Bhatt D.L et al. Ticagrelor in patients with diabetes and stable coronary artery disease with a history of previous percutaneous coronary intervention (THEMIS-PCI): A phase 3, placebo-controlled, randomised trial. Lancet 2019; 394:1169-1180.
2. Brilinta (ticagrelor) prescribing information. AstraZeneca Pharmaceuticals LP.
3. NIH National Heart, Lung, and Blood Institute. Ischemic heart disease: Also known as coronary artery disease, coronary heart disease, coronary microvascular disease [cited 2019 Feb 4]. Available from: URL: https://www.nhlbi.nih.gov/health-topics/ischemic-heart-disease.
4. Kyu HH et al. Global, regional, and national disability-adjusted life-years (DALYs) for 359 diseases and injuries and healthy life expectancy (HALE) for 195 countries and territories, 1990–2017: A systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017. Lancet 2018; 392(10159):1859–922.
5. Arnold S.V.  et al.  Clinical management of stable coronary artery disease in patients with type 2 diabetes mellitus: A scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2020; 141:e779–e806.

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