プラチナ製剤感受性再発卵巣がんを対象とした、リムパーザとセジラニブの併用療法の第Ⅲ相GY004試験の結果について

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年3月12日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

プラチナ製剤ベースの化学療法との比較において
主要評価項目であるPFSの延長を達成せず

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、2020年3月12日に第Ⅲ相GY004試験の結果概要を発表しました。この試験は、米国国立がん研究センター(NCI)の支援の下、NRG Oncologyによって実施され、プラチナ製剤感受性再発の卵巣がん患者さんを対象に、新薬候補であるセジラニブとリムパーザ(一般名:オラパリブ)の併用療法の有効性と安全性をプラチナ製剤ベースの化学療法と比較、評価したものです。卵巣がんは、世界における女性のがんの死因の中で8番目に多いがんです。

今回の試験結果では、セジラニブとリムパーザの併用療法は治療意図集団(ITT)において、プラチナ製剤ベースの化学療法に対して、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長することができませんでした。セジラニブは経口型の血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤で、腫瘍の増殖を促進する血管の増殖を阻害します。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「今回の結果は残念なものとなりましたが、進行卵巣がん患者さんのためにリムパーザが既に示しているベネフィットを最大化すべく、今後も取り組んでまいります。アストラゼネカは、NRG OncologyとNCIと緊密に連携しながら本試験の詳細データを確認し、進行中の開発研究に反映していきたいと考えています」。

MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynesは次のように述べています。「卵巣がんは早期診断・早期治療が難しいがんの1つです。私たちは引き続き、アストラゼネカおよび研究パートナーと共同開発プログラムを通じて、患者さんに貢献できる道を引き続き探求していきます」。

GY004試験で確認された安全性および忍容性は、セジラニブとリムパーザの既知のプロファイルと概ね一致していました。

NCIとNRG Oncologyは、試験の詳細結果を今後の学会で発表する予定です。

※セジラニブは本邦未承認です。
※リムパーザは他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立しておりません。

以上

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卵巣がんについて
卵巣がんは、世界における女性がんの死因として8番目に多いがんです1。2018年には、約30万人が新たに診断され2、約18万5,000人が死亡しています1。その多くは進行(Ⅲ期またはⅣ期)卵巣がんと診断され、5年生存率は約30%です3。再発卵巣がん治療における最大の目的は、病勢進行をできる限り遅らせることで、毒性が懸念される化学療法を開始するまでの期間を延長させ、患者さんの生活の質を維持することです4,5,6

GY004試験について
GY004試験は、BRCA遺伝子変異の有無を伴わない、プラチナ製剤感受性再発卵巣がん、卵管がんおよび原発性腹膜がん患者さんを対象に、セジラニブとリムパーザの併用療法およびリムパーザ単剤療法を標準的なプラチナ製剤による化学療法と比較し、有効性と安全性を評価する非盲検無作為化多施設共同第Ⅲ相試験です。

この試験は国立衛生研究所の一部であるNCIからの委託を受けて非営利研究機関であるNRG Oncologyが主導しており、アストラゼネカとの共同研究として実施されています。アストラゼネカは、NCIとの共同研究開発契約の下、セジラニブとリムパーザの薬剤提供を通じてこの試験を支援しています。

リムパーザについて
リムパーザは、ファーストインクラスのPARP阻害剤であり、BRCA1および/またはBRCA2遺伝子変異などの相同組換え修復の欠損を有する細胞または腫瘍のDNA損傷応答(DDR)を阻害する最初の標的治療薬です。リムパーザによるPARP阻害はDNA一本鎖切断に結合するPARPを捕捉し、複製フォーク停止と崩壊を惹起することで、DNA二本鎖切断を起こしがん細胞を死滅させます。リムパーザはDDR経路に異常をきたした一連のPARP依存性の腫瘍タイプにおいて試験が進行中です。

リムパーザは、プラチナ感受性再発卵巣がんの維持療法として、現在EU諸国を含む73カ国で承認されており、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効後のBRCA遺伝子変異陽性進行卵巣がんの初回治療後の維持療法としても米国、EU、日本、中国およびその他数カ国において承認されています。また、本剤は化学療法による治療歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の転移性乳がんの適応症でも米国、日本を含む58カ国において承認されており、EUにおいては、局所進行乳がんも含まれます。さらに、米国においては、2019年に生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性転移性膵がんの初回治療後の維持療法としても承認されています。加えて、卵巣がん、乳がん、膵がんおよび前立腺がんに関する薬事承認審査が他の国・地域において進行中です。

アストラゼネカとMSDが共同で開発と商業化を行っているリムパーザは、進行卵巣がん、転移性乳がんおよび転移性膵がんの治療薬として承認され、現在までに全世界で3万人を超える患者さんの治療に使用されています。リムパーザはPARP阻害剤として最も広範かつ最先端の臨床試験開発プログラムを有しており、アストラゼネカとMSDは、さまざまながん種にわたり、リムパーザが単剤療法および併用療法としてPARP依存性腫瘍に及ぼす影響を解明するために協業しています。リムパーザはDDRを標的とした新薬であり、アストラゼネカのポートフォリオを牽引する基盤となる薬剤です。

セジラニブ(Cediranib)について
セジラニブは、単剤療法および併用療法で複数のがんに対して有効性を示している経口型の血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)阻害剤です。腫瘍の増殖を促進する血管の増殖を阻害します。セジラニブは既に卵巣がん、乳がん、結腸直腸がん、腎臓がん、肺がん、肉腫および神経膠芽腫など、多くのがんにおいて抗腫瘍作用を示しています。現在、セジラニブは進行卵巣がんに対するリムパーザとの併用療法を評価するべく、第Ⅱ相CONCERTO試験、第Ⅱ/Ⅲ相GY005試験(NCIとの共同研究)および第Ⅲ相ICON9(ロンドン大学との共同研究)が進行中です。

アストラゼネカとMSDのがん領域における戦略的提携について
2017年7月、英国アストラゼネカ社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(北米およびカナダ以外ではMSD)は、世界初のPARP阻害剤であるリムパーザおよび現在開発中であるMEK阻害剤セルメチニブについて、複数のがん種において共同開発・商業化するがん領域における世界的な戦略的提携を発表しました。両社は、リムパーザおよびセルメチニブを他の可能性のある新薬との併用療法および単剤療法として共同開発します。なお、リムパーザおよびセルメチニブと、各々の会社が保有するPD-L1またはPD-1阻害薬との併用療法は各々の会社で開発します。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域 
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社における血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をご覧ください。

References
1. The World Health Organization. IARC. Globocan 2018. Estimated number of deaths in 2018. http://gco.iarc.fr/ [Accessed March 2020].
2. The World Health Organization. IARC. Globocan 2018. Estimated number of new cases in 2018. http://gco.iarc.fr/ [Accessed March 2020].
3. National Cancer Institute. (2019). Cancer Stat Facts: Ovarian Cancer Available at:
https://seer.cancer.gov/statfacts/html/ovary.html [Accessed March 2020].
4. Gupta et al. (2019). Maintenance therapy for recurrent epithelial ovarian cancer: current therapies and future perspectives – a review. Journal of Ovarian Research. 12, 103 (2019). https://doi.org/10.1186/s13048-019-0579-0
5. DiSilvestro et al. (2018). Maintenance treatment of recurrent ovarian cancer: Is it ready for prime time?. Cancer Treatment Reviews, 69, pp.53-65.
6. American Cancer Society. (2019). Understanding Maintenance Therapy. Available at: www.cancer.net/navigating-cancer-care/how-cancer-treated/understanding-maintenance-therapy [Accessed March 2020].