切除不能なステージⅣ膀胱がんにおける、イミフィンジおよびトレメリムマブの第Ⅲ相DANUBE試験について

本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年3月6日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、2020年3月6日、切除不能なステージⅣ(転移性)膀胱がん患者さんを対象とした、第Ⅲ相DANUBE試験の結果を発表しました。本試験において、腫瘍細胞および、または腫瘍浸潤性免疫細胞でPD-L1が高レベル(25%以上)で発現した患者さんへのイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])単剤療法、およびPD-L1発現を問わない患者さんへのイミフィンジとトレメリムマブ(遺伝子組換え)の併用療法を標準治療である化学療法と比較した結果、主要評価項目である全生存期間(OS)の延長を達成しませんでした。

アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「アストラゼネカは、膀胱がん患者さんのアンメットニーズと治療アウトカムを改善する免疫治療の可能性に引き続き取り組んでいく所存です。今回の試験結果は、膀胱がんにおけるアストラゼネカの包括的な第Ⅲ相開発プログラムにとって有益な情報と考えています。私たちは転移性膀胱がんの1次治療を対象とした第Ⅲ相試験(NILE試験)の結果にも期待しており、加えて早期の膀胱がん患者さんのために引き続き臨床試験を進めていきます」。

イミフィンジ単剤療法、およびトレメリムマブとの併用療法の安全性および忍容性プロファイルは、これまでの試験と一致しており、本試験のデータは今後の学会で発表する予定です。

イミフィンジは切除不能な局所進行性または転移性膀胱がん患者さんを対象とした第Ⅲ相試験(NILE試験)においても、化学療法との併用療法、または化学療法とトレメリムマブとの併用療法で開発が進行中です。加えて、早期の膀胱がん患者さんを対象に化学療法との併用療法で第Ⅲ相のNIAGARA試験、標準治療であるBCG免疫治療との併用療法で第Ⅲ相のPOTOMAC試験が行われています。

イミフィンジは、米国を含む15カ国で、プラチナ製剤を用いた化学療法による治療歴がある、局所進行性または転移性膀胱がん患者さんに対して承認されています。

以上

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膀胱がんについて
2018年には、世界で約55万人が膀胱がんと診断され、20万人が死亡しています1。局所進行性膀胱がん、転移性膀胱がんはアンメットニーズが高く、5年生存率はわずか7人に1人と、悪性度の高いがんです2。膀胱がんで最も多いのは尿路上皮がん(UC)で3、世界で10番目に多く診断されているがんとなっており、がんによる死因の第13位です1,4。PD-L1は、膀胱がん患者さんの腫瘍細胞や免疫細胞に広く発現しており、免疫系が腫瘍を発見する働きを阻害します5

DANUBE試験について
DANUBE試験は、シスプラチン適応・不適応にかかわらず、切除不能なステージⅣ(転移性)UC患者さんの1次治療を対象とした第Ⅲ相国際多施設共同無作為化非盲検試験です。本試験では、イミフィンジ単剤療法またはイミフィンジとトレメリムマブの併用療法をゲムシタビンにシスプラチンまたはカルボプラチンを加えた化学療法と比較した試験で、米国、カナダ、欧州、南米、アジア、オーストラリアおよび中東を含む24カ国、220以上の施設で実施されました。

本試験は、腎盂、尿管、膀胱、および尿道を含む尿路上皮の移行上皮がん患者さんを対象としており、高PD-L1発現を「PD-L1が腫瘍細胞(TC)の25%以上で発現、または腫瘍浸潤免疫細胞(IC)が対象腫瘍細胞の1%を超え、細胞膜上にPD-L1が認められた場合、またはICが対象腫瘍細胞の 1%以下であっても、ICの全ての細胞膜上にPD-L1が認められた場合」と定義しました。

本試験の主要評価項目は、イミフィンジ単剤療法を行った高PD-L1発現の患者さんのOS、およびPD-L1発現の有無にかかわらずイミフィンジとトレメリムマブの併用療法を行った患者さんのOSの延長でした。また、本試験は、2017年5月の治療歴のある進行性膀胱がんの患者さんを対象とした米国での迅速承認以降、米国食品医薬品局との合意に基づき、承認後のコミットメントとして取り組んでまいりました。

イミフィンジについて
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え])はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。

イミフィンジは、第Ⅲ相PACIFIC試験に基づき、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法として、米国、日本、中国、ヨーロッパ諸国を含む61カ国で承認されています。また、最近では、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療として、標準治療である化学療法との併用療法がシンガポールで承認されました。

イミフィンジは、広範な開発プログラムの一環として、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、頭頸部がん、肝がん、胆道がん、子宮頸がんおよび他の固形がんの患者さんに対する治療薬として、単剤療法および新薬候補である抗CTLA-4モノクローナル抗体のトレメリムマブとの併用療法でも検討されています。

トレメリムマブについて
トレメリムマブは開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こします。トレメリムマブはイミフィンジとの併用療法として、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膀胱がん、頭頸部がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムが進行中です。

アストラゼネカの免疫腫瘍学への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫系を刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、IOに基づく治療は大多数の患者さんの人生に変革をもたらすがん治療となる可能性を提供するものと信じています。

また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブとの併用療法に対しては、様々ながん腫、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に少なくとも6つの新薬発売を予定し、低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当て、成長基盤としてオンコロジー治療を進展させることに尽力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。

アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジに拠点を置く当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttp://www.astrazeneca.comまたは、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をご覧ください。

References
1. World Health Organization International Agency for Research on Cancer. Cancer Fact Sheets – Bladder. Available at http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/30-Bladder-fact-sheet.pdf Accessed February 2020.
2. Von der Maase H, et al. Long-Term Survival Results of a Randomized Trial Comparing Gemcitabine Plus Cisplatin, With Methotrexate, Vinblastine, Doxorubicin, Plus Cisplatin in Patients With Bladder Cancer. J Clin Oncol. 2005;23:4602-4608.
3. American Society of Clinical Oncology. Bladder Cancer: Introduction. Available at https://www.cancer.net/cancer-types/bladder-cancer/introduction. Accessed February 2020.
4. World Cancer Research Fund. Bladder cancer statistics. Available at https://www.wcrf.org/dietandcancer/cancer-trends/bladder-cancer-statistics. Accessed February 2020.
5. Magdalene J, et al. Joseph M, et al. Immune Responses in Bladder Cancer-Role of Immune Cell Populations, Prognostic Factors and Therapeutic Implications. Front Oncol.2019;9:1270.

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